トヨタイムズスポーツ
2026.08.23
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【特別企画】人はどんなときに熱狂するんだろう? 夏の甲子園で語り合うスポーツの力

2026.08.23

今年もやりますトヨタイムズスポーツ特別企画。場所は再び高校球児たちの聖地・甲子園球場。アジア大会も控える中、熱狂が生まれる場所に集まったのは...?

人生で1番熱狂した瞬間は?

森田
そこから次のステージへということなんですけど、今日はテーマを1個考えました。「人はどんなときに熱狂するんだろう」。

なぜこんなテーマにしたかというと、福井選手は都市対抗もありますが、そのあとにアジア大会の日本代表として、侍ジャパンに選ばれています。我々は、このアジア大会、アジアパラを、トヨタイムズとして「熱狂しよう」と掲げています。

その心は、無観客だった東京オリンピック、パラリンピックにさかのぼります。ここでトヨタイムズスポーツが始まって、(当時は)無観客だったなとしか思っていなかったんですが、パリのオリンピック・パラリンピックを取材したときに、観客がいっぱいいて、めちゃくちゃ熱狂していたんですね。すごいなっていうのと同時に、これが東京で感じられなかったのかという悔しさも感じました。

だから、久しぶりに日本で大きなスポーツの国際イベント、アジア大会、アジアパラがあるという中で、もう1回ここで日本が熱狂する場所になれたらいいな、なってほしいなと感じて「熱狂しよう」というテーマを掲げました。同時に「人はどういうときに熱狂するんだろう」という問いも立てました。

熱狂するには、いろんなシーンがあると思います。スポーツだと分かりやすいのは、普通の人ができないような超人技が出たとか、記録が出たとか、「あんなところまで打球が飛ぶの⁈」、「あのボールを捕れるの⁈」、「球速160キロ投げられるの⁈」とか。そういうところに熱狂する。

その熱狂が詰まっている場所が、甲子園なんじゃないかなということで、今日は「熱狂って何だろう」「人はどういうときに熱狂するんだろう」というのを、この場に立っていろいろなことを感じた人(福井選手)、目指していろいろ感じた人(佐竹副部長)と、もしかしたら高校野球の先のステージでもっと強い熱狂を感じたかもしれないってことも含めて、そんな話ができればなと思っております。

まずは、月並みな質問ですけど、人生で1番熱狂した瞬間は、いつですか?

佐竹
難しいな。プレーしているときは、ないかもしれないです。

あまりテンションは変わらない。どっちかっていうと、熱狂って見ているときにするから。プレーしているときは、どの大会でも、もう一生懸命やっているので。

森田
その「見ているとき」は自分のチームでもなく、ほかの人、ほかのプレーでも?

佐竹
そうです。それこそWBC(ワールドベースボールクラシック)で、イチローさんが最後にタイムリーヒットを打ったときとか。当時(レッドクルーザーズは)オープン戦中だったんですけど、ベンチ裏ではみんな携帯で試合を見ていました。

森田
でも佐竹さんも勝ったときとかガッツポーズするじゃないですか。

佐竹
演じてます。インタビューも含めて。前日から半分イメージ通りなんです。

森田
何か燃えたぎる、熱いものが出ちゃったって感じじゃないんですね。

佐竹
そういうのって三振取ったときとかは自然に出ますけど。

森田
沖縄電力戦*のような?
*2024年、佐竹副部長が現役引退を表明して臨んだ都市対抗野球1回戦。試合は9回2アウトから登板し、無失点で抑えた後、チームがサヨナラ勝ちを収めた。佐竹副部長にとっては最後の勝利。

佐竹
沖縄電力戦もすみません、ガッツポーズのところは演じてます。

沖縄電力戦、ピンチをしのぎ、ベンチに戻る佐竹投手。このガッツポーズは狙ってやっているそうだ

〈しびれる場面で登板した佐竹投手最後の登板はこちら

森田
じゃあ、そこにヒントがあるかもしれない。演じられるときと演じられないときの差があるわけで、それは何ですか?

佐竹
そこは一瞬じゃないですか? 先がどうなるか分からない、僕だと三振取ったときです。自然に出るのはそこしかないです。外野フライとかだと、打った瞬間に「まあ取るだろう」って(打球の行方を)見ているんで。自然と出るのは、多分瞬間しかないと思います。

沖縄電力戦のときも、ベースカバーに入るまでは間があるので、その間に落ち着いている自分がいる。ファーストが捕った瞬間に、あとはトスを受け取って、ベースを踏むだけ。ここからはもう自分の、もうやりたいように(演じる)。

森田
じゃあ、その「熱狂」っていう、言葉の定義みたいなところを考えると、我を忘れてみたいなことがあるのかなと思うんですけど、あんまり我を忘れてはいないんですか?

佐竹
どっちかっていうと、プレーヤーって熱狂させるほうじゃないですか。熱狂してもらうために、一生懸命やっている。だから大勢の人が見に来るんだと思うし、テレビで見るんだと思うんです。

森田
普通の人は感じられない、都市対抗を初めて制した2016年、あの満員の東京ドームの熱狂している人たちの真ん中に立つというのはどんな気分ですか?

佐竹
ちょっと福井の最後の夏に似てますね。解放されたんです。それまで日本選手権を4回か5回ぐらい優勝していました。最初に日本選手権を制したときは、本当に社内も含めてめちゃくちゃ喜んでくれました。ただ2回、3回と勝っていくうちに「都市対抗で勝てよ」という空気を、ひしひしと感じながら、2009年は決勝に行ったけど勝てなくて。16年は自分が投げるじゃないですか。勝手にいろんなものを背負って投げているんですよ。

だから、勝ったときには解放されました。

森田
周りが熱狂する中で自分が味わっていたものは解放感だった。

佐竹
僕が1番、熱狂というか感動したのは、2019年の初戦で沓掛(祥和)が逆転満塁ホームラン打った試合。9回、逆転したあとからマウンド立つんですけど、あのときの、ちょうどブルペンで投げ終わってベンチから出ていく瞬間、アナウンスが「ピッチャー佐竹」って言ったときのスタンドの湧きはすごかったです。野球をやっていて、あれ以上はないです。

それこそ沸いたというか。あのときの鳥肌はすごかったです。

森田
奮い立つものがありました?

佐竹
はい。本当に応援って我々に力を与えるんだなって、初めて感じたかもしれないです。

森田
そのときは「イケるな」って思えるんですか?

佐竹
いや、ちょっと違う感情ですね。自分のためじゃなくて…。

もともとあまり自分のために野球をやりたいわけじゃないんですけど、「これだけの人がこうやって期待してくれてるんだ」というのがあったので、そこに応えようと必死になったかもしれないです。

トヨタイムズのオリンピック取材に近い話で言えば、我々も2020年の都市対抗を無観客でやりました。「試合します。観客はいません」となったときに、当時よく藤原(航平)監督が言っていたのは「俺たちなんのためにやってんの」。いつも言うんですよ。

藤原監督

(お客さんに)見に来てもらって、感動させたり、共感したりっていうのがスポーツなので、東京オリンピックもそうですけど、無観客でやることで、テレビの向こう側では感動してくれている人がいるかもしれないですけど、やってる僕らは、寂しいというか…。

応援熱叫シート

佐竹
そういう経験をして、まずお客さんが来ることに感謝の気持ちはもちろんあるんですけど、我々のような事業チームが立ち上がった*中で、どうやって来てもらった人に熱狂してもらうか、それこそがスポーツの価値だろうっていうのはあります。
*佐竹副部長は現役引退後、野球部の事業チームの一人として集客やグッズ販売も担当している。

もちろん1番は、グラウンドで表現する選手たちが熱狂させることが、いい薬というか、きっかけだと思うんですけど、それ以外のところで(プレーしない)我々がどうやって熱狂させるかというところで、今回の都市対抗で「応援熱叫シート」というのを企画しました。

森田
「応援熱叫シート」、聞いていますよ。すごくいい企画だなと思いました。めちゃくちゃ声出していいんですよね。

佐竹
声出していいです。

僕も都市対抗に何度も出ていて、決勝でJFEスチールさんとか日立さんと戦うと、声の圧力がすごいんですよ。

六大学野球でもそうなんですけど、明治大学とかはすごく声が出ているんですよ。迫ってくるような応援があって、(早稲田大学時代)それにプレッシャーを感じた記憶もありました。だから都市対抗でも声なんですよ。音楽でも手拍子でもなく。

甲子園もすごいですよね、声が。

あれをどうしても(都市対抗野球でも)つくりたくて。トヨタは例年、良い人が多いので、行儀良く見ている方が多いんじゃないかっていうのもあって、今回は応援を熱叫騒ぎにしようとチャレンジしています。立ち上がって声を出す前提で。

森田
素晴らしい取り組みです。それはやっぱり佐竹さんが、熱狂というもののパワーを知っているからこその取り組みということですね。

佐竹
現地現物で、ピッチャーとして1番応援のプレッシャーがあるのは声なんです。それを応援団に伝えて、いろいろ話し合いました。こちらの熱“きょう”は“叫ぶ”方です。“狂う”ではなく。

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