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2026.07.21
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モビリティカンパニーへの変革 みんなで考え、進める 近社長インタビュー

2026.07.21

近健太社長が社長就任以来、初めてメディアのインタビューに応じた。就任3カ月半、この間さまざまな現場を見ていく中で感じたこと、理想のリーダー像を語った。

Ⅰ:社長としての軸、トヨタの価値が生まれてくる場所

――社長に就任して3カ月余り、社員、役員として活動していたときと比べて、トップとして行動していることで心境の変化は? またトップとしてどうありたいか?

近社長
2009年以降、豊田の秘書になって初めて蓼科に来るようになりました。豊田社長に「こんなイベントがこんなにも長く続いている。すごいですね」「毎年7月17日18日にトヨタ自動車の役員のほとんどが来るなんて」というようなことを聞きました。

それ(聖光寺)以外のところでも聞くことがありました。トヨタ自動車にある豊興神社にお参りするのも、交通事故もそうですが、やはり自分たちではどうしても手が届かないことがあります。

それは例えば天災だったりです。そういう自分たちでは、どうしても手が届かない、だけど従業員、仕入先、自動車を守らなければいけない(ことがある)。「だからだよ」と聞いたことがあります。

逆に言うと、トップというのはそれぐらい、もう何が何でもやらなきゃいけないことがあるんだなということを、その頃、聞いていました。

今度は自分が仲間と一緒にやるということなんだなという気持ちでおります。

どういうトップになりたいかというと、株主総会では、ちょっとうまくいきませんでしたが、最後に申し上げました。やはり私は豊田章男会長がやってきたことをずっと見てきたということもありますので、それが軸です。もちろん、会長がやっていることを今私が全くできているわけではありませんが、「会長だったらああいうときに、どうやったんだろう」「こういうときには、どう動いたんだろう」という記憶はかなり強く残っているところがありますから、そういったことを続けていく。

株主総会で株主に説明する近社長

その一つは「決めるときに、本当に一番悲しむ人の顔をいつも思いながら、だけどそれでも決めなきゃいけない」ということ。今回クルマの生産移管を決めたところがあったんですけれども、そういうときに従業員に最初に伝える。

自分たちの会社のことを、従業員がメディアを通して聞くのではなく、まずは不完全な情報かもしれないけれども、決まっていないこともあるけれど、しっかりと従業員の皆さんに、まず伝える。そういったことを、確かに豊田(会長が)社長時代にはずっとやってきたなと思い出しながら、やっていきたいと思います。

――トップになり、従業員にまず伝えたことは、どんなことか?

近社長
4月1日に入社式がございました。実はその日の朝に全従業員向けに10分ぐらいのメッセージをお伝えしました。いろいろなことをお伝えさせていただきましたが、僕はやっぱり現場に行きたい。その現場で、一生懸命やっているメンバーの改善をしたいという気持ちだったり、何か(改善に向けた)行動だったりの障害になっているようなものがあるのであれば、それを取り除いていきたい。そういう人たちを応援したい。私がすごく想いを込めて伝えたことの一つです。

2026年の入社式

私自身が当然、リーダーとしていろいろなことを引っ張っていかなきゃいけないということもありますが、(グローバルトヨタ)37万人、トヨタ自動車7万人、サプライヤーさんも入れると550万人の産業ですので、現場で困っている人がいたら、みんなで一緒にサポートをしていく。そういうことはブラしたくないと思いますし、それを従業員には伝えました。

――「何が何でもやらなきゃいけないときもある」とおっしゃっていたが、現場を見てきて、近社長が最もやらなければいけないと思っていること、トヨタに必要だと思っていることは何か?

近社長
私はトヨタの価値が生まれてくる場所、トヨタが稼ぐ場所というのは、やはり現場だと思います。ですので、現場のメンバーの困りごとなどをしっかり聞いて、それを改善するということは、私がやらなければいけないことです。

ただ、現場ではない場所で働く仲間もたくさんいます。例えば私の出身部署である経理。経理は会計、数字を扱う仕事です。現場から上がってきた数字を管理して、分析し、ああだこうだと言う。そういうことも大事ですが、彼らが現場に行くと、彼ら自身にも現場でいろいろなアイディアが出てきます。

現場で見たものというのは、事務本館にいてデータとして見ていることよりも、ものすごく強いエネルギーを発しているわけで、それに触れるトヨタの経理マンは、より強いエネルギーで改善を目指す。

こういうことが、現場の強さの一つだと思います。そういうメンバーが現場に行って、自分で原価を動かす、自分で原価低減をする。仕入先さんにも行って(原価低減を)やる。試作の現場にも行って(原価低減を)やる。そういうことをさせてあげることが、私が今、やらなければいけないことだと思っています。

――人事交流みたいなことを想定しているのか?

近社長
いろいろなパターンがありまして、当然人事交流もありますし、仕入先さんに行くこともありますし、上がってきた情報が「何でこうなるんだろう」と現場に行って、オペレーションの様子を見るということも含まれます。いろいろなパターンがあると思います。

以前、労使懇(労使懇談会)でも(事例紹介が)あったのが、現場が伝票を発行するにも「こんなに苦労して伝票切っているんですか」というケース。(現場に行った)経理のメンバーも「知らなかった」と言っていました。やっぱり現場に行ったときに「だったらもっとこういうふうにやれる」「こうやればもっと楽になる」逆に「こういうデータは要らないです」とか、そういうことに気づけるし、一緒に現場のメンバーと考えられる。そういうことを言ってくれたメンバーがいて、そういうことも(パターンに)含む。あと仕入先さんに出向するケースも今はありますし、いろいろなパターンがあるかなと思います。

5月に行われた労使懇では生産性向上へ行動の実例や見えてきた課題が共有された

――本社と現場の距離をもっと近づけるイメージか?

近社長
ファイナンシャルリポーティングみたいな、どうしても本社でやらなければいけない仕事もあると思います。ただそこで自分がレポートしている数字の意味を知るには、現場に行かなければいけない。そういう意味では、おっしゃられている通り、本社と現場の距離を縮めて、よりメンバーが現場に近いところでやるのが良いと思います。

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