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2026.05.12
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急変する事業環境 トヨタはどう成長軌道へ立ち戻るのか 決算一問一答

2026.05.12

米国関税の影響下でも3.8兆円の営業利益を確保したトヨタの2026年3月期決算。メディアとの質疑応答で語られた、持続的成長への道筋とは。

5月8日にあったトヨタの2026年3月期決算説明会。米国関税や資材高騰がある中、営業利益3.8兆円を確保した。一方で27年3月期は、中東情勢の影響を補うには至らず、3期連続の減益の見通しとなった。

トヨタイムズは決算内容を速報するとともに、4月に社長に就任したばかりの近健太 社長のメッセージ全文を掲載。近社長は「持続的に成長することがトヨタの経営」と想いを語った。

本記事では、電動車の販売戦略や稼ぐ力の強化、仕入先との向き合い方など、メディアとの質疑応答の一部を紹介する。

Ⅰ:2026年3月期決算の受け止め

――社長として、決算をどう総括するか?

近社長

これだけ非常に大きな環境変化がある中で、3兆8,000億近い利益を上げることができました。

決算というのは、この1年だけを切り取った、トヨタ自動車の決算ということではありますが、すごく長い期間の積み重ねであり、トヨタ自動車だけではなく、多くのステークホルダーの皆さんとの連携、協業、取り組みの結果です。

先人の方々や、多くのステークホルダーの方々に、本当に感謝を申し上げたいと思います。

成長投資も、急ブレーキを踏むことなく、しっかりと続けていくことができる環境にも本当に感謝をしています。

損益分岐台数に関しては、上昇傾向にまだ歯止めがかかっていません。ですがリーマン・ショックの時のように、800万台を大きく超えるような状況には、まだ至っておりません。

一方、少し上昇傾向にあるということは事実です。プレゼン(決算説明)の中にありましたように、短期でやれることは、しっかり対応ができてきていると思います。その取り組みは、今期まだ始まったばかりですので、あと11カ月間、当然やり続けていきます。

中長期的な対応については、やり始めたところもありまして、まだ十分に先期今期には、効果が出ていないというものもございます。ただしっかり続けていけば、必ず効果が出てくると思います。

総括として、しっかりと成長投資を続けられるという意味では、アクセルを踏むことができる状態にあると思います。あらゆることにブレーキを踏むということではなく、一つひとつムダなものを見つけて、一つひとつ構造を変えていく、変革をしていくことができる決算だと思っています。

――営業収益が国内企業で初めて50兆円を突破したが、これに関する受け止めは?

宮崎洋一 副社長

あまりこの50兆円というのを意識しながらオペレーションをやってきてはおりません。

日々一人ひとりのお客様に、我々の商品をどうお届けしていくか。これを積み重ねてきて、ステークホルダーの皆様と一緒に歩んできた結果が、数字として表れていると受け止めています。

全体の販売台数が伸びていく中で、その大半の部分でハイブリッド車が貢献しているのは事実です。

我々が一生懸命つくってきたいろいろなクルマが、販売店の皆様のご努力もありまして、お客様にお届けできて、この数字になってきていると思っています。

そういった意味で、これからもお客様が選ぶものを、しっかりと品揃えをして、ステークホルダーの皆様と一緒にお届けしていくことを一生懸命続けてまいりたいと思っています。

Ⅱ:電動車の販売戦略は?

――BEV戦略は、これからどのように進めていく方針か?

近社長
(この先)どういう市場になっていくのか、国や地域によっても違いますので、正確に予想することは難しいですが、それぞれの地域でしっかりお客様のニーズに耳を傾けて、それを商品戦略や供給戦略に反映させていくということは、これまでと変わりません。

私どもは、全てのお客様にクルマをお届けしたいと思っております。バッテリーEVをご所望のお客様には、いいクルマ、いいバッテリーEVを届けたいと思います。その戦略を続けていきたいと思います。

――電動車販売を増やしていくために、どう強化していくか?

宮崎副社長
現実問題として、国内を中心にお客様にお待ちいただいている状態が続いています。(電動車販売)50%という数字としてはそうなんですが、需要があるところに対してお届けしていくことを、まずやっています。

フルラインナップでほぼ全てのクルマに、ハイブリッドを載せられていますので、まずはもっといいクルマづくりで、しっかりとハイブリッドのラインナップを強化していく。併せて、クルマをつくってお届けできる体制を、(需要に)遅れることなくつくっていくのがポイントだと思っております。

これからの稼ぐ力のベースとして、生産能力をフルに使っていくっていくところをポイントにして、電動車についても準備してまいりたいと思っております。

また宮崎副社長は「もっといいクルマづくり」と「稼ぐ力」を両立させる策について問われ「一番我々がやらなければいけないことは、アフォーダブル(手頃な、入手可能な)なクルマをお届けしていくこと」と回答。

さらに豊田章男会長が社長に就任する2009年以前を念頭に「台数ありきの時代には、決して戻ってはいけない。ここだけは全従業員、一致して理解しています。その中で、一人ひとりの笑顔につながるような商品をお届けする中で、稼ぐ力を少しずつ付けていければと思っています」と続けた。

Ⅲ:損益分岐台数の引き下げ

――損益分岐台数の引き下げに向けて、どういった取り組みを行っていくつもりなのか? また目標値は?

近社長
宮崎のプレゼンの中に、事業構造改革、稼ぐ力の引き上げという資料がございました。ここに、私どもの取り組みの相当部分が集約されていると思っております。

まずは今、大変お待たせをしているハイブリッド車について、お客様にしっかりお届けすること。トヨタはカーメーカーですので、それが一番の使命でございます。

生産車種の再編に関して、ここには種類の見直しや削減といったことも含めています。マルチパスウェイでやっていく中で(クルマの)種類が増えてきています。そのままやっていくと、部品の種類もすごく増えますし、仕様も増えて、逆にお客様にとってわかりにくい状況になります。

そういったことをしっかり見極めていくと、かなり大きな効果が出てくると思っています。

それも含めて、原価低減。これまで仕入先様と一緒に基盤づくりをしてきました。ここからは、それを生産性向上に結びつけていくタイミングですので、そういうコミュニケーションをしています。

もちろん基盤づくりは、まだまだ行き届かないところもあると思います。特に仕入先様によっては行き届いてないところもあると思いますので、そういったところは(コミュニケーションを)継続しながら、行き届いたところは一つ一つの課題に取り組んで、原価改善をしっかりと積み重ねていく。そういうタイミングだと思っております。

それにより効果が出て、結果的に損益分岐台数が改善していくということを思い描いております。

特に「このレベルに到達したい」という目標値はございません。収益構造を再構築していくことができれば、それが次のゴールを目指す体制になったと言えるのかなと思います。

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