アジア競技大会にて男子団体では60年ぶりの金メダル、ダブルスでは銀メダルを獲得した卓球張本智和選手の貴重なインタビュー。そこにあった喜びや悔しさ、そしてアジアパラ競技大会に参加する仲間への想いを語った。
10月9日のトヨタイムズスポーツは、アジア競技大会で活躍した卓球の張本智和選手が登場。男子団体では60年ぶりの金メダル、ダブルスでは銀メダルを獲得。競技を終えた直後におこなわれた公開インタビューの模様をお送りした。
金メダルの瞬間の熱狂や、大会中に支えてくれた応援や名古屋めし、そしてオリンピックへの想いを語った張本選手。アジアパラ競技大会に出場するトヨタの同期社員への熱いメッセージも!
重みが詰まった金も「継続しなければ意味がない」
「オリンピックの次に大きな大会という位置付けですし、特に卓球の場合は中国という絶対王者がいる中で、金メダルを獲る難易度はオリンピックと同じなので、金メダルの価値も高い大会。すべて金メダルではなかったですけど、1つでも金メダルを皆さんにお見せできて良かったなと思います」
第20回アジア競技大会(2026/愛知・名古屋)での戦いを終えて、大会への想いを語った張本選手。主要国際大会の決勝で卓球男子日本代表が中国を破って金メダルを獲得したのは、史上初の快挙だった。
張本選手本人にとって「重みが詰まった、何にも代えられない金メダル」は、日本代表にとっても、待ちに待ったメダルだった。
「ここまでいろんな先輩とか僕自身の悔しい思いを積み重ねたうえでの金メダルなので、ただのメダルではなく、いろいろな人のいろいろな気持ちが詰まった金メダルなのかなと思います」
その一方で、ここまでの積み重ねを経て、今回は中国に勝てるという自信もあった。各選手が自己ベストのランキングを更新し、大会中も好調を維持していた。
「まぐれで勝ったわけではなく、次やっても日本の方が勝つ可能性が高いし、そのためのきっかけになる大事な金メダル。今回獲れたことも大事ですけど、この金メダルを継続して獲り続けること。それでなければ意味がないので、これをロサンゼルス(2028オリンピック)や次のアジア大会にしっかりキープして、日本が一番強いのを続けていきたい」
金メダルの原動力はみそかつ?
男子団体の決勝では、2番手と4番手を任された。第2マッチを競り勝ち、後がなくなった第4マッチの前には、最後の出番を待つ松島輝空選手に「勝つから待っとけ」と声を掛けたそうだ。
「もう僕と彼が勝つしかないという状況で、僕は(対戦相手に)負け越してるし、誰が見ても厳しい。でも、仲間だから信じて待ってほしいという意味で伝えました」
その言葉通り、中国のエースを相手に見事なストレート勝ち。続く松島選手が勝利して金メダルを決めた瞬間は、入場ゲートの近くにいて、少し遅れて歓喜の輪に加わった。
「(松島君が)ちょうど2ゲーム目を取られ、その時にユニフォームの汗が乾いて着替えようと思って外に出て、帰ってきた時に松島君がすごくいい流れだった。悪い流れの時に僕は出ていって、出ている間にいい流れになってたので、もう1回悪い流れになるまでは戻るのを我慢しようと。ゲン担ぎじゃないですけど、勝手に考えちゃっていました」
意外にゲン担ぎをすることが多く、勝ち続けている間は基本的にユニフォームや食事のメニューを変えないという張本選手。愛知での食生活を支えたのは、名古屋名物のみそかつ「矢場とん」だった。
「毎日昼か夜どっちかは行くってぐらい、大会中は続いていました。たぶん8回とか10回は行きました。(お店の人と)3回目ぐらいで写真を一緒に撮ってから行きづらかったですけど、それでも行きました」
張本選手が弁当を食べながら、みそかつへの愛を語る動画はこちら。
悔しさを次の大会への力に
団体に続いて行われたダブルスでは銀メダル。シングルスでは準々決勝敗退に終わった。金メダルの喜びはあるものの、9対1で悔しさの方が勝っているという。
「ダブルスで僕たちはシード権がなかったので、銀メダルはすごくいい結果と言えますけど、決勝も勝つチャンスがあった中で2つ目の金を獲れなかった悔しさもある。でも、一番はシングルスですね。団体と同じぐらい懸ける想いは強かったですし、最低でもメダルを獲れた種目だなと思ったので、悔しい大会だったなという気持ちの方が強いです」
前回のアジア大会で、張本選手はメダルを獲れなかった。その悔しさを乗り越えて、今回は着実にステップを踏んだ。次なる成長に向けて、初めての金メダルが大きなきっかけになると信じている。
「中国選手は金を全部獲るのが当たり前の中で、(日本の選手は)こういう初めての金を獲らなければ、当たり前と思うようにならない。そういう意味では、いつかはここにぶつからなければ、2回目、3回目がないと思う。最低基準が今回の金と銀と思うための大会にできるのであれば、この悔しさはすごく有益なものになるのかなと思います」
インタビュー後はわずかな休息を経て、張本選手は北京に渡りWTTシリーズ最高位のグランドスマッシュを戦った。優勝すれば世界ランキング1位も見えていたが、ベスト16で敗退。シングルスはランキング1位の松島選手が優勝した。
「日本の層が厚くなって、出場することがパリよりも難しくなってくる。来年の1月からの(オリンピックの)選考レースのランキングを高くして、まずは代表を早く決めて、そしてオリンピック本番は絶対に金メダルを複数獲れるように頑張りたい」
同僚の応援に「頑張る理由が増えた」
2025年4月にトヨタ自動車に入社して、初めて地元で大きな国際大会を迎えた張本選手。公開インタビューが行われた名古屋市瑞穂公園陸上競技場内の「トヨタスポーツハウス」には、職場などから応援が駆け付けた。
卓球の会場となったスカイホール豊田でも、従業員らの大勢の応援団に支えられた。「皆さんの温かい拍手と歓声に、何点も取らせてもらった。どの試合もホームを感じながら、やりやすい環境を作ってくださった」と感謝の気持ちを伝える。
「今まで以上に一人じゃない、支えてもらってみんなで勝ちに行ってることを体感しながら、毎回毎回の試合に向かっていける。皆さんの喜んでいる姿を見たいから金メダルを獲りたいという、いい循環で卓球に向き合えて、この1年半すごく過去の自分よりも成長できている。もっと頑張る理由が増え、そして応援してくれる方も増えて、そして皆さんにお会いしてまた頑張ろうということが繰り返せています」
張本選手が振り返る、地元での熱狂は18:17から。
パラ陸上の石山大輝、パラ水泳の南井瑛翔にエール
そんな張本選手が注目するのは、10月18日開幕の第5回アジアパラ競技大会(2026/愛知・名古屋)に出場する、同期入社の2人。パラ陸上の石山大輝選手とパラ水泳の南井瑛翔選手だ。
石山選手は100m、400m、走幅跳。南井選手は400m自由形、100m背泳ぎ、100mバタフライ、200m個人メドレーに出場予定。日本記録、アジア記録更新の瞬間を観られるかもしれない!
アジアパラも毎日現地の「熱狂」をお届け!
日本で初めてのアジアパラ競技大会は、10月18日から24日まで、愛知県周辺の会場で18競技502種目が開催。パラバドミントンや車いすバスケットボールなど一部の競技の予選は、開会式前の16日から行われる。
パラアスリートの一流選手たちのパフォーマンスが目の前で見られる貴重な機会。トヨタイムズスポーツの特設サイトでも、熱狂できる注目競技スケジュールや結果などをお伝えしていく。
パラ水泳では南井選手のほか、テレビCMにも出演中のアーニー・ガウィラン選手(フィリピン代表)やトゥ・ウェイ・ソン選手(シンガポール代表)が出場予定。GTTA(グローバルチームトヨタアスリート)による熱い戦いが期待される。
座位バレーボールの横田利沙選手(トヨタ紡織)は、アジア大会のビーチバレーボールを観戦して熱狂を感じ、その熱狂を受けて初のアジアパラ大会に臨むそうだ。アジアパラに臨むGTTAの一覧はこちら。
さらに、中京テレビでは「超える。」というテーマで6日間の特別番組を編成し、熱戦の模様を生放送する。東海地域以外の人でも、TVerから無料で視聴可能。
もちろんトヨタイムズスポーツも、10月18日から24日まで熱狂ライブ(生放送)や熱狂ハイライトにて、GTTAの活躍を現地から毎日お伝えしていく予定。この熱狂はまだまだ終わらない!