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Woven City着工へ本格始動 リーダーたちが語る再編の狙い

2021.02.19

Woven City着工へ秒読み! プロジェクトを担う新会社再編の狙いをリーダーたちの証言からひも解く。

Areneとは?

今回の質疑応答の中で、カフナーCEOがたびたび言及したのがAreneだ。しかし、その概念は非常に難しい。

記者からは、「もっとわかりやすく解説してほしい」というリクエストが出た。

――Areneとは何をするものなのか? 商品化されるのはいつか?

カフナーCEO

例えるならば、パソコンで言う「Windows」のようなものです。Microsoft Windowsは人類史上、最も付加価値を生み出したソフトウェアだと思います。

その素晴らしかった点は、ハードウェア抽象化レイヤー(ハードウェアごとの仕様の違いをソフトウェア側で吸収し、共通の方法で取り扱う役割を果たす階層のこと)を持っていたことです。

これにより、ソフトウェアとは独立して、コンピューティングデバイスのメモリストレージ周辺機器をアップグレードでき、また、古いハードウェアでも新しいソフトウェアを動作させられるようになりました。

ハードウェアとソフトウェアが独立して開発できるようになったことは、非常に大きな変化をもたらしました。iOSAndroidで起こっていることも同じです。

Androidはさまざまな種類のハードウェア上で動作するプラットフォームを提供していますが、加えて優れたツールや開発環境も提供しています(自動車には)それが今までありませんでした。私たちはそれを作り出したいと考えています

カフナーCEOは、米Googleでまだ自動運転開発が秘密裏に行われていたころからの創設メンバーの1人であり、後にロボティクス部門のトップも務めていた人物である。

そんな自身のエンジニアとしての経験を例にAreneの構想について話し始めた。

どのように、優れた、拡張可能なアーキテクチャーを設計できるのか。

私が20年間のシリコンバレー生活で学んだことは、(この分野には)多くの競争相手がいて、ソフトウェア・エンジニアリングにはさまざまなデザインが存在するということです。

しかし、アーキテクチャーを含め、良くデザインされたソフトウェアは拡張性と柔軟性を備えています。

それをAreneで現実に向け、加速させたいと考えています。(Areneは)先進的で、今の時代に合う、拡張可能なものです。

自動運転ソフトを開発するときに出てくる問題があります。

実は自動運転でクルマを走らせる際に必要な車載ソフトウェアは10%のみで、残りの90%は、機械学習システムを構築してデータを処理、操作し、実装、コードレビューを行い、ソフトウェアのアップデートやログ解析、シミュレーションを行うために必要なツールなのです。

つまり、開発するソフトウェアのほとんどが、オフボード(車両の外)かクラウド上で実行されています。

これこそが、私たちが生み出そうとしているエコシステムと開発環境であり、非常に安定的、かつ優れた設計で構築されたプログラムなのです。

私たちのもの以外にも選択肢は数多くあるでしょう。イノベーションを加速する競争は良いことだと思います。

その中でも、AreneWoven Planetグループが、質の高いソフトウェアと最新のツールで、最も安全なモビリティ・エコシステムを構築するリーダーになることを願っています。

話は、Areneが持つ可能性へと及んでいく。

カフナーCEO

多くの自動運転関連企業がトヨタ車やレクサス車を使って開発を行っています。

10年前、私がGoogleで自動運転技術開発のプロジェクトに参画していたとき、使っていたクルマはトヨタのプリウスでした。

なぜならハイブリッド・シナジー・ドライブが完璧な開発プラットフォームだったからです。あらゆるセンサーを取り付けて演算することができました。

電圧レベルが下がると、ガソリンエンジンが作動してすべてを充電、フル稼働させ、給油も5分で済むので、年中無休の開発が可能でした。

自動運転技術や新しいアプリケーション、サービスを開発するプラットフォームとして利用していました。

しかし、プログラミングは大変でした。トヨタ車をプログラムするのは難しかった。

Areneを使うことで、こうした問題は基本的には解消できます。安全かつ簡単にプログラミングができるようになり、多くの企業もAreneAPIApplication Programming Interface:ソフトウェアの機能を共有できる仕組み)を使ったプログラミングが可能になります。

信頼性が高く、ランニングコストが低く、エネルギー効率の良いモビリティ・プラットフォームを活用できるようになるのです

また、これらのサービスや製品をWoven Cityというリアルな環境でどのように実証し、拡張していくかも検討しています。

Areneは、いわばビークルOS”だが、プログラミング可能な領域が、個人所有のクルマ(オートモーティブ)にとどまらず、将来的にはスマートシティやスマートホーム環境に接続されるサービスも含めたモビリティ(ビヨンド・オートモーティブ)にも及ぶ。

さらに、このAreneプラットフォームを共有することで、Woven Planetグループだけでなく、世界中の開発者がプログラムに参加できるようになる。

オートモーティブからビヨンド・オートモーティブへ。Woven Planetグループから、世界中のパートナーへ。

Areneは、世界中のお客様への「幸せの量産」に向け、要となるプロジェクトであり、AreneをはじめとするWoven Planetグループのチャレンジやイノベーションの数々は、Woven Cityというリアルな環境で実証・実装されていく。

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