#14「"楽"と"楽しむ"」

2023.01.06

「トヨタ生産方式(TPS)の目的は“誰かの仕事を楽にしたい”ということ」。豊田章男はそう説く。

TPSは「自働化」と「ジャスト・イン・タイム」という2本柱で説明され、多くの場合、効率化が目的であるかのように語られる。しかし、その根底にあるのはトヨタグループの創始者であり、自動織機の発明家として知られる曾祖父・豊田佐吉の「誰かのために」という想いだという。

佐吉の命日にあたる10月30日、生家のある静岡県湖西市でその功績を称える顕彰祭が行われた。挨拶の席で豊田は、佐吉の発明には「母の夜なべ仕事を楽にしたい」という想いがあったことに触れ、参列した豊田佐吉翁記念奨学生や湖西少年少女発明クラブの小中学生に向かって語りかけた。

「楽(らく)という字には、楽しいという意味もあります。仕事を楽しめば、改善が進み、仕事が楽になり、もっと楽しくなる」

生産性の向上はその結果であり、「誰かのために」という想いが、「楽(ラク)」にも「楽しみ」にもなり、現実を変え、未来を創っていくのだと――。

さらに、豊田は自身が取り組む活動に照らし合わせて、こう続けた。

「カーボンニュートラルの選択肢を増やそうとの一心で始めた水素エンジンの挑戦も、そんな想いで取り組んでおります。モータースポーツの現場で、真剣に、楽しんでやることで、かつてないスピードで改善が進んでいます。そんな私たちの姿を見て、業界を越えて、多くの仲間も集まってきてくれました」

未来を拓く原動力は誰かの「楽」を想う心と、「楽しむ」心。「ぜひ楽しみながら、新しいことにどんどん挑戦してほしいと思います」。若者に伝える言葉に、豊田の信念が表れている。

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