トヨタイムズスポーツ
2026.08.05
シェア: Facebook X

URLをコピーしました

ご褒美では終わらない。坪井翔と福住仁嶺がF1富士TPCで得た手応え

2026.08.05

F1マシンに乗るチャンスを得た、トヨタのドライバー坪井翔選手と福住仁嶺選手に密着! 富士スピードウェイで開催されたTGRハースF1チームのTPC(旧型車を使ったテスト)の模様をお届けする。

8月1日のトヨタイムズスポーツは、富士スピードウェイで開催されたTGRハースF1チームのTPC(旧型車を使ったテスト)を密着取材した。

トヨタのドライバーとして活躍し、F1マシンに乗るチャンスを得た坪井翔選手と福住仁嶺選手。きっかけは“ご褒美”でも、レースを志す誰もが憧れる夢や目標に近づくための真剣勝負。世界最速のクルマに挑んだ2人の言葉と表情、そして走りをお届けする。

提携から生まれた日本人ドライバーへのチャンス

トヨタとハースF1チームは2024年10月に業務提携することを発表(会見の記事)。People(人材育成)・Pipeline(データ活用・環境づくり)・Product(車両開発)の3つのPを軸に協力を進め、2026年シーズンからはタイトルパートナーになっている。

昨年8月には坪井翔選手が富士でのTPCで初めてF1をドライブ。同年10月と今年4月にも、坪井選手は英国の聖地シルバーストーンでのTPCに参加しており、「自分のパフォーマンスをしっかり出せるように頑張りたい」と語る。

福住仁嶺選手にとっては初めてのTPC。ホンダの育成ドライバーとして10年前に日本を離れてF1を目指したが、FIA F2で挫折を味わい、国内を主戦場に走っていた。トヨタに移籍後、今年5月にスーパーフォーミュラ(SF)でルーキーレーシングに初優勝をもたらし、念願のF1マシンに乗るチャンスを掴んだ。

「この日が来るまで、いろいろ頭の隅っこにあるというか、ヨーロッパに行って失敗して日本に戻ってきている経験もあるので、グッと来る想いがすごくあります」

坪井翔「夢が目標になってきた」

7月28・29日に行われたTPCの初日は、あいにくの雨模様から始まった。先に走る坪井選手は、ウェットタイヤでスタート。路面状況が刻々と変わる中での走行は「ハーフウェットというコンディションは、乗りたくても乗れないコンディション」と振り返る。

「去年は『夢が叶った瞬間でした』って言いましたけど、夢が目標になってきたという実感もある。地に足をつけてプログラムを進められてる気がして、よりF1レギュラーシートを取るという目標に近づいたと少し感じてはいた」と語る、坪井選手の1日目の走行は3:36から。

福住仁嶺、初F1に「すごく楽しかった」

テストを見守るモリゾウ(豊田章男会長)から「顔が緊張しているよ」と指摘されていた福住選手。3回目のセッションからはスリックタイヤに換えて、ドライコンディションで走行した。

初のF1マシンの感触を、福住選手は「すごいですね。これがF1かって思いました。どこが限界なんだというのをずっと探って、『あ、まだ行けるんだ』、行ってみて『まだ行けるんだ』みたいなのが。SFを超えるパフォーマンスなので、すごく楽しかった」と語る。

午後からは雨が本格的になり、レインタイヤでのセッションも経験した。

乗った直後の最初の通信で、モリゾウに「めちゃヤバイです。めちゃ速いです」と話していたという福住選手。午前のセッションは6:07から、午後は12:45から。

TPC2日目の走行

TPC2日目は澄み切った快晴。ドライコンディションで坪井選手は積極的なアタックを見せ、1分17秒914を記録。富士マイスターの実力を見せ、「どれだけ順応できるか、1周目からどれだけ行けるかが大事。そこを意識して今日は取り組んだ」と語った。

福住選手もミディアムタイヤでチャレンジ。「最後のセクターでタイヤの摩耗を感じる中で、タイムを伸ばしきれなかったのが、自分の実力不足の部分もあると思うし、すごく実りのあるセッションになった」と振り返る。

2日目の坪井選手の走行は15:34、福住選手は18:52から。

チャンスは諦めなかった者に訪れる

7,900人が応援に駆けつけた2日間のテスト。福住選手は「ヨーロッパで挫折も味わい、自分もここまで頑張ってきたからこそもらったチャンスだと思うので。これがいろんな他のドライバーや、これから上がってくる若手の刺激になってくれればと思いました」と笑顔を見せる。

坪井選手は「逆に僕はヨーロッパとか海外の経験がないドライバー。日本でしっかり結果を出し続ければチャンスが来るんだという、ある意味1つの証明にはなったかと思います。夢は何歳になっても追いかけていいし、より身近に感じられるこの環境は本当にありがたい」と振り返っていた。

モリゾウも「今日カートの少年も来ているわけでしょ。夢を持ったら、いろんなことあるけど諦めるなよ、それがやりたいことでしょと。大人が環境を作ってあげなきゃいけないけど、本人が諦めたり本人がブレたら終わりだと思う」と同意していた。

トヨタ・レーシングの中嶋一貴副会長は、ハースのリザーブドライバーを務める平川亮選手を例に挙げ、「平川がこの2人の前にいて、こうやってTPCに乗ることで評価してもらえると、その先のチャンスがあることも見せてくれている」と話していた。

最高の舞台で人を育てる意義

今回のTPCに挑んだのはドライバーだけではない。「3つのP」のPeople、人材育成を目的に、トヨタからハースに来た江口勇仁データエンジニアも参加した。F1ならではの難しさを語ってくれたインタビューは17:20から。

最後に、ハースの小松礼雄が語っていた、F1で人を育てる使命について紹介する。

「F1っていうのは“場”なんですよ。最高のインターナショナルでコンペティティブで、ごまかしが利かない場です。そういうところに人を放り込んで、ウチはその場を与えるのが絶対の使命です。そこから成長していける人たちを是非つくりたいわけですよ。ミスしていいんだよと。ミスから学べばいい。1番良くないのはミスを恐れて何もしないことだから。

そういう正しい環境を作って人を育てることで、文化はできてくると思うんですよ。それを一緒に築き上げるパートナーに縁があって出会えたのはうれしいこと。一緒に世界に通じる人を作って、世界に通じるチームを作りましょうとやっているので、応援していただければ」

毎週金曜日11:50からYouTubeでお送りしているトヨタイムズスポーツ。次回(2026年8月7日)は、名古屋グランパスを特集する。Jリーグが秋春制に移行して初めてのシーズン、開幕戦を8月8日に豊田スタジアムで迎えるチームを取材。毎年恒例の「鯱の大祭典」の情報も。ぜひ、お見逃しなく!

Facebook facebook X X(旧Twitter)

RECOMMEND