
「外出したい」というささやかな願いも、簡単には叶わない現実がある。停電が命に関わる人たちがいる。モビリティで医療や介護に貢献したいと願うトヨタ社員を取材した。

「すべての『行きたい』を叶えていきたい。」
トヨタには、そう本気で願い、モビリティやサービスの開発に取り組む人たちがいる。
今回のトヨタイムズニュースは、日常的に医療的なケアを必要とする“医ケア児”とその家族の「移動」に向き合う人たちを取材した。
いつ、たんを詰まらせてしまうかわからない…。クルマを運転している間中、子どもの様子を気にしている家族の悩みに寄り添い、誕生したのが「ケアバギー」。
ドライバーのすぐ隣で子どもの顔が確認でき、運転席を離れずにケアできる。
荷物の出し入れがしやすい間口の大きなフレームや、クルマのロックの仕組みを流用した固定装置は、100組にも及ぶ家族に話を聞いて形にしたものだ。
「外出したい」というささやかな願いも、簡単には叶えられない現実がある。開発チームと度々にわたって接点を持ってきた桶谷さん家族は「『こうしたい』という想いを拾ってくれる人がなかなかいない中で、そういう想いを持って、拾ってくれたトヨタの人がいたことが本当にうれしくて」と涙ながらに語ってくれた。
さらに、編集部が向かったのは、都内の特別支援学校。災害時に特別な配慮を要する人の「福祉避難所」に指定されている。
そこで実施された防災訓練には、2台のプリウスが…。停電時に、クルマから医療機器に給電する「トヨタ初」の試みが行われていた。
人工呼吸器、酸素濃縮器、たん吸引器など、医ケア児に欠かせない医療機器には電気が必要だ。
社会貢献推進部の高澤幸子さんは「電動車の技術で、災害弱者になってしまう方への貢献活動になる。避難所などに電動車がきて、給電するチャンスもあるのでは」と活動を続けている。
「移動」がチャレンジするための障害ではなく、夢を叶えるための可能性になってほしい。
そう願い、誰ひとり取り残さないモビリティやサービスに情熱をかける人たちの挑戦をご覧いただきたい。