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拡大続けるエネルギーの選択肢 産業横断でタッグ 初戦鈴鹿

2023.04.14

脱炭素社会へ選択肢拡大を目指すスーパー耐久シリーズへの挑戦も今年で3年目に。開幕戦では、ここに集まった仲間たちが、それぞれ新エネルギーについて話した。

「敵は内燃機関ではなく、炭素である」。この想いで脱炭素社会に向けた選択肢拡大を目指し、参戦を続けるスーパー耐久シリーズ(S耐)ST-Qクラスでの取り組みが今年3年目を迎えた。

このST-Qクラスでは、カーボンニュートラルの選択肢を広げるため、「水素」「合成燃料」「バイオディーゼル燃料」の新しいエネルギーの実証実験を各社が進める。

水素エンジンカローラ(水素カローラ)は、その名の通り、燃料に水素を使う。水素は燃やしてもCO2(二酸化炭素)を排出せず、水しか出さない。

開幕戦は練習走行時に発生した車両トラブルにより欠場となったが、昨シーズンまでの気体水素の使用から、今シーズンはよりエネルギー密度の高い液体水素の使用に挑戦する。

また、昨シーズンライバル同士の熱いバトルを見せた28号車の「GR86(トヨタ)」と61号車の「SUBARU BRZ」が使用しているのは水素とCO2を合成してつくる燃料(合成燃料)だ。

さらに、55号車の「MAZDA SPIRIT RACING MAZDA3 Bio concept」が使用するのが、藻類や廃油を利用して精製されるバイオディーゼル燃料である。

合成燃料とバイオディーゼル燃料は、走行時はCO2を排出するが、大気中のCO2を回収するなどして燃料を製造することで、排出量は±0となる。

レースという極限状態で、新しい燃料のテストを重ね、市販化を目指す。

選択肢がないなら、自分たちでつくる

2023年シリーズの開幕戦があった鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)で3月18日に会見を行った佐藤恒治新社長はこの挑戦を続ける理由を次のように話した。

トヨタ自動車 佐藤社長

カーボンニュートラルを実現するのは「意志ある情熱と行動だ」「ここに選択肢がないなら、自分たちでつくっていこう」。この一心で、レースの現場で水素エンジンを鍛え続けてきました。

昨年からは、水素エンジン車両に加え、カーボンニュートラル燃料で走る新たな選択肢に向けた挑戦も進めています。

回数を重ねるごとにエネルギーを「つくる」「はこぶ」「つかう」の全体のサプライチェーンを考えた取り組みの大切さを感じています。

そういった重要性からも多くの仲間が増え、連携が進んでいます。

開幕戦で増えた9社の仲間たち。これで総勢39社となった。

水素エンジン車両でS耐へ初参戦したのは2021年5月。当時はまだ、共に戦う仲間は8社しかいなかった。それが2022年の最終戦では30社まで増え、今回、さらに9社が加わり、総勢39社となった。

トヨタ自動車 佐藤社長

液体水素に関連する関係会社はもちろん、それ以外の自動車部品においてもサステナビリティやカーボンニュートラルに資する部品の開発もこのレースで進められています。

量産へ向けた自動車技術の挑戦が幅広く行われているのが、今のS耐だと思っています。

(脱炭素社会を実現するためには)自動車の技術も大切ですが、それ以上に大切なのは、全体のエネルギーのサプライチェーンを考えることだと強く思っています。

現場で努力をしていくことで、カーボンニュートラルの山の登り方、多様な選択肢を持って未来をつくっていく大切さ、(それに対する)世の中の理解を得ることを、チームワークよく、意志と情熱をもった仲間と進めていきたいと思います。

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