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GRMNカローラ ニュルを全開で攻められるクルマを目指して

2026.06.09

初代カローラのデビューから60周年の今年、GRMNカローラが発表された。スーパー耐久シリーズ2026 第3戦 富士24時間レース期間中に行われたメディア向け説明会を取材した。

発売後も進化を続けるGRのクルマ

坂本CE

GRヤリス、GRカローラは生まれましたが、モータースポーツだと、あるレースで優勝したとしても、次のレースで勝てる保証は何もありません。

レーシングチームというのは、優勝した後には、もう次のレースのことを見据えて、多くの改善に取り組んでいます。

ですので、GRヤリス、GRカローラもお客様にお渡しする状態になっても、実は開発は完了していなくて、そこが新たな開発の起点という想いの中で年次進化を行ってまいりました。

2021年当時は、まだGRカローラが世に出ていませんでしたので、中身はGRカローラの開発状態でカローラスポーツとして、参戦しました。

当時から石浦選手にはドライバーとして参画いただいていますが、水素カローラはカーボンニュートラル(CN)への挑戦ということで、マルチパスウェイの考え方で、内燃機関でもCNです。

モータースポーツのことを考えると、エキサイティングな音であったり、振動というのが重要になってくるので、そういった観点で、このG16E-GTSエンジン(水冷直列3気筒DOHCターボエンジン)で水素を燃料として鍛えてまいりました。

モータースポーツはエンジンだけで走っているわけではありません。さまざまな足回りだったり、剛性のバランス、エアロ、そういったものを一つひとつ進化させてまいりました。

1回目の進化では、クルマからのインフォメーション、ドライバーの操作通りに動くという観点で各締結部の剛性、空力、電気特性と小さな改善ではありますが23年に実施しました。

24年には間に合わなかったのですが、25年には25式前期でエンジンのトルクアップ、GAZOO Racing Direct Automatic Transmission(GR-DAT:「MTよりも速いAT」を目指して開発されたAT)の追加、サスペンションジオメトリー、4WDの制御、ABSの進化、こういった形で運動性能を大幅に進化させてまいりました。

昨年の11月にニュルでテストに挑むということで、25式後期でボディー剛性アップ、エンジンの吸気系の冷却をアップデートしました。

これはまさにGRMNを生み出すための準備アップデートという位置づけになっています。これは今だから話せます。

GRの原点というのはニュルの活動から始まっています。これはニュルという場所ではなく、ニュルという道。起伏や過酷な条件、そういったところでクルマを鍛える、そういったクルマは本当にいいクルマになる。

GRの原点であるニュルで鍛えることで、GRカローラの弱点を見出して進化をさせてきました。

レースで鍛えたエアロパーツ

このクルマは、S耐で走る水素カローラからの学びやニュルでのテストによって鍛えた専用のエアロパーツやサスペンションが採用されているという。エアロパーツについて石浦選手はこのように話す。

石浦選手

サーキット等で走るとダウンフォースはあればあっただけ早くなりますが、このツーリングカーの場合は、リフト(空気が車両を持ち上げてしまう力)も生まれやすいので、いかにそこを抑えて操安性も良くするかというのが重要になります。

見た目でだいぶ似ているエアロが加えられていると思いますが、僕が個人的に贅沢だなと思ったのは塗装されているフェンダーダクトです。せっかくカーボンでつくったのに塗装しています。

実はこれ、レーシングカーのものをそのまま同じデザインで入れたら性能が単純に上がるかというとそんなこともなかったんですよね。

社員の評価ドライバーで開発ドライバーを務めた大阪グランドエキスパートもエアロパーツについてこのように続けた。

大阪グランドエキスパート

まず、ボディに穴を開けると言っても、ホイールハウスの中で、渦を巻いている空気を出すという場合もありますし、エンジンルームでいくと熱気も出しますし、ダウンフォースも増えるということになります。

最初に設計された状態で我々がテストすると、通常域だとうれしい面もありましたが、高速直進域だと足りないことがあったりするので出口の形状など細かい修正をしています。

フードも開口部が大きい方が最初はいいだろうと思ったのですが、開口面積とか場所も工夫しながらやりました。

リヤウイングもカーボンでできていますが、横から巻き込む風の影響を受けるということで、これも手づくりで少しずつ形を変えながら、今の形に仕上がりました。

石浦選手

フェンダーダクトも、全部空いているように見えて、実は空いているところと、空いていない箇所があります。

そのあたりもすごいポイントで実際にテストして走らないと、そういう形状にできないのです。このGRカローラはサーキットで鍛えたり、下山のテストコースで鍛えたりして、必ず僕と大阪さんとセットで乗って、常用域で大阪さんが感じるところと、限界域で僕が感じるところを乗り換えて交互に走ったりしています。

サーキットだけで僕だけだったら、例えば直進安定性が少し悪くなってもダウンフォースを取りに行った方が嬉しいとかもあるんですけど、それだけだとGRカローラとして成り立たないところもあるので、大阪さんにそこを整えてもらったりしました。

限界域とのバランスを取っていく作業をしましたが、空力に関してもそういう感じでオープンな状態でテストすると駄目なところが出てくるので、大阪さんにそこを調整してもらって、また僕がそれを評価してということを繰り返して、そういう繰り返しが積み重なり、空力ってこんなに難しいんだなと感じました。

1カ所が良くなっても、次に別の箇所をやるとバランスが崩れたりすることもあるので、アフターパーツでこのクルマに何かパーツを付けたら多分悪くなると思います(笑)。

GRMNとMORIZO RRの違い

このGRMNカローラの隣には、GRカローラ MORIZO RRが展示されている。このクルマはGR-DATを搭載した究極のGRカローラの5シーターモデルとして開発中ということで、これ以上の詳細は明かされていないが、2022年6月に発表されていた「GRカローラ モリゾウエディション」のエピソードと合わせて、このように紹介された。

坂本CE

実は、GRカローラ モリゾウエディションを2シーターでつくりました。モリゾウに尖った2シーターをご用意したら「これ、5シーターもあるんだよな?」と言われました(笑)。

モリゾウさんに購入してもらったのですが、後からリヤシートを付けて改造申請をして、東京オートサロンのトークショーでも5シーターのクルマを「これがリアルモリゾウエディション」と話されているということがありました。

石浦選手

モリゾウさんは5シーターが欲しかったという食い違いがありました(笑)。

坂本CE

隣にあるGRカローラ MORIZO RRについては、今日はあまり詳しい話はしない予定なのですが、同じようなリヤウイングが付いていても実はちょっと違います。

大阪グランドエキスパート

こちらは角度も寝かす方向で設定しています。それとカナード(空気の渦をつくるためにフロントバンパーの左右に取り付けられる小さな翼)を追加していまして、これもこだわりの形となっていて、細かい形で折り返しを付けたり、その後ろにギザギザを付けていたりします。

石浦選手

それは結構最近に評価をやっているやつですね(笑)。

坂本CE

リヤウイングは5段階で調整できるんですが、それぞれのパーツは出荷状態でベストなバランスにしておりますので、お客様がチューニングするときにお好みで弄っていただければいいと思います。

GRMNカローラとGRカローラ MORIZO RRはそれぞれ、サスペンションチューニングや、タイヤの状態、あとは乗車定員の違いなどを突き詰めています。

これ以外にも、4WD制御、ヘルメットを被った状態でも対応できるドライバーファーストの新開発シートなど、「GRMNを名乗るならニュルをしっかり走れるクルマに」という豊田章男の言葉を受け鍛え上げられたクルマとなっている。

石浦選手

このGRMN(の名前)を守るっていうことは、すごく僕らにとってもハードルが高くて、最後にそのOKをもらえるぐらいのレベルにクルマを持っていく。

その準備を入念にやったんですけど、まずニュルで安心して速く手足のように操れるクルマをつくるための準備をどうやっていくか。

毎日のようにニュルを走れたらいいんですけど、なかなかそうもいかないので、ニュルに行ったときにしっかりアイテムの評価ができるように、日本のサーキットでもかなり走り込みました。

正直こんなにいろいろなサーキットで毎日走るかというぐらい、今のGRはいろいろなところで評価を続けています。

GRMNカローラ(プロトタイプ)とGRカローラMORIZO RR(コンセプトモデル)は、富士モータースポーツフォレスト ウェルカムセンターで見ることができる。限定市販モデル「GRヤリス MORIZO RR」、「GRヤリス “Sébastien Ogier 9x World Champion Edition”」、2023年にスーパー耐久シリーズに参戦した車両「32号車 ORC ROOKIE GR Corolla H2 Concept」、2025年にニュルブルクリンク24時間耐久レースに参戦した車両「GR YARIS 109号車」も合わせて展示している。6月28日まで。

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