空飛ぶクルマの協業パートナー、Joby Aviationの電動垂直離着陸機が日本の空を飛んだ。ここに至るまでには、トップ同士が深めてきた信頼関係があった。
Jobyの空飛ぶクルマ、日本初飛行
「最高だったよ!」クルマから降り、大興奮のJoby Aviationのジョーベン・ビバートCEOに、「次回は空でドーナツを!」と豊田章男会長がニヤリ。がっちりと肩を組んで記念写真に収まった――。
11月2日、トヨタは、空のモビリティの協業パートナーであるJobyの電動垂直離着陸機(eVTOL * 、いわゆる“空飛ぶクルマ”)が日本で初めての試験飛行を行ったと発表した。
米国外で初となるフライトの舞台となったのは、富士山のふもとのトヨタ 東富士研究所(静岡県裾野市)。
*イーブイトール:Electric Vertical Take-Off and Landing。短い距離を繰り返し運航できるよう設計された空のモビリティ。都市圏の通勤者や出張者、旅行者などでの利用が見込まれる。ヘリコプター、ドローン、小型飛行機の要素をもち、信頼性、環境性(ゼロ・エミッション)、静粛性などに優れる。Joby機は運転手も含め5人乗り。最高速度は約320km/h、航続距離は約160km。2日にあった式典では、悪天候のため、予定していたデモフライトは叶わなかったが、10月末から進めていた準備では、テスト飛行を行ってきた。
Jobyとトヨタは2019年の協業スタートから、7年近くにわたり、協力関係を育んできた間がらだ。
単なる出資関係を超えて、生産技術やトヨタ生産方式(TPS)での支援、さらには、ハイブリッド技術で培ったモーターの構成部品の供給なども行っている。
2日に行われた会見で、同社のジョーベン・ビバートCEOは「品質の高いクルマをつくり、世界で信頼されているトヨタとパートナーシップを結ぶことができて光栄です。ワクワクする夢をともに実現できるのがとても楽しみ」とあいさつ。
トヨタの中嶋裕樹副社長は、トヨタグループの礎を築いた豊田佐吉の時代から続く「空のモビリティへの想い」を語り、「ジョーベンCEOのような、夢と情熱を持ったパートナーを応援し、ともに世界に挑戦したい。誰もやったことがないことにチャレンジしたい」と応じた。
両社にとって記念すべき一日。ここに至るまでには、ビバートCEOと豊田会長が築いてきた信頼関係があった――。