ガラス瓶に詰められた謎の物質。"特別なリサイクル"を含めた「豊田ケミカルエンジニアリング」の驚きの取り組みとは?
水とゴミで電気をつくる
高度経済成長に伴う公害が問題になっていた1973年、豊田ケミカルエンジニアリングは設立された。
産業廃棄物を安全に処理し、公害から環境と地域住民を守る。そんな想いを企業のルーツとして持ち、産業廃棄物の無害化処理はもちろん工場排水を循環回収し敷地内で利用するシステムも構築している。
現在は脱炭素に向けて様々な技術を開発中。水の力を利用してゴミを燃やさず電気をつくる取り組みも。
案内されたのは、巨大な蓋が取り付けられた「水熱処理装置」と呼ばれる設備。
中を見てみると…
消費期限の切れた廃棄弁当が入っていた。これがどのように処理され電気を生み出すのか。実際に装置を動かしてもらった。
弁当だけでなく、おがくずや裁断された紙などの「ゴミ」も装置の上から投入。高温・高圧の水の力を利用してゴミを分解し液状化する。簡単に言えば巨大圧力鍋だ。
これをメタン発酵槽に投入。微生物の力を借りながら約1カ月かけ、メタンを主成分とするガスを発生させる。それを燃料として発電、工場内で利用している。
家庭から出るゴミを燃やさず、電気に生まれ変わらせる。このようにサーキュラーエコノミーの実現に大きく役立ちそうな技術開発が行われているのだ。
燃やしてもCO2を増やさない方法とは?
豊田ケミカルエンジニアリングの主な事業である産業廃棄物の適正処理。燃え殻からプラスチック類、廃油や医療廃棄物も含め、2022年度は年間127,432トンもの廃棄物を処理している。
どんなゴミでも受け入れ、安全に処理するには燃やす必要がある。しかし燃やしてしまうとCO2が出る。一般的な産廃処理業者が陥るジレンマに、豊田ケミカルエンジニアリングは正面から立ち向かっている。
「安全な処理」と「CO2低減」。その両方の実現に向け、同社が取り組んでいるのが焼却時に発生するCO2の回収だ。
焼却時に発生する廃熱を利用し、約3千世帯の年間使用量に相当する発電を行い工場内で利用。さらにCO2を回収、大気に放出しない固定化・資源化も進めているという。
カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーの実現に向け、様々な技術開発を行う豊田ケミカルエンジニアリング。企業を挙げての挑戦を支えていたのは「誰かのために」という想いだった。
豊田ケミカルエンジニアリング 林由浩社長
公害から環境と地域住民を守ることが弊社のルーツであり、今はCO2という最大の敵と闘っています。
今までは燃やして無害化することが評価されてきましたが、今後はそうではない。また資源が少ない日本では、資源を回収することも非常に大事です。
私には孫がいますが、未来の子どもたちにより良い地球環境を残したい。その想いで20年、30年先まで見据えた挑戦を続けていきます。
喫緊の社会課題に革新的な技術で立ち向かう。挑戦を続ける豊田ケミカルエンジニアリングにこれからも注目いただきたい。