世界基準のスケジュール(8月開幕・6月閉幕)に変更されたJリーグ。新シーズン開幕に向け、ミハイロ ペトロヴィッチ監督率いるグランパスを特集。攻撃的なサッカーに欠かせない4人のキーパーソンと監督、そして優勝を目指すチームの現在地に迫った。
8月7日のトヨタイムズスポーツは、今季から8月開幕となったJリーグの名古屋グランパスを特集した。
ミハイロ ペトロヴィッチ監督が就任し、2〜6月に開催された百年構想リーグでは総合6位。全チーム最多の得点数を挙げたが、失点数も多く、大きな収穫と課題を残した。「ミシャ式」と呼ばれる超攻撃的サッカーで16年ぶりの戴冠を目指すチームの、キーパーソンたちに迫る。
「秋春制」シーズンにペトロヴィッチ体制で挑む
34年目を迎えるJリーグが、新たなチャレンジとなるシーズンを迎える。これまでリーグ戦は2月開幕・12月閉幕だったが、2026-27シーズンから8月開幕・6月閉幕の「秋春制」へと移行。ヨーロッパの主要リーグと同じ、世界基準を見据えたスケジュールで1年を戦うことになる。
グランパスが今年初めに新たな指揮官として迎えたのが、“ミシャ”の愛称で知られるミハイロ ペトロヴィッチ監督。元ユーゴスラビア代表選手で、日本では広島・浦和・札幌の監督を歴任している。「3-4-2-1」のフォーメーションで主導権を握って攻撃を仕掛けていく「ミシャ式」の戦術が大きな特徴だ。
2010年のリーグ優勝を中心選手として経験した中村直志フットボールダイレクターは、インタビュー(3:06 から)で「チームが大きく変わり、選手は既存のメンバーが残ってくれたんですけども、新しいチームを作る土台はできたのかなと思っています。攻撃的なところには特化してますけども、ディフェンスや走るところ、球際を戦うところは、同じぐらい監督が求めています」と語る。
百年構想リーグを振り返って
シーズンの移行に伴い、今年2月から6月にかけて特別大会の百年構想リーグが開催され、J1の20チームはEASTとWESTに分かれて戦った。ミシャ体制に生まれ変わったグランパスは、終盤ではWESTの1位に立っていたが、連敗が響いて10勝8敗の3位。プレーオフラウンドで敗れて総合6位に終わった。
ベストイレブンには4選手が選ばれ、FW山岸祐也選手は得点王、MF中山克広選手もアシスト王で、攻撃陣の活躍が目立った。得点は全チーム最多となる31だが、失点はWEST最下位となる28だった。
昨年までの「堅守速攻」から超攻撃型のチームへと大きく変化したことは、データにも裏付けられている。平均得点は昨年の1.16から1.72へと約1.5倍に増加。平均失点は1.47から1.56に増え、トータルの得失点差はマイナス0.32からプラス0.17へと転じた。
得点王・山岸祐也が語る攻撃の強み
新シーズンに臨むグランパスは、主要選手の移籍や加入もなく、プレシーズンはミシャ式の浸透をはかった。北海道の苫小牧で30年ぶりに行われたキャンプを、森田京之介キャスターが取材。7月上旬に行われた初の実戦となる、大学生相手のトレーニングマッチを広報の小西克実さんと観戦した。
トヨタイムズが注目したのは、FW山岸祐也選手とMF浅野雄也選手、MF森島司選手、FW杉浦駿吾選手の4人。試合後にはインタビューも行った。
昨シーズンは攻撃サッカーの象徴としてワントップの役割を果たした山岸選手は「得点王になれたことは個人としては良かったんですけど、自分たち次第で優勝できるのが連敗して手からこぼれ落ちてしまったので、そこは本当に悔しい。もっともっと高みを目指して1位を取れるようにやっていきたい」と意気込む。
自身に効果的なパスを供給してくれる大事な選手は「全員」とのこと。「出してくれる選手が1人に固まるんじゃなくて、どこからでも出てくる。ミシャはチーム全員に『動き出すとき絶対見ろ』って強く言うんですよね。そこは脅威になるかなと思います」と説明した。
山岸選手へのインタビューは15:27から。
浅野雄也は戦術の橋渡し役も
右サイドで上下に動きながら鋭いカットインでゴールを狙うMF浅野雄也選手。札幌に所属していた時にペトロヴィッチ監督の指導を経験しており、戦術を理解している立場でチームに橋渡しする役割も果たしている。
「半年のリーグ戦を終えて、ちょっとずつミシャのサッカーをみんな考えてできるようになっている。このキャンプも戸惑いなくできている感じはあります」とミシャ式の浸透を感じているそうだ。
三重県出身ながら地元感はあまりないそうだが、「味噌汁とか味噌煮込み系とかめっちゃ好きなんすよ」と、名古屋めしへの愛を語る浅野選手のVTRは17:18から。
森島司「攻撃のクオリティ次第」
ボランチのMF森島司選手は中盤で攻撃を組み立て、攻守の切り替えも担う重要なポジション。構想リーグを戦った手応えについて、「チャンスの回数は増えましたし、守備は細かなところから崩れちゃうのをなくしていきたいと思います」と語った。
「僕とか後ろの選手は、攻撃プラス守備のことは多く考えているので、この割合を自分的には意識してやりたい。このサッカーは本当にクオリティ次第。変な(ボールの)失い方をしたら相手にチャンスを作られる回数が多くなりますし、逆にクオリティ高くいったら押し込む時間帯が増えますので、そこのクオリティかなと思います」
森島選手のインタビューは23:33から。
垢抜けた杉浦駿吾、高まる守備への意識
トレーニングマッチでは見事なボレーシュートを決めた20歳のFW杉浦駿吾選手。途中出場で流れを変えるジョーカー的な役割を担っている。「攻撃の選手なので、得点はこだわりたいですし、いろんな形から点を取れるのが僕の強み。守備のところでも貢献していきたいなと思いますね。マンツーマンで守備する中で、自分がついていけなかったらチームは数的に不利になる」と守備への意識も強めている。
ミシャ監督「最大の敵は恐れること」
最後にインタビューしたのがペトロヴィッチ監督。キャンプでの取り組みについて、「サイドチェンジとか具体的にイメージを持ってきているシーンもありますけど、中央を使ったコンビネーションとか、いい崩しで得点に迫ったシーンは昨シーズンもありました。もう少し精度やアイデアというところは高めていける」と語った。
気になるのはやはり、課題だった失点を減らすために、どのような策を打ち出していくのか。森田キャスターの質問に、ミシャはこう答えた。
「しっかりボールを握って常に前進していくのがサッカーなので、奪われたら失点のリスクが高くなる。それはわかっていますが、私が来てやり方もだいぶ変わったと思う。最初の頃は、後ろからつなぐことに少し恐れを持つような場面も見受けられました。サッカーにおいて最大の敵は恐れることだと思います。トライせずに恐れてしまってはいけない。
失点全体の数は多かったですけど、どういう形で失点しているかを見たときに、半分もしくはそれより少し多くは、マイボールの失い方が悪くてカウンターを食らっていました。そこの攻撃のところについては、このキャンプでもっと良いものにできると思いますし、イージーな失点やカウンターからのゴールを奪われるようなシーンを減らせると、全体の失点も減らせる。そういった精度を高めるオフェンスもやっていけば、ディフェンスにも対応できると思います」
ペトロヴィッチ監督へのインタビューは29:07から。
8月22・29日は「鯱の大祭典」開催!
8月8日の豊田スタジアム、清水エスパルスを迎え撃ったグランパスの開幕戦。前半に守備陣のパスミスから失点を許し、後半は清手に退場者が出たが、数的優位を生かせずに0-1で敗戦した。
悔しいスタートとなったものの、ケガで長期離脱していた背番号10のMFマテウス カストロ選手が昨年10月以来の公式戦出場を果たすなど、好材料もあった。豊田スタジアムで行われる8月22日のガンバ大阪戦、8月29日のファジアーノ岡山戦は「鯱の大祭典」でさまざまなイベントや企画が予定されている。ぜひスタジアムで応援しよう!
ミシャ式のサッカーは戦術浸透に時間を要するとされ、長い目で見守るのも必要かもしれない。とはいえ、どんどん得点するサッカーは、観ている側にとっては楽しいはず。グランパスの選手たちのゴール量産に期待したい。
毎週金曜日11:50からYouTubeで生配信しているトヨタイムズスポーツ。お盆の1週休みを挟んで次回(2026年8月21日)は、開幕まであと1カ月の第20回アジア競技大会(2026/愛知・名古屋)と第5回アジアパラ競技大会(2026/愛知・名古屋)を特集する。「僕の自信満々な表情と攻め攻めなレースで熱狂しよう!」と語る競泳の渡辺一平選手と、国際大会200連勝に迫っているパラバトミントンの梶原大暉選手がゲストで生出演。2人の金メダル候補に、大会への決意を聞く。ぜひ、お見逃しなく!