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超電導、水素エンジンHEV... 2025年も着々進化 最終戦富士

2025.12.24

スーパー耐久2025年シリーズの最終戦で、水素の1年間の進化が明かされた。水素社会の実現にどれだけ近づいたか? その進捗をサマリーする。

出力と燃費を両立 水素エンジンカローラクロス

レースという過酷な環境で鍛えてきた水素エンジン。しかし、市販され、日常の足として使えるものになるには、また別のハードルがある。

レースでは、十分な燃料を噴射し、高出力を実現する「ストイキ燃焼」を基本的に使っている。しかし、街中ではいつも高出力が必要なシーンばかりではない。そういう場合は、燃料噴射を抑え、燃費をかせぐ「リーン燃焼」を使う。

水素エンジン車両が街中を走る未来を見据え、2つの燃焼モードをスムーズに切り替える水素エンジンカローラクロスが報道陣に披露された。

アクセルの踏み込み具合に応じて、ディスプレイに「ストイキ」「リーン」が表示される。

エンジンはレースに出ている液体水素カローラと同じG16エンジン。報道陣は試乗を通じて、水素エンジン車両の操作性、スムーズな燃焼の切り替えなどを確認。市販化に向けた水素エンジンの進捗を体で感じた。

「修繕費」低減で水素を求めやすく

ここまで車両の進化を取り上げてきたが、水素社会の実現にはインフラなどの環境整備が欠かせない。

こうした水素の使い勝手を向上させるための活動が、今、福島県から始まっている。

水素価格の内訳は大きく4つに分けられる。

①輸送費を含む水素調達費用
②水素ステーションを運営する労務費
③安全に水素を使うための設備の修繕費
④減価償却費ほか

原材料としての水素の値段だけでなく、そこに水素ステーションの運営費用を含め、水素価格は決まっている。

この中で最も大きな割合を占めるのが③の修繕費。この低減に向け、各社が協働している。

水素ステーションを運営する根本通商。「水素価格を低減させるには、一番費用のかかる修繕費を低減させるのが早い」と商用水素ステーションとして初めて、外注していた修繕作業の内製化に取り組んだ。

2025年4月からは、トヨタの工場で実習経験を積むなど、自主整備に必要な技能を習得。

内製化を進めることで設備の不具合にも自分たちで対応し、ステーションの稼働率も改善していく。

他にも、交換部品の耐久性を高めることで、修繕費を下げる試みも行われている。

その一つを担うのが加地テック。FCEV(燃料電池車)水素ステーション用超高圧圧縮機で国内トップシェアを誇る同社は、圧縮機内部のピストンリングの長寿命化に取り組んでいる。

水素は充填時にピストンのスムーズな動きを助ける膜を取り去ってしまう性質があり、ピストンを摩耗させてしまうのだという。

現在、さまざまなメーカーからアイデアをもらい、交換頻度を年2回から1回に下げることを目標にしている。

もう一社、部品交換の頻度を減らす挑戦をしているのがブリヂストンだ。

対象は水素充填ホース。現状、水素ステーションでは、1,000回の充填で交換を行っている。

このホースは、タイヤ材料開発で培った高分子複合技術を駆使する「ブリヂストンのコア技術を結集したホース」。

現状の10倍となる10,000回の使用に耐えうることを確認しているが、実環境で問題ないか、現在、根本通商などの水素ステーションで検証を進めている。

水素の使い勝手向上のために手を携える トヨタ、JHyM(日本水素ステーションネットワーク合同会社)、根本通商、ブリヂストン、加地テックのメンバー

環境技術の普及へ仲間づくり

トヨタには「環境技術は普及してこそ」という考えがある。どんなに優れたエコカーも、普及しなければ環境に貢献できない。だからこそ、トヨタはクルマの開発に閉じない取り組みを進めている。

そして、水素という燃料には、まだまだ未知の可能性が広がっている。だからこそ、トヨタは選択肢を狭めず、さまざまな技術に挑戦する。

いずれにおいても、大切なのは“仲間”の存在だ。その輪が広がるたびに、また一歩、水素社会の実現に近づける。

2026年はどんな展開を見せるのか、引き続きトヨタイムズでは、プロジェクトの挑戦を追っていく。

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