2024.12.02
通院が困難な山間部や被災地に、"診察室"がやって来る。利用者の声、開発陣の想い、そして課題とは?
今回のトヨタイムズニュースはトヨタ車体が手掛ける“メディカルムーバー”を特集。
“メディカルムーバー”とは、病院が近くにない山間部や離島で暮らす方々に、医療サービスを届けることを目的に開発されたクルマのこと。近年ますます需要が高まっているオンライン診療の現場で活用されている。
ハイエースをベースとした車内には、遠隔地にいる医師の顔を見ながら受診できる大型モニターを設置。患者が座るベンチソファは、医師と自然な体勢で向き合いやすいように角がカットされている。可動式の手すりは、利用者が乗り降りしやすいように高さ、長さを調節してきた。
開発陣の一人、トヨタ車体の平川智也さんは「我々はまだ医療のことが分かっていない(ところがある)ので、使われているところへ伺って改善に努めています」と語る。
このメディカルムーバーは、今年1月に発生した能登半島地震の被災地も走っている。ここでは医療サービスを運ぶだけではなく、支援物資を届けるためにも使われていた。
開発陣の想定にはなかった使い方。だからこそ改善の余地がある。平川さんと同じく開発に携わった薮田耕一さんは、「実際に使ってもらわないと課題は出てこない」と真剣なまなざしで、現場の声に耳を傾ける。
「全国に平等な医療を提供できる社会をつくりたい」とトヨタ車体の石川拓生 執行役員。メディカルムーバーは、「そのための道具」という。
さまざまな地域・現状に適した医療を届けるべく、“動く診察室”の改善点を現場で探る開発陣。その姿を追った。