販売店や仕入先で働く人たちへも還元されるよう「人への投資」を増やすというトヨタ。今回の決断に込められた想いとは?
お金だけじゃないトヨタ流の支援
――仕入先も含めた「人への投資」「成長領域への投資」を8,300億円に拡大する。具体的にどう進めていくのか?
山本正裕 経理本部長
仕入先さんとは「共存共栄」で、支援は期初から具体的な金額を決めてやってきています。ですが、数字だけの話ではありません。
現場に一緒に入って改善を進めていく、改善の原資に使っていく活動が始まっています。トヨタイムズにもっと詳細なお話があります。
例えば、物流改善で入荷と出荷の作業のバッティングを改善してあげよう、重い荷物を運ぶ作業にからくりを使って、仕事を楽にしてあげようということもあります。
また、古い設備のブレーキが壊れてしまい、RAV4のブレーキ(パッド)を使ってみたらうまくいったということもあります。
こういう活動を、1次仕入先さんだけじゃなく、2次仕入先さん以降も含め、現場に入って一緒にやっています。お金だけの話ではありません。
引き続き、こういった点も見守っていただけると大変ありがたいです。
トヨタだけでは意味がない
――「人への投資」のサプライチェーン全体への浸透具合は? 課題は?
上田裕之 渉外広報本部長
トヨタ1社だけが残ってもまったく意味がありませんので、サプライチェーン全体でしっかり盛り上げていけるよう、貢献していきたいと思っています。
特に直接お取引がある仕入先さんとは、何に今困って、苦しんでいるのか、一つひとつコミュニケーションを取らせていただき、それぞれの状況に応じた支援をさせていただいています。
一方、自動車産業は非常に裾野が広く、いろいろな関係者がおられるので、トヨタ1社だけの頑張りで業界全体を引っ張っていくことはなかなか難しいところもあります。
日本自動車工業会や日本自動車部品工業会(部工会)とも連携をとらせていただき、我々、自動車メーカーから1次仕入先に、2次仕入先以降には、部工会にも協力いただきながら、自動車産業全体で、550万人が「幸せの量産」につながる活動をしていけるような道筋づくりをさせていただいています。
この活動は、いつまでも続けていかなければいけないので、いろいろな課題もあると思いますが、サステナブルに、業界全体を挙げてやっていく取り組みにしたいと思っています。