Woven City着工へ秒読み! プロジェクトを担う新会社再編の狙いをリーダーたちの証言からひも解く。
Woven Cityにかける想い
昨年11月、トヨタの中間決算で、社長の豊田はWoven Cityの着工日を2月23日にすることや、高齢者、子育て世代、発明家など、360人の住民が住むことを明らかにした。
今回はこの街の発展に欠かせない発明家やパートナーとの協調について構想が語られた。
――Woven Cityの協調・競争領域をどのように考えているのか?
カフナーCEO
Wove Cityは、未来の人々の暮らしや働き方、学び方、交流、コミュニケーション、移動など、人々にとってより良い価値をどのように生み出せるかという点を重視しています。
スマート・モビリティの新しい未来を創造するすべての技術が社内にあるわけではありません。素晴らしいアイデアを持っている発明家の方々と協力する必要があります。
Woven Cityは、イノベーターや発明家の方々とともに新しい技術を開発し、実証したりすることで、新しい価値を生み出すことができる場所です。
豊田社長が1年前にWoven Cityプロジェクトを発表して以降、プロジェクトに興味を持ち、ファンになってくれた企業や発明家、イノベーターの方々から3,000以上の連絡をいただきました。関心の高さを実感しています。
どうすれば幸せを最大化できるか、人々への価値を最大化できるかという考えで動く限り、パートナーの方々と、ビジョンやミッション、ゴールを共有しながら取り組むことができると思います。非常にワクワクしています。
パートナーと一緒に、新しい技術、製品、サービスを生み出していきます。
もちろん、一つの場所だけで使われるものではありません。開発と実証を迅速に行い、改善しながら、生み出したものはグローバルに展開していきます。
Woven Cityで開発された技術や製品、サービスを世界中のスマートシティに導入していきたいと思っています。
なぜなら、こうした取り組みは静岡県だけに限らず、世界に幸せを提供するためのものだからです。
一昨年、トヨタイムズの香川編集長にパートナーシップの考え方について聞かれた豊田は、次のように答えている。
豊田社長
トヨタだからできることがあると思う。でもトヨタだけではできない。だから「世界中の皆さん、一緒にやりませんか?」「この指とまれ」と多くの賛同者とともに、未来を始動させたい。
そこから間もなくして発表されたのがWoven Cityだ。この街には、そんな豊田の強い想いが受け継がれている。
なお、この日、質疑応答には出席しなかったが、Woven Planet Holdingsの豊田大輔Senior Vice President(SVP)はWoven Cityで目指すものを次のように語っている。
豊田SVP
人は一人ひとりおいしいと思う味が異なります。
ベースとなるような味は用意しつつも、一人ひとりの好みの味を大切に、それぞれが満足できる味を追求できるよう、改善、成長し続けることが大切だと思っております。
Woven Cityにも同じ思いで取り組んでいます。私たちが最も大切だと思っていることは、ヒトを中心に、住む方一人ひとりの生活を想像しながら取り組むことです。
一人ひとりの目線で何が必要とされ、どのようにして、その幸せが実現できるのか考え抜き、幸せがあふれる街を、思いをともにする仲間と一緒につくっていこうと思っています。
Woven Cityはそこに住む住民やパートナーとともにつくりあげる街であり、「幸せ」という、十人十色の命題に対して、改善を重ね、その答えに迫っていく取り組みである。
約1年前、米ラスベガスで開かれたCESの場で豊田が語ったときには夢物語のように感じられたプロジェクトが、ついに現実のものとなって動き始める。