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"Toyota is family." そんな言葉が聞こえる、トヨタ社員も知らない?グローバルイベントとは

2025.12.23

英語、中国語、スペイン語、ドイツ語...8か国以上の言語が聞こえる!?海外64 事業体から世界中のトヨタ社員が集い、学び合う、グローバルな社内イベントに潜入。

“Toyota is family.”

アメリカ・インディアナ州の生産拠点 TMMI(Toyota Motor Manufacturing, Indiana, Inc.)で働くブレノン・ベントンは笑顔でそう語った。

彼がこの言葉を口にしたのは、2025年11月18~19日に開催された「第36回 トヨタグローバルQCサークルコンベンション」でのこと。世界6地域・64事業体から64のサークル、約300名が日本に集い、2日間にわたりQCサークル活動の成果と学びを分かち合うグローバルな大会だ。

2日間のダイジェスト動画(3分16秒)

今回トヨタイムズは、TMMIを代表して参加したチーム「Forklift Certified」 に密着。彼らを通じて、2日間のコンベンションや参加者のようす、トヨタQCサークル活動の意義をお届けする。

今回密着したTMMIのチーム「Forklift Certified」

世界各地から最優秀QCサークルが集結

トヨタグローバルQCサークルコンベンションは、各地域の事業体を代表するQCサークルが一堂に会し、改善を通じた人材育成事例を発表し合い交流を深める場。

代表サークルのサークルリーダーには「アンバサダー」の称号が授与され、帰国後1年間、その地域のQCサークル活動をリードする役割を担う。

開会式の配席表。世界各地の事業体の名前がたくさん並んでいた。

QC(Quality Control=品質管理)サークルとは、職場メンバー5~7名でサークルをつくり、自分たちの現場の問題を見つけ、話し合いながら改善していく小グループ活動のこと。人材育成や明るい職場づくりを目的として、製造業を中心に世界中さまざまな業種で取り入れられている。

なお、トヨタグローバルQCサークルコンベンションは世界一を決める大会ではない。各事業体で最優秀に選ばれたチームが集い交流し、経験や気づき・学びを共有し持ち帰ることで、各職場を活性化させることが目的だ。人材育成と草の根交流の場として位置づけられている。

今回密着したTMMIのQCサークル「Forklift Certified」は、ボデー部品構内物流部(East Body Weld Internal Logistics )で働く仲間たち。来日したのはサークルメンバー4人と、QC工場事務局の1人。

サークルリーダー ブレノン・ベントン(Brennon Benton, Circle Leader)

入社7年目。QCサークルの牽引や社内物流改善を担当。「大会で優勝して日本行きが決まったとき、すぐに母や妻に電話しました。みんな驚いていましたし、とても喜んでくれました」と教えてくれた。

テーマリーダー スペンサー・セクストン(Spencer Sexton, Theme Leader)

入社3年半。テーマリーダーとしてプロジェクトを推進。「日本へ来ることは世界を見る素晴らしい機会であり、今後のキャリアにもプラスになる」と話す。

ゲートキーパー スコット・メリック(Scott Merrick, Gate Keeper)

コロナ禍を機に建設業界から転職して4年半。スケジュール管理を担当。「死ぬまでにやりたいことリストに書いていたほど、ずっと日本に来たかったので嬉しい。妻と娘は羨ましがりながらも応援してくれています」と教えてくれた。

タイムキーパー ディラン・メレディス(Dylan Meredith, Time Keeper)

入社1年半の若手メンバーでタイムキーパーを担当。「祖母が”これがきっかけで、いろんなチャンスが広がるよ” と言ってくれました」と教えてくれた。

TMMIトレーナー兼QC工場事務局 マーク・ペレリート (Mark Pellerito, TMMI Trainer & TMMI QC Secretariat)

TMMI在籍23年のキャリアを持つベテラン。QCサークル活動のアドバイスやサポートをするサークルトレーナーとして教育も実施、TMMI工場の事務局を兼務。

マーク以外は日本に来るのも初めて。街の清潔さ、人々の礼儀正しさ、食べ物の違い、すべてが新鮮なカルチャーショックだとも話してくれた。

1日目:トヨタの歴史にふれる博物館ツアー

初日、参加者はトヨタ本社本館ホールで開会式とオリエンテーションを受けたのち、トヨタ産業技術記念館とトヨタ博物館を巡る「トヨタ歴史ツアー」へ。

トヨタ産業技術記念館では、トヨタの原点である、はた織り機の実演や、織機メーカーからはじまり世界的な自動車メーカーへと成長していった軌跡、G型自動織機の実演などを見学。トヨタ博物館では、世界のクルマの進化と文化を堪能。

「トヨタが織機から始まり、今ではスーパーカーや世界最大級の自動車メーカーになった。その進化を見るのは本当にすごいことでした」(スペンサー)

「企画展*でGT-Rを見られて嬉しかったです。映画『ワイルド・スピード』でブライアン・オコナーがいつも乗っていたのが印象的です」(ディラン)

*企画展では「What’s JDM?-世界が熱中する’80-’90年代の日本車-」と題し、15台の日本車が特別展示されていた。

「工場のチームメンバーと一緒にこの歴史を体験できたこと。それが一番印象に残りました」(マーク)

トヨタ博物館のショップでは、上司へのお土産に、娘や孫へのお土産に、自分用にと、彼らの部署でも使われているフォークリフトのミニカーを全員が購入した。自分たちの仕事を仲間や家族にも伝えたい。そんな思いが、お土産選びから垣間見られた瞬間だった。

TMMIでは、週1回QCサークル活動を実施しており、データを取り、特性要因図(フィッシュボーン)などを使い、原因を深掘りしながら3~4カ月かけて対策していく。

ブレノン

問題を分解できること、そして全員の意見を取り入れられることがQCサークル活動の魅力です。

例えば、1人だと1〜2個しかアイデアが出なくても、チームで協力すればそれぞれ1〜2個ずつ意見が出て、特性要因図などで情報を見える化できます。トヨタのQCサークル活動では、様々なスキルをチームメンバーに示すことができます。リーダーシップを発揮できるところも私は好きです。

スペンサー

ベテランと新人両方の意見が得られるのも良い点です。ベテランは慣れで同じことを繰り返しがちですが、新人は新しい視点で提案してくれるので、どちらの意見も役立ちます。

ベテランと新人が一緒になって考えることで、思いもよらないアイデアが生まれる。大事なことは、メンバーに敬意を示し、互いに尊重し合うこと。そうすれば、すべてがスムーズに進むんです。

QCサークルを通じて人が育ち、リーダーが育つ。TMMIの現場でもそれが根付いていることがわかる。

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