本業とは関係ないように見える取り組みを紹介する「なぜ、それ、トヨタ」。今回はタイで農業&カフェ?
実は「芸者」ではなく、エチオピアの「ゲシャ」と呼ばれる地域に自生していたことが由来らしい。豆だけに、まさに豆知識。
農園のウィーさんは「昨年、トヨタが1トンもの豆を買ってくれた」と話す。村では収入が増え「子どもの教育にお金を使える」とみなさん嬉しそうだった。
そもそも、なぜトヨタが?
では改めて、なぜトヨタがコーヒーの改善に関わっているのか。また、豆を大量に購入している真相は?我々はタイトヨタの本社があるバンコクへと向かった。
話してくれたのは元会長のニンナート氏。
タイトヨタ ニンナート元会長
元々タイ王室と豊田家には深い関わりがあり、タイトヨタでは定期的に王宮を訪れる機会をいただいています。
2018年にシリントーン王女殿下に拝謁した際に、王室が運営されているカフェのコーヒーがとても美味しく、トヨタの販売店でも提供したいと申し出たところ「豆の生産量が需要に追いついていない」と聞きました。
そこで、トヨタの技術ノウハウを活用して「生産性向上」を支援したいと申し出たのです。
ここからの動きがすごかった。
タイトヨタ ニンナート元会長
すぐにナーンを訪れ、2日間、実態を見て回りました。またタイ中の成功している農家さんを多数訪れ、日本の奈良からも有名な職人に来ていただきアドバイスをもらい、自らもバリスタを経験してコーヒーを極めました。(笑)
先月、王室を訪問し「プーパヤックは緑が増え、環境も大きく改善され、一面がコーヒーを育てる地になりました」と報告すると王女殿下に笑顔になっていただけたんです。
大量に購入した豆はどこで使われているのか。すると、こんな場所を紹介してくれた。
タイでは、トヨタがカフェを運営しているのだ。しかもバリスタはトヨタ社員!? コーヒープロジェクトを担うTABT(Toyota Auto Body Thailand)に話を聞くと…
TABT パラヴィーナ社長
工場の閑散期に、働き甲斐を持てるリスキリングの狙いもあります。「作業計画の作成」「在庫管理」など、実はトヨタ社員にはカフェ運営の適性がある。
トヨタ社員は標準作業を行うことに慣れているので、コーヒーも一貫した品質が保たれるのです。
でも、慣れるまで接客で笑わないこともありました(笑)。B2BからB2Cにいくことで学べることは多いです。
生産効率を改善し、その豆を購入し、運営するカフェで提供。みんなが幸せになる仕組みをつくり上げていたのだ。
【農家さん】高品質な豆を栽培でき、トヨタが大量購入してくれ、収入が増える
【お客様】おいしくて自国支援になるコーヒーを、豆を輸入する大手チェーンより安く飲める
【トヨタ社員】工場の閑散期でもカフェで活躍でき、B2Cの接客で新たな成長につながる
農家さんも若者も、みんなで一緒に
タイトヨタ 山下典昭社長
これらは「良き森、良きコーヒー、良きコミュニティ」を目指した社会貢献の一環です。
タイトヨタでも「町いちばん」という思想が根づいており、” Together with Thai People”がモットー。店名のTOGETAには「Together TOYOTA」みんなで一緒に成長していきましょうという願いが込められています。
スラプーム副社長
未来をつくっていくのは若者です。トヨタにはピックアップトラックのリースもあるので、移動販売でビジネスをしたい若い人を応援できる。大学にも出店し、若い世代がどんな風味を好むか、購買特性なども知ろうとしています。
コーヒーを通じて多くの人に幸せな時間を過ごしてほしい。今は5店舗ですが、今後はタイ全国へのさらなる展開を目指しています。タイには全部で77の県があるのでまだまだこれからです(笑)。
大学のお店では、あるものが話題になっていた。それがこれだ。
店が狭く、以前はスタッフが作業中にぶつかることも。そこでトヨタの改善チームが工場でもお馴染みの“からくり”を導入。バリスタのつくったコーヒーが自動で提供場所へ流れていくのだ。
職場を安全にしつつ、作業もラクに。設備投資の費用も不要。学生たちが珍しがって動画を撮り、今では映えスポットになりお客さんも増えたという。
自動車会社とコーヒー。まったく関係ないようにも思える。
しかし「現地現物」「無駄をなくす改善」「問題解決」「チームワーク」など、トヨタの思想はあらゆる場所で役立つということを、大勢の笑顔に教えられた取材だった。タイに行かれる方は、是非現地でおいしいコーヒーをお楽しみください。