本業とは関係ないように見える取り組みを紹介する「なぜ、それ、トヨタ」。今回は自動車会社の合同ファッションショー!?
この記事にクルマは一切登場しない。でもホンダのシビックやスーパーGTなどが紹介される。一体どういうこと?
各社デザイナーによる座談会では「トヨタ、マジメすぎない?」「日産のアレはすごい!」なんて声も。クルマ好きのデザイナーたちが、変わった社外活動をしていると聞いて取材すると、本当に変わったことをしていた。
カーデザイナーがファッションショー?
まずは、この写真を見ていただきたい。
実はこれ、クルマの生産時に一部廃棄されてしまうシートカバーからつくられた衣装だという。
トヨタをはじめ主要自動車メーカー9社のインテリア・CMF
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デザイナーが結集した団体「JAID(ジャイド)」が、アパレルメーカーのワールドと組んで、クルマの製造過程で発生する“廃材”などで服をつくり、ファッションショーを開催した。
*Color(色)/Material(素材)/Finish(表面加工)の頭文字。クルマの内装/外装すべての色と素材のコーディネートを取り仕切るデザイン
ワールド北青山ビルで一般客を集めての開催。披露された各社の衣装が、これまたぶっ飛んでいて面白い!
【日産】セレブトン
「パーティに誘われたけど、メイクやオシャレに気をつかうのが最高に面倒」。寝ていた布団がそのままドレスになる“最強に怠惰”で“最高に優雅”なセレブツナギ。素材は廃棄される自動車のエアバッグやファブリックだ。
【ホンダ/いすゞ】OYAKO TSUNAGI
安心・安全のイメージのISUZU、走りのイメージのHONDAがコラボ!自動車廃材だけでなくユーズドセレクトショップ「ラグタグ」の古着も使用。子どもたちへ「ノリモノ」の楽しさを提案する“親子ツナギ”。
【トヨタ紡織】カケラノダウン/カフツナグフク
工場のごみ箱からランウェイへ。クルマのシート生産時に廃棄されていた素材に着目し、裁断端材の欠片を詰め込んだ「カケラノダウン」。冒頭の写真も自動車シートカバーからできた同社の作品「カフツナグフク」だ。
【トヨタ車体】KIMOCHI BOOSTER
感情を反映し、色と体格が変化する「KIMOCHI BOOSTER」。吸排気のファンを内蔵し、怒ると火山が噴火したように光って膨らみ、悲しいと存在が消えるように縮む。エアバッグ工場から出る端材でつくられている。
ダイハツはクルマの廃材ではない視点からアップサイクルを提案。
【ダイハツ】PVC Raincoat
使わなくなったアナログレコードを粉砕し、ポリ塩化ビニルとして再生。野外フェスで使えるレインコートとしてアップサイクル。
そしてトヨタは、以前トヨタイムズでも紹介したあのグロテスクな物体を生かして…!?
【トヨタ】TOYOTAカルテット
グロテスクな物体=「FCEV用水素タンクの樹脂パーツ」と「木材の端材や皮の部分」でつくった楽器を提案。世界にひとつしかないギターだ。
アパレルメーカー顔負けのアイデアの数々に、今回アドバイザーとして参加していたワールドの高橋さんは大きな可能性を感じたという。
ワールドグループ関連会社社長 高橋啓介さん
自動車のインテリアデザイナーは、クルマだけでなくその先のライフスタイルも見ている。だから発想が面白い!クルマで使われている素材はすごく丁寧につくられていて、あらゆる可能性を感じます。
次のページでは各社デザイナーが会社の壁を越えた本音の座談会。え?そんなこと思っていたの?なんてことが次々と。みなさん仲がいいですね!