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2026.02.18
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「意志ある踊り場」で「稼ぐ力」向上へ 労使の話し合い始まる

2026.02.18

2026年の労使の話し合いが始まった。年頭あいさつでこの1年を「『意志ある踊り場』にしていく」と語った佐藤社長。今年は何が話し合われるのか。

労使に問われる覚悟

鬼頭委員長

私たちを取り巻く環境はこれまで以上に急激に変化をしています。世界を見れば米国の関税措置による貿易摩擦や各地での紛争など、不透明さが一段と極まっている状況にあります。

国内においても物価上昇や働き手不足など課題はさまざまであり、これまでの常識が通用しない状況にあると認識しています。

そして何より、我々が身を置く自動車産業は、新興メーカーの台頭や日系メーカーの再編など非常に激しい競争環境の中にあり、経営の潮目が変わった事実を重く受け止めなければならないと認識しています。

しかし厳しさの要因は外部環境だけではありません。「私たち自身に緩みや慢心はないのか」、「現状のスピード感や取り組み姿勢で、これからの厳しい競争を勝ち抜くことができるのか」。トヨタといえども「生きるか死ぬかの瀬戸際」にあるという事実、正しい危機感を、しっかりと一人ひとりがより一層強く持たねばなりません。

だからこそ私たち一人ひとりが、豊田綱領にも記されている産業報国の精神に立ち返り、世界中のお客様に安心・安全で魅力あるクルマを確実にお届けするという原点を、改めて胸に刻んだうえで「自分たちに何ができるのか」「どういったことに貢献ができるのか」という問いを、「10年後も、50年後も世界で勝ち抜ける強い職場を残していく」という覚悟へ昇華させ、自らを変えていくことが必要だと思っています。

組合としては昨年11月の労使懇談会を機に、約5万8千の組合員が行動宣言を行いました。そして行動宣言の内容を常に意識し、それぞれの職場で未来を変えるために動き出しています。

私たちはこの動きをより加速させていきたいと考えています。今よりももう一歩踏み込んで、スピード感を上げ「仕事の仕方そのものを変え、自分たちで職場を変える」「未来を切り拓く」。こうした意志と覚悟を本年の要求に込めました。

本年の労使協議会では、まず私たちトヨタ労使が自分たちの足元を直視するところから始めていきたいと考えています。「品質問題による稼働停止の頻発」「度重なるプロジェクトの立ち上げ遅れ」「市場処置台数の高止まり」など、こうした現状を踏まえれば、「本当にこれで十分か」と問い続ける姿勢が弱まっているのではないかと思っています。忙しさを理由にやるべきことがやり切れていないということが、それぞれの職場にまだまだ多くあると感じています。こうした事実に労使で真正面から向き合いたいと思います。

その上で、組合として本気で変えていきたいことを2つ提起します。

1つ目は「私たち自身の仕事の質を徹底的にあげる」ことです。個別最適の改善に留まらず機能や会社の垣根を越えて入り込み、「本当に付加価値を生んでいるのはどこか」「ムダを見て見ぬふりしていないか」を徹底的に洗い出す必要があると感じています。

またTPSの原点に立ち返り、AI・デジタルも道具として使いながら業務の正味率を高めていく。その具体策を議論したいと考えています。

2つ目は「挑戦する行動が当たり前に広がる職場を実現する」ことです。

一人ひとりの行動のスピードを上げ、もう1歩踏み込むためには「領域を越えて汗をかく」「難しい仕事に手を挙げる」「人を育てる」。こうした行動が広がることが、もっと組織を強くしていくことだと思っています。

そのうえで、そうした挑戦が正当に評価され、後押しされる仕組みや制度についても行動を促進する観点から議論していきたいと考えています。

「私たちが、もっと変わる」。その覚悟を示したうえで行動につなげる。その結果、グループの競争力や産業への貢献が生まれてくるのだと思います。

一人ひとりが具体的な行動に移し、やり切るところまでやり抜く。本年の労使協議会をそのスタートの場にしたいと考えていますので、よろしくお願いします。

鬼頭委員長は続けて「自動車産業の更なる発展とトヨタの持続的成長のために、本年の“意志ある踊り場”で労使が未来に何を残すか?」という観点で話し合いたい2テーマを伝えている。

①日本と自動車産業の発展に力を尽くせる会社・職場・人財であるために、今後、垣根を越えて、さらに取り組みを進めること・変えるべきこと・挑戦すべきことは何か?
②「トヨタらしさ」を未来に残し続けていくために、組合員の“意志”を原動力に、チームの力を最大化するために変えるべき風土や制度は何か?

すでに報じられているように、組合からは7.3カ月(夏:3.7カ月、冬:3.6カ月)の賞与のほか、職種や資格に応じた賃上げも要求している。ただしトヨタの労使協議は、賃金・一時金を一番の目的としていない。トヨタや自動車産業を取り巻く課題の解決に向けて本音で話し合うことにある。

今年も河合満おやじが申し入れ書を受け取り、次のように応えた。

河合おやじ

昨年は、自然災害も含めたさまざまな困難に直面しながらも、新車の立ち上げも含めて合計で995万台ものクルマをお客様にお届けすることができました。これは組合員一人ひとりの努力・頑張りがあったからこそであり、心より感謝を申し上げます。

一方で足元では、度重なる稼働停止やプロジェクトの立ち遅れにより、まだまだ多くのお客様をお待たせし、販売店や仕入先さんにもご迷惑をおかけしています。

「いいクルマをしっかりつくって、しっかりお客様にお届けする」ことができていない。このことを、トヨタで働く全員が真摯に受け止め、できることをすぐに実行するだけでなく、今までよりも1歩も2歩も踏み込んだ改善を実行していく必要があります。

言われたことを言われたとおりにこなすだけではなく、一人ひとりが地道に・愚直に改善を重ね「良品廉価」を追求すること。

「強い現場」・「稼ぐ力」を次の世代に残すために、これが我々が諸先輩から受け継いできた“トヨタらしさ”だと思います。

今回の労使協議会が、お客様のため、自動車産業の仲間のため、未来の後輩たちのために、「意志ある踊り場」で何に取り組むのか、一人ひとりが考え、行動に移すための「場」にできるよう、労使双方が「覚悟」を持ち、「家族の会話」、本音の議論を重ね、具体的なアクションを決めて参りましょう。

最後に鬼頭委員長は、次のようにも語った。

鬼頭委員長

今回の申し入れ書でも書かせていただきましたが、本年は会社が掲げる「意志ある踊り場」において未来に何を残せるかが問われる、トヨタ労使にとって極めて重要な1年になります。

トヨタと産業の持続的成長のために「自分は何に貢献できるのか」、そして「チームの力を最大化するために何を変えるべきか」を徹底的に話し合いたいと思います。

そして単なる議論で終わらせることなく、必ず具体的な「アクション」と「変化」につなげていく場にしたいと考えていますので、よろしくお願いいたします。

第1回の話し合いは2月25日を予定している。

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