トヨタアスリートとして10年以上、世界を舞台に活躍してきた松山英樹選手。トヨタイムズスポーツとして、初めてとなるインタビューが実現した。そこで語られた勝つために必要なこととは?
ゴルフで勝つために必要なこと
プレー中は落ち込む暇もないという松山選手に試合のなかでのメンタル戦略について聞いてみた。
森田
例えばラグビーだと80分間という戦いで試合はパッと終わりますが、ゴルフは4日間続くわけじゃないですか。
この長い戦いのなかでのメンタルの保ち方、設計、戦略みたいなことはどう考えていますか?
松山選手
4日目までは基本的にミスしても取り返せる時間があるんですけど、大ミスをしてしまったら、取り返すのに1ホールでボギーだったら、バーディーで1ホールで取り返せますけど、それがダブルボギー、トリプルボギーになると取り返せる時間が減っていってしまうので、そういうミスをできるだけしないように4日間をトータルで考えていくのが、すごく大事かなと思います。
森田
4日間のなかで、心の部分というのは一定に保とうと努力するのか、それとも流れに身を任せているのかでいうとどちらですか?
松山選手
流れに身を任せますね。悪かったら怒りちらかしますし、「やってられない」って、コーチとかキャディーに当たったり…。
でも、それは、その一瞬で終わったあとにそういうものを吐き出して、練習のときから次の日の準備を始めて、ベストを尽くせる状態に持っていくのが大事だと思います。
森田
よくアスリートの人たちに話を聞くときに「心・技・体」って言葉が出てくるじゃないですか。「こころ・わざ・からだ」。
何が優先順位が高いかみたいな話を聞くことが多いんですが、松山さんはゴルフをやるうえで「心・技・体」順番を付けるとどうですか?
松山選手
全部大事です。技術が大事とか、メンタルが大事とか、体が大事って思っていましたけど今は全部大事です。
みんな、そのなかの優先順位だと思うんですけど、つけられないです。メンタルが弱っても技術に影響してしまいますし、技術がないと自信が持てないですし、体が良くないと練習もメンタルも崩れるので何が大事かとなると全部大事となります。
森田
全部揃ってないといけない?
松山選手
揃ってないといけないと思っています。
森田
トヨタイムズスポーツは、いろいろな競技に触れることがあるんですけど、それぞれで競技の特性があって、勝つために必要なことは違ってくると思うんですけど、ゴルフで勝つために必要なことは松山さんはどう考えていますか?
松山選手
一番大事なときに、一番いいショットを打てるかだと思います。
森田
それには、まず一番大事なときは、「ここだ!」っていうのを見極める必要がありますよね?
松山選手
だいたい最終日残り何ホールかだと思うんですけど、「ここだ!」って思うところで、しっかり打つことができたら自分もノっていって、流れに身を任せられるとか。
これ外してしまったり、ミスしてしまったら、気持ちも落ちていっちゃうし、立て直すのが大変だなというところは、やっぱりあります。
森田
その「ここぞ!」というところで、いいショットを打つためには、もう一歩踏み込むと何が必要なんでしょうか?
松山選手
どういう練習しているかじゃないですか。
森田
そこは練習が嘘つかないということですか?
松山選手
いや、嘘はつきますけど、でもどういう練習をしているかじゃないですか。
森田
それは練習のときのアプローチってことですか?
松山選手
そういうことだと思います。
森田
どういうアプローチをしていますか?
松山選手
それは言えないですね。いろいろなアプローチがありますけど、再現性を高める練習もありますけど、僕は言えないですね。
森田
そこが肝ですね。
松山選手
そうですけど。どこか言えないです。死ぬときには言います。
森田
そこが世界の松山の鍵ですね(笑) 今年はオリンピックで銅メダル獲得されて節目の年になったと思いますが、また来年日本でもまた松山さんの活躍が見られるというニュースも目にしましたので、2025年に向けて最後に一言いただけますか?
松山選手
今年は2勝とメダルも獲れたんですけど、来年はさらに勝って世界ランキングをあげてスコッティ・シェフラー(世界ランク1位)に近づけるよう頑張りたいと思います。
森田
応援しておりますので、またトヨタイムズスポーツにも出演してください。