人材不足や設備投資負担など、課題が尽きないクルマの整備業界を支えたい。トヨタのマッチングサービスを取材した。
“クルマの町医者”が消える
『自動車特定整備業実態調査結果概要』(日本自動車整備振興会連合会)によると、現役整備士の平均年齢は2016年度の44.3歳から、2022年度は46.7歳に上昇。地域に密着した「専業・兼業」の整備士に限れば、51.2歳と、高齢化、後継者不足は、より深刻になっている。
この傾向が続けば、最悪の場合、整備工場の廃業拡大にもつながってしまう。
日本全国で約1,600社の整備工場が加盟し、技術や経営ノウハウを共有しあう全日本ロータス同友会の小川晃一会長は次のように語る。
全日本ロータス同友会 小川会長
クルマの整備・修理が必要なら、特定のメーカーのディーラーに行けばいい、という意見があるかもしれません。しかし、都市部ではそれが可能でも、地方の過疎地では最寄りのディーラーまでクルマで30分以上かかる場合もあります。
そんな場所では、古くから町に根差した整備工場が“クルマの町医者”の役割を果たします。車検からいざというときの修理まで、クルマの困りごとをメーカー問わず受け入れ、対応しなくてはいけない。日本全国を見たとき、そのような地域が多いのが現実です。
もし町の整備工場の廃業が相次げば、整備されないまま走るクルマが増え、安全・安心なカーライフに影響がでるのは明白です。
“クルマの町医者”の経営負担を減らすためにも、メカコミによる中古設備の流通、コスト削減は重要だ。
550万人の仲間づくり
クルマ社会の安全・安心を守る整備業界のために、できることを今すぐやる。
クルマに関わる550万人の一員として、中谷主任がメカコミのさらなる発展について想いを語った。
中谷主任
100年に一度の変革期を迎えている自動車業界を盛り上げるため、業界の一員としてできることを模索し、メカコミが始まりました。
トヨタのための事業ではなく、自動車業界550万人で育てるサービスにする。それがメカコミの理想です。他メーカーの販売店から損害保険会社まで、企業の垣根を越えた仲間づくりを進め、できることを増やしていきます。
“仲間づくり”の一歩として、トヨタはJA三井リースおよびJA三井リースアセットとの提携を2023年5月より開始。工場の照明や冷暖房器具など、整備に直接関係のない機器もメカコミで買取・廃棄できるようになり、現場のニーズに柔軟に応えるワンストップサービスとしての発展を遂げた。
また、あいおいニッセイ同和損保との協業、両社が培った自動車保証のノウハウを活かし、メカコミで買った中古設備が故障した際に補償・修繕するアフターサービスの提供も検討している。
メカコミを中心とした仲間づくりの輪は拡大し、結びつきを強めている。さらなる進化に注目したい。