「会社」、「組合」双方が覚悟を見せた労使協議会が幕を閉じた。厳しさを増す自動車産業の中で、将来も生き残っていくために一人ひとりの意志と行動を成果につなげていく。
“春共”
近執行役員
今年の労使協は、最初に組合側から覚悟と行動を示してくれました。
第3回の前に豊田会長から一言言われました。「会話できているか?」と。
鬼頭委員長から「会社は一枚岩になっていないのではないか」と伝えてくださったことで「家族の本音の会話」に、この場が戻ることができたと思っています。
そういう意味では、労働組合の皆さんに本当に感謝申し上げたいと思います。ありがとうございました。
しかし、生産性の向上、収益構造の改善は「待ったなし」です。
今の自動車産業全体に起こっている厳しい現実は、トヨタも決して他人事ではありません。
「受注制約がある現状が、“当たり前”のものになっていないか」
「世の中が“当たり前”だと思っていることは、トヨタが思っている“当たり前”よりもっと厳しいのではないか」、「我々一人ひとりが職種に関係なく『技』を持てているか」
「『生産性向上』は生産職場の話だけではなく、会社全体のものだと我々一人ひとりが受け止められているか」
私自身も皆さんと一緒に、こちらに並ぶメンバー(会社側)全員と一緒に、“今までの当たり前”を見直していきます。
第3回でこの場で宣言をしたマネジメントのメンバーだけでなく、今日参加しているメンバー全員で、未来に向かって前向きに、やめることを決めて、行動していきます。
今朝、その決意を全員で確認しました。すでに始まっている取り組みを含めて、5月に労使懇談会を行って、その場でしっかりとフォローして、見直して、また話し合いをさせてください。
今日の回答は、先ほど佐藤社長がおっしゃたように「現実と向き合って、逃げずに行動する」という覚悟を会社・組合の垣根を越えて全員でしたということだと思っています。
足元の状況は、先ほども申し上げた通り、今日の回答をできる状況ではありません。ただ「絶対に全員で変えていくぞ」、「行動するぞ」という覚悟を示したものです。そこには会社も組合もありません。
そういう意味では、我々がやっているのは、春に闘う“春闘”ではなく、春に労使が課題を共有して徹底的に話し合う、言ってみれば“春共”というものだと思います。
そういう場にしてくれて本当にありがとうございます。
最後に「1台でも多く、1日でも早く、良品廉価なクルマをお客様にお届けする」。(今は)厳しい状況です。ただ、こんな時こそ、明るく、笑顔で、前を向いていきましょう!
一生懸命、働きましょう!
チーム
組合を代表して、鬼頭委員長が佐藤社長と近執行役員が示した回答と具体的アクションに感謝と決意を示すとともに、佐藤社長への感謝の想いを述べた。
鬼頭委員長
改めて本年の労使協議会を振り返らせていただくと、どれほど環境が激変しようとも、現場で膝を突き合わせて「考える力」と「技」を磨き合うこと、こうした泥臭い行動とチームワークが、トヨタの最大の強みであると再確認できたと思っています。
これからの厳しい状況を労使で力を合わせ乗り越えていくために、まずは「1日でも早く、1台でも多く、良品廉価なクルマをお客様にお届けする」。この目的に向かい、トヨタで働く一人ひとりが、当事者意識を持って取り組んでいかなければいけないと強く思っています。
「自分達の当たり前は世間に比べてどうなのか」「もっとできることがあるのではないか」。こうしたことに常に自ら向き合って、問いかけて、マイナスをゼロに。そして確実にプラスへと反転させていく。
そうすることで、自動車産業で働く550万人の仲間の未来を守り抜いて、その先にあるお客様の笑顔に必ずつなげていく。こうした決意を常に忘れず、それぞれのアクションを今日から実践してまいりたいと考えております。
マネジメントの皆さんにおかれましても、それぞれの職場で、考動の模範となって頂き、組合員を後押ししていただきますよう、よろしくお願いいたします。
最後に、組合を代表して佐藤社長へ感謝の想いをお伝えさせてください。
佐藤社長が示し続けてくださった「挑戦」と「具体的なアクション」への拘りは、本年の労使協議においても、労使の想いを一つにする最大の原動力となったと思います。
しかし、その「挑戦」という覚悟・言葉の裏には、経営トップとして我々には計り知ることができない葛藤や重圧があったのではないかと思います。それでもなお、志を貫かれたのは、「クルマの未来を変えていく、その中心は常に『人』だ」という佐藤さんの強い信念があったからだと受け止めています。
「会社か組合かという壁を作らずにぶっ壊して、労使一丸の『チーム』になろう」。と仰っていただいた言葉、我々の胸に強く刻まれています。
今後、お立場が変わり、日本の自動車産業全体を牽引していただくことになりますが、これからも我々は「チーム」です。
自動車産業の明るい未来のために、「どんな状況になっても諦めない」「前に進み続けるんだ」と言ってくださった佐藤さんの信じてくれた「現場の力」を結集して、必ずお支え続けていくことをお誓い申し上げたいと思います。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
2023年の労使協から、会社側の代表を務めてきた佐藤社長は、4月から副会長およびChief Industry Officerに就き、自動車産業全体に貢献していく。
鬼頭委員長の「チーム」、「支えていく」といった言葉に、時折涙をぬぐうシーンもあった。
労使協は、これまでの労使の話し合いの総決算であり、これからの1年に向けたスタートを切る場でもある。最後に河合おやじが全体を総括した。
河合おやじ
今回の労使協では、お待たせしているお客様のために、「1台でも多く、1日でも早く、良品廉価なクルマを届ける」。そのために労使で何に取り組むのか、具体的な話し合いをすることができたのではないかと思います。
そして、さらなる生産性向上のために、自ら「技」を磨き、550万人の仲間と共に、競争力を上げていく。こうした考え方も労使で認識合わせをすることができました。
私たちはクルマづくりをしている会社です。クルマづくりに関係のない部署はひとつもありません。クルマづくりに関係のない人もひとりもいません。いいクルマを作って、しっかりお客様にお届けすることに、全員が貢献できるはずです。
前回申し上げた通り、一人ひとりが自ら学び、自ら挑戦してはじめて、達成感や成長、「やりがい」につながります。トヨタには、挑戦できる「場」と「仲間」がたくさんあります。一人ひとりの力は小さくとも、トヨタで働く全員が、自ら考え、挑戦することで大きな力となり、550万人の仲間と共に競争力を上げることに必ずつながります。
労使協議会は、ゴールではなく、これから1年のスタートを切る場でもあります。
また、会社が置かれている状況が非常に厳しいものであることは間違いありません。今回話し合ったことを、全員が、行動と成果につなげていきましょう。