100年に一度の大変革期に突入した自動車産業。日本の元気な未来をつくるため、自工会が一丸となって目指すものとは。
2023年9月21日、オンラインで日本自動車工業会(自工会)の記者会見が開かれた。
10月26日(一般公開は10月28日)から開催されるジャパンモビリティショーを控え、豊田章男会長をはじめとする全8人の正副会長は、何を語ったのか・・
「日本発」の未来を世界へ
豊田会長(トヨタ)
本日は、1カ月後に迫ってまいりましたジャパンモビリティショーについてお話させていただきます。
少し時計の針を戻しまして、2018年5月、私が2度目の自工会会長に就任した当時の状況からお話いたします。
当時の自動車業界は、CASE革命により「100年に一度」と言われる大変革期に突入したところでした。
次の100年も、クルマはモビリティ社会の主役でいられるのか。
これが私たちに突きつけられた命題であり、その象徴が、来場者数が減少し続けてきた東京モーターショーだったと思います。
私が自工会会長として最初に取り組んだテーマが、2019年に開催を控えた「東京モーターショー改革」でした。
私が関係者に伝えたことはただひとつ。
「人が集まるモーターショーにチャレンジしよう」それだけでした。
経済界協議会と連携し、日本の最新技術や未来を体感いただく「FUTURE EXPO」を開催。
ドローンショーやeモータースポーツ大会など、皆がやりたい、面白いと思う企画にはすべてゴーサインを出しました。
その結果、130万人ものお客様にご来場いただき、多くの笑顔をいただくことができました。
しかし、その2カ月後、私たちは「コロナ」という未曽有の危機に直面することになります。「移動すること」「集まること」が「悪」になり、私たちの日常は一変しました。
しかし、失ったものばかりではありませんでした。
私たち自動車産業で言えば、これまで当たり前だと思っていた「移動」が実は、多くの人たちの働きによって支えられていることに、気づくことができたと思います。
そして「クルマを走らせる550万人」が近づき、つながり、ひとつになって動き始めました。
私たちの暮らしでいえば、皆が新しいコミュニケーション手段を求めた結果、オンラインミーティングやフードデリバリーなど、つながるための新しい技術・サービスが大きく進化いたしました。
コロナ危機を乗り越えた今「東京モーターショー改革」をさらに一歩前に進めるという決意を込めて、本年から「ジャパンモビリティショー」に進化させてまいります。
「クルマからモビリティへ」「東京からジャパンへ」。
特に「ジャパン」。日本には素晴らしい技術がたくさんあります。未来をつくるために日々、挑戦を続けておられる経営者もたくさんいます。
そんな人や技術が集まり、つながる場所をつくりたい。「日本発」の未来を世界に発信したい。そんな想いを「ジャパン」という言葉に込めました。
今回のショーでは、過去最多となる400社以上の方々にご参加いただくことができました。
スタートアップ企業と既存の企業をマッチングし、新しいビジネスの機会を提供することも考えております。
また、モビリティが実現する未来や街を体感できる「東京フューチャーツアー」や水素エネルギーを使ったエンタメイベントなど、楽しい企画を予定しております。
「乗りたい未来を、探しにいこう!」これが今回のテーマです。
これから実際にショーに登場する、未来のモビリティや参加アーティスト、トークショーの出演者など、続々と情報を発信してまいりますので、ぜひ、乗りたい未来を探しに会場へお越しください。
自工会としても、この場にいるトップが中心となって全力でショーを盛り上げ、今回も100万人を超える方々にご来場いただきたいと思っております。
私自身、時間が許す限り会場に足を運び「笑顔」と「ありがとう」の連鎖をつくりたいと考えております。
「自動車はみんなで一緒にやる産業」「未来はみんなでつくるもの」だと思います。
日本の未来をより良いものにするために、メディアの皆様からもぜひ応援いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
400社を超える仲間で、日本を元気に
ここからは記者からの質疑応答へ。まず、ジャパンモビリティショーの準備状況について問われ、内田誠副会長が答えた。
内田副会長(日産)
今回は自動車業界の枠を超えて、他産業やスタートアップも含め過去最多の400社以上が参加予定です。
見どころは3つあり、メインコンテンツは「東京フューチャーツアー」。未来の日本、東京の生活シーンを疑似体験できるよう、自動車産業を超えてオールジャパンの最新の技術を結集させて準備を進めています。
また「ジャパン フューチャー セッション」では子どもから大人まで楽しめる様々なテーマで、モビリティの未来をとことん語り合う場にしたいと思います。
3つ目は「スタートアップ フューチャー ファクトリー」。モビリティの未来を担うスタートアップ企業の皆様が、仲間となる企業と出会い、共に成長できるイベントを企画しています。
これらに加えて、スタートアップ企業とOEM(完成車メーカー)やサプライヤーとのビジネスマッチングの場所であったり、一般来場のお客様にもスタートアップの魅力を分かりやすく伝えるコンテンツも準備しております。
新たな取り組みとしては「H2 エナジー フェスティバル」。
音楽やお笑いのライブを実施するステージは、ライブに使う電力に水素エネルギーを使い、水素のある生活をより身近に感じていただきたく考えています。
開催まで残り1カ月ですが、各社トップの理事が中心となって最大限盛り上げるべく、準備をしております。
続けて豊田会長がショーへの想いを語る。
豊田会長(トヨタ)
世界中でモーターショーの来場者が減っていく中で、(前回)東京だけ130万人を超えました。いろんな見本市がある中で、「自動車を軸にすると100万人集まるよ」ということを示そうと、経済界協議会と連携して、日本の技術や人材を紹介させていただきました。
今回もその流れで日本全体を元気にしたい。そのために自動車業界をあてにしてほしい。そんな想いを持って、100万人を超える来場者にはこだわっております。
モーターショーと言ってた時代は新車発表とか、ワールドプレミアの場としての役割がメインであったと思います。
今回モビリティショーに名前を変えたのは、カーボンニュートラルや自動運転など、いろんな課題が出てくる中で、自動車業界だけで未来をつくるのではなく、それを利用される方を含め、みんなで未来をつくっていくものだと思ったからです。
未来をつくるのは既存の企業だけではなく、これから未来をつくることに参加したいところにも「この指とまれ」が必要だと思っております。
過去に例のない400社が参加するということに、ぜひともご注目いただきたいと思いますし、開催中にいろんな物語が起こるんじゃないかなと思っています。
自動車を軸にして「一緒に未来をつくっていこう」「日本を元気にしていこう」という思いも込めてジャパンモビリティショーと名付けております。
ここからは各副会長から協調することの重要性が語られた。