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2021.02.17
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トヨタ春交渉2021 要求申し入れ ~能力を、最大限発揮できる環境へ~

2021.02.17

トヨタ労使の"話し合い"が始まった。今年、組合からは処遇の話よりも前に話し合いのテーマが申し入れられた。

今年も“春闘”の季節がやってきた。ただしトヨタでは、一般的な交渉とは違った“話し合い”を行っている。

賃金・賞与(ボーナス)について、会社と労働組合が対立軸で闘うことが目的ではない。組合員一人ひとりの能力を最大限に活かし、オールトヨタの競争力を最大化するため、賃金・賞与に限らず本音で話し合うという特徴がある。

そこには、1962年に会社と組合が締結した「労使宣言」の存在がある。その中にある「共通の基盤に立つ」という文言は「会社は従業員の幸せを願い、組合は会社の発展を願う。そのために従業員の雇用を何よりも大切に考え、労使で守り抜いていく」という、トヨタの労使関係の原理原則を示している。

共通の基盤に立てているか

しかし、本当に両者が同じ基盤に立てているのか?

社長の豊田章男が抱いてきた問題意識を受け、昨年の労使交渉では、議論をする机の配置が大きく変更された。

組合と会社が向かい合うのではなく、机を三角形に配置。3辺にはそれぞれ下記のように並んだ。

豊田はその意図をこう話した。

「マネジメントの皆さんの言動が変わらなければ、組合員の皆さんの言動も変わらない。今回、このような配席にしてもらったのは、マネジメントに伝えるべきことはマネジメントに面と向かって伝えるしかない」

職場のマネジメント層が話し合いに加わることで、全員参加の“話し合い”となった。

新型コロナウイルスの感染拡大が続く今回は、どのような話し合いが行われるのだろうか。

2月17日、トヨタ自動車労働組合から会社に対して申し入れが行われた。

西野勝義執行委員長

新型コロナウイルスが感染拡大し、トヨタにおいても、多くのラインが一時非稼働となるなど先の見通せない苦しい時期もあった。しかし、こうした状況下でも、組合員は働き続けることができている。

これは決して当たり前ではなく、お客様はもちろん、関係各社・地域の皆さま、そして会社に対して改めて感謝を申し上げたい。

一方、自動車産業の構造が変化する中、トヨタはモビリティ・カンパニーへの変革を加速させる必要がある。

本年の労使協では、私たちを支えてくださっている方々への恩返しのためにも、組合員一人ひとりがいかに成長し、持てる力を最大限に発揮できるか。

そのために労使それぞれが何をすべきか議論したい。

組合の西野執行委員長はこう続けた。

西野勝義執行委員長

さらに、モビリティ・カンパニーとして生き残るために、これまでの労使の議論から一歩踏み込んだ内容についても、本音の議論を行いたい。

この議論を通じて、組合員一人ひとりが、自分以外の誰かのために力を最大限発揮できる環境を整え、さらなる働きがい向上や成長を後押しする。

そして、組合員一人ひとりの頑張りを、トヨタに関係する皆さんの幸せにつなげていきたい。

トヨタの持続的成長に向けて、下記観点で議論をしていく。

① 働きがいや能力の、最大発揮を阻害する全社的課題

② 自動車産業のさらなる発展に貢献するため、オールトヨタの力を最大化し、さらに取り組むべきこと

本年の労使協議会では、厳しい環境下でも働き続けられていることへの感謝を労使で共有。

そのうえで、組合員一人ひとりが能力を最大限発揮できるようにするため、またオールトヨタの力を最大化するために、労使が取り組むべきことについて議論を尽くしたいと考えております。

今回の申し入れは、賃金や一時金の要求よりも前に、トヨタの持続的成長に向け、話し合いたいテーマが示された。

自分たちの処遇の話ではなく、「組合員の働きがいや成長」またそれが「誰かの役に立つ」という幸せについて、より深く議論をしたいという申し入れである。

この組合の申し入れを受けたのは、議長の河合満エグゼクティブフェロー。

50年以上“ものづくり一筋”で、総務・人事本部を担当する副社長になったときも、執務室を本社でなく工場の中に置き続けた“おやじ”である。(“おやじ”の紹介はこちら)

河合は次のように語った。

河合満議長

コロナ禍でも、トヨタがクルマをつくり続け、お客様にお届けできているのは、自動車産業に関わる多くの皆様の支えと、従業員一人ひとりが「今やるべきこと」を自ら考え、行動してくれているおかげだと思います。

生産が止まっているときにも、地道に原価低減や改善に取り組んでくれたことや、世の中が必要とするマスクやフェイスシールド、消毒スタンドの生産に自主的に取り組んでくれたことは、本当に頼もしく感じました。

どうすればいいか分からず、出金を抑えることしかできなかったリーマン・ショックのときと比べ、トヨタで働く一人ひとりが、確実に成長してきたのだと思います。

「一人ひとりが成長し、全員が活躍する」という目指す姿に向けて、これまでも労使で多くの話し合いを重ねてまいりました。

コロナ禍の今、これまでの「当たり前」が「当たり前」ではなくなり、改めて気づくこともあったのではないかと思います。

本年の労使協議会では、そうした気づきも踏まえた一年間の総決算の場として、トヨタという会社にとって、そして従業員一人ひとりにとって「本当に大切なことは何なのか」、議論を尽くしてまいりたいと思います。

トヨタイムズでは、今年も労使交渉を余すところなくレポートしていく。第1回の協議は224日を予定している。

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