2024年7月の都市対抗野球で現役を引退した、レジェンド佐竹功年がスタジオゲスト。社会人野球日本選手権を戦うレッドクルーザーズの選手たちに、佐竹に現在の状況を聞いた。
11月1日のトヨタイムズスポーツは、社会人野球日本選手権を戦うレッドクルーザーズを特集した。チームの精神的支柱でもあった佐竹功年さんが今夏引退した後、若い選手たちはどう変わり、どのように成長したのか。佐竹さん本人にも、後輩への想いや自身の近況についてスタジオで語ってもらった。放送後の日本選手権では、番組で紹介した選手らが活躍して連勝! 佐竹イズムを受け継ぐ男たちが日本一奪還へと突き進む。
2年目の増居翔太が初戦で勝利を飾る
7月の都市対抗野球で現役を引退した、レジェンドの佐竹さんが今回のスタジオゲスト。現在は「トヨタスポーツ推進部 硬式野球部 事業化・採用担当」という肩書だが、多忙のためチームにはほとんど帯同できず、仕上がり具合を詳しく把握できていないという。代わりに森田京之介キャスターが選手たちを直撃し、「佐竹功年引退後、ここが変わった!」というフリップに書いてもらった。
VTRで紹介した選手のうち、ピッチャーは増居翔太投手と細川拓哉投手の2年目コンビ。偶然にも日本選手権1回戦は、この2人の継投だった縁起のいいインタビューは41:46から。
増居投手は今年の都市対抗野球でも投げ、一時は調子を落としていたが、再び調子を上げてきた。「投手陣が一丸となって、実績のある人だけじゃなく、若手中心に全員が投げて全員で勝つ。そんな試合ができたら」と語る。
同期の都市対抗デビューを見て悔しい思いをした細川選手は、先発も経験することで投球の幅が広がった。「佐竹さんがいなくなっただけで、このチームはあらためて若いチームだなと。でも佐竹さんが今まですごい見てくれて、意見をすごい言ってくれてたんだと思いました」と話していた。
放送の翌日に行われた日本製紙石巻との1回戦は、1回に満塁から和田佳大選手の走者一掃タイムリーなどで5点を先制。4回にも逢澤崚介の2点タイムリーで3点を追加した。先発の増居投手は、6回を本塁打の1点だけに抑える好投。7回には細川投手が2大大会初登板を果たし、 新人の池村健太郎投手、2年目の加藤泰靖投手とつなぐフレッシュな継投で、初戦を8-2で突破した。
投手陣のリーダー嘉陽宗一郎、貫録のピッチング
初戦の勝利投手の増居投手が、佐竹さんの引退後に「ちょっと優しくなった」と評していたのが、2戦目の勝利投手であるエースの嘉陽宗一郎投手だった。「もともと後輩に全然寄り添えないタイプだと思うんですけど。佐竹さんが抜けて、ピッチャー陣の一番上という自覚が芽ばえたのか」と、先輩に対してズバズバと真ん中の直球でコメントしていた。
そう言われた嘉陽投手は、生電話で番組に出演。チームがバスで移動中に放送を見ていたそうで、「増居のコメントで大爆笑していました。メンタルが弱い子たちばっかりなので、まず初めはゆっくり心を鍛えようと、優しいところを見せているだけですね」とツンデレなところを見せた。
「投手陣全員を自分の手下にしてやろうと思って。佐竹さんがいたときはできなかったので」と野望を語る嘉陽投手に、佐竹さんは「ならないと思います。なかなかのメンバーなので」とツッコミ。嘉陽投手も「はい、手ごわいです。本当に全員が今横並びで、いい競争できてると思うんで。投手陣は本当に誰が投げるかわからないと思います」と答えていた。
その言葉通り、嘉陽投手は全日本選手権の初戦には登板せず、11月4日に行われたNTT東日本との2回戦で先発。6回を1失点で抑えた。攻撃陣は初回に北村祥治選手のタイムリー、2回に佐藤勇基選手のホームランなどで序盤に得点を重ねた。7回以降は新人の後藤凌寿投手、抑えの渕上佳輝投手が無失点で締め、9-1で準々決勝へとコマを進めた。
近年のレッドクルーザーズは嘉陽投手が大黒柱として獅子奮迅の活躍を見せていたが、今回の大会では2戦で投げた7人の投手がそれぞれの持ち味を見せている。佐竹さんは「ドジャースみたいに、全員で5試合を戦い抜くのだと思います」と話しており、総力戦で2年ぶりの日本一を目指す。
宮崎仁斗がリアル「クルーガー君」に変身?
野手では、都市対抗では試合出場のなかった2年目の宮崎仁斗選手が3番に抜擢され、1回戦の初打席から早くもヒット。長い後ろ髪をなびかせてホームインする光景が何度も見られた。
伸ばし始めた髪は、「野球するときは帽子をかぶって、みんな一緒の髪型だと思ったのが始まり」と宮崎選手。長髪姿の写真を見た佐竹さんは「ウチはクルーガー君というライオンがマスコットなので、本人がマスコットになろうとしているんじゃないですか。トヨタの象徴は俺だと」と語っていた。
都市対抗以降のOPS(出塁率+長打率)が1.230を誇る小畑尋規捕手も、代打でヒットを放った。「結果をあまり気にしてないので。打てなかったら出した監督が悪いという気持ちでやっています」という言葉は、バッテリーを組んでいた佐竹さんの教えそのもの。佐竹さんは「割り切れるようになって、円熟みが増して頼れると思います」と成長を感じていた。
ほかにも、新しいキャプテンの逢澤崚介選手と副キャプテンの福井章吾選手がインタビューに登場。佐竹さんについて、逢澤選手は「周りを見ているのは本当にある。佐竹イズムは受け継ぎながらやっていきたい」。福井選手は「ミーティングとかを佐竹さんが要約して話をしてくれた。今は模範解答がなくなったみたいな。みんなで(答えを)探して、経験して失敗して成功して、という状況」と話す。
野手陣へのインタビューは24:41から。
後輩たちに愛のあるアドバイス
今回の放送では、インタビューVTRを見守る佐竹さんのワイプの顔も見どころだ。特に見ていただきたいのは、小畑選手が「(自分は)何も変わってない」と言うために、フリップに「特に無んも‼」と漢字を間違えていたとき。後輩がやってしまったという表情で顔を手で覆い、苦笑いする佐竹さんは31:23から。
後輩たちには、厳しいながら愛のあるアドバイスも。増居選手が地方大会で147球を投げて完投勝利したことに対して、「140も投げなきゃいけないのは、まだまだ圧倒できていないんじゃないかな」とハッパをかけた。
逢澤選手と福井選手の両キャプテンには「後輩にもっと隙をつくってあげることも大事。(自分の)ダメなところもいっぱいさらけ出していいんじゃないかな」。さらに、フリップの漢字の間違いをスルーした森田キャスターにまで「気づいていない森田さんもまあまあ問題だと思う」とあえて苦言を呈していた。
引退後の佐竹功年の仕事って?
当の佐竹さん自身は、引退してから約3カ月の間、母校の高校や早稲田大学での試合や、引退セレモニー、アメリカ出張などで忙しい日々を過ごしていた。都市対抗野球で敗退した7月25日、ファンサービスを1時間続けてチームのバスが先に出発したため、タクシーで帰る現役最後のユニフォーム姿の貴重映像は8:22から。
アメリカでは、アリゾナにあるテキサス・レンジャーズのキャンプ施設に滞在し、さまざまなことを学んだ。休日にはドジャースとパドレスのプレーオフを観戦し、ダルビッシュ有投手の快投を見たそうだ。
現在はスカウトの役割も担っており、帰国後はすぐに六大学野球の試合を視察した。選手を見る際のポイントとしているのが、教えることが難しい「野球勘」やスローイングだという。「現地でしか見られないところを見てますね。今はどこでもライブ配信とかで見られちゃうので」と話す。
準決勝は11月8日14:00プレーボール
京セラドーム大阪で行われている全日本選手権は、6日に準々決勝が行われ、レッドクルーザーズは西部ガスと対戦。森田キャスターも観戦した。1回戦に続いて先発を託された増居翔太投手が4安打で完封した。「自分のボールがしっかり投げ切れている」と自信を見せつつも、「好リードのおかげです」とバッテリーを組んだ福井章吾捕手への感謝も忘れなかった。打っては熊田任洋選手が3安打2打点の活躍で、今大会の通算打率は驚異の6割越え。「首位打者を目指します」と残り2試合を見据えるルーキーは、盗塁も二つ決めるなど、手が付けられない状況だ。
次戦は準決勝、11月8日14:00から。この球場を“庭”のように得意としていた佐竹さんは、「“庭化”するような選手が出てきてくれると。どのチームも1年間の集大成としてぶつけてくる大会なので、ぜひ全力プレーを見に、足を運んでいただきたいと思っています」と話していた。
生放送のチャット欄を盛り上げてくれた高橋優選手や細山田武史コーチら、短期決戦では誰一人の力も欠かせない。大阪に観戦に行ける人はもちろん、行けない人もネット観戦などでパワーを送ろう!
毎週金曜日11:50からYouTubeで生配信しているトヨタイムズスポーツ。次回(2024年11月8日)は女子ソフトボール部を特集する。レッドテリアーズはレギュラーシーズンを西地区1位で終え、11月16日からのダイヤモンドシリーズ出場を決めた。JDリーグ連覇を目指す舞台はパロマ瑞穂野球場。
“名古屋決戦”を前に、今年のチームの変化や強さなどを取材した。ぜひ、お見逃しなく!