「行きたい」を諦めるのは「歩けないから」だけではない。「トイレがない」「配慮が気まずい」さまざまな事情に寄り添うためのモビリティ開発とは。
「夢に思っていたようなことが実際になっていて、本当にすごいなと思いました」
2023年9月。東京ビッグサイトで国際福祉機器展が開催された。約380の企業や団体が福祉をテーマにした最新機器を出展する中、開発が進む車いす型モビリティ「JUU」を紹介するトヨタブースで、車いすに乗った女性は目を輝かせていた。
後部のフリッパーが自動制御で姿勢を支えることで、階段の昇降や凹凸路の走行を可能にする電動車いすに、「(段差があると)遠回りで車いすは行かないといけない」「階段を上れたらいいなって思っていたのですごく夢がある」と胸を躍らせた。
移動の可能性を拡げるモビリティは、他にも。けん引免許なしで運ぶことができるコンパクトな「モバイルトイレ」は、目的地に利用できるトイレがなく、外出を制限される車いす利用者の不自由を解消しようと、開発された。現在は購入した企業がイベントなどに貸し出す事業の実証実験も進められており、利用者の外出支援だけでなく、設営や清掃等の仕事を活用し、障がいのある方の就労機会拡大を狙っている。
車いす利用者の中には、公共交通バスの利用を避けてしまうという声が。車いすは乗車時、基本的に運転士が固定する必要がある。車いす利用者は他の乗客を待たせてしまい「気まずい」と感じてしまうことも。一方で運転士にとっても、運行時間に追われ焦ってしまう側面もあるという。
そんな声に応えるため開発が進められているのが、「車いすワンタッチ固定装置」だ。ベルトやワイヤーを使用した従来の複雑な固定作業を、ワンタッチでどのように実現するのか。利用者が「感動して、嬉しくて言葉が出ない」と笑みをこぼした技術は、番組後半で。
移動への不自由さの感じ方は人それぞれ。「すべての『行きたい』を叶えていきたい」をスローガンに、多様な選択肢の創出に突き進むトヨタの姿をお見逃しなく。