7月のS耐第4戦で発表されたFCEV(燃料電池車)ゴミ収集車に続き、第5戦ではFCEVロードサービスカーを披露。続々と投入し、水素社会実現を目指した実証実験。この裏側にある想いとは?
海外でも拡大する水素利用
ジャーナリストとのやりとりのなかで、中嶋副社長は日本のメーカーとしての意地とこだわりについて語った。
中嶋副社長
多くの販売が見込める海外の大きなマーケットでは、地産地消という発想で現地で開発から生産、さらにはサービスを一体でやらなければいけないと思います。
我々は日本の会社なので、やはり日本で新しい技術を開発し、それを他のマーケットに配るようにしたいです。
ボリュームが出ないとしても実証実験をして得られた知見を海外に出していきたいです。
水素ロードサービスカーとS耐のつながり
商用車を担当するCVカンパニーの太田博文チーフエンジニア(CE)はこのS耐でロードサービスカーを公開した理由を説明した。
CVカンパニー 太田CE
今回のクルマは正直まだ実験車です。この後どういう技術にしたらいいかとか、JAFさん含めてどういう使い方をしたらいいか、しっかりつくっていきます。
なぜこれをS耐でやっているのかというと、理由が2つあります。
荷台の前には、我々が水素を「はこぶ」の活動でやっている「MIRAI」の軽い水素タンクが4本入っています。
上のボックスに制御する安全機構が付いています。もうほぼ製品化に近づいてきました。
このボックスは水素を簡単に運べる乾電池のような機構になっています。
それをこのトラックに載せて、JAFとやることで水素をパック単位で(モジュールとして)簡単に運べる構造をつくってきました。
水素を「つかう」なかで、不安になることを解決したいという想いをもって、エネルギーを利用しやすい環境をS耐の場でつくってきました。
使用しているカードル(タンクを複数本まとめた集合容器)は「MIRAI」で採用し、高い安全性が確保されている樹脂製水素タンクをパッケージ化したモジュール本体に、稼働状態を自動監視する各種安全装置をインテグレートしたものだ。
大容量の水素搭載を実現することで、より安全かつ効率的に「ためる」「はこぶ」ことができるため、充填が難しい港湾地域や山岳地域などで多くの水素エネルギーを活用することへの期待がされている。