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2026.06.05
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日本の音楽の世界展開 多方面でサポート 「MUSIC WAY PROJECT」の現在地

2026.06.05

2025年、トヨタグループと連携を発表した一般社団法人カルチャー アンド エンタテインメント産業振興会(CEIPA)。結成の狙いは?トヨタグループに期待することは?稲葉豊理事に話を聞いた。

「クルマとエンタテインメントが一体化して、日本の文化として海外から見ていただけるようになればいいなと思います」

一般社団法人カルチャー アンド エンタテインメント産業振興会(CEIPA)の稲葉豊理事は、トヨタグループと進む未来を想像し、こう語った――。

京都から世界へ、日本のアーティスト・音楽の魅力を届けた国際音楽賞「MUSIC AWARDS JAPAN 2025」。それから約1年、今年は場所を東京に移し、全78部門でアーティストや作品が選出される。

この「MUSIC AWARDS JAPAN」を手掛けているのがCEIPAだ。

昨年2月、CEIPAとトヨタグループによる共創プロジェクト「CEIPA×TOYOTA GROUP“MUSIC WAY PROJECT”(以下MUSIC WAY PROJECT)」の開始が発表された。「トヨタがなぜ音楽を?」と思った読者もいるかもしれない。

今回は「MUSIC AWARDS JAPAN 2026」の開催を前に、共創のきっかけをつくったCEIPAの稲葉理事に、CEIPA結成の経緯やトヨタグループへの期待、見どころなどを聞いた。

CEIPAはどのようにして生まれたのか?

CEIPAの設立は2023年末。日本レコード協会、日本音楽事業者協会、日本音楽制作者連盟、コンサートプロモーターズ協会、日本音楽出版社協会の5団体で構成し、音楽をはじめとするエンタテインメント産業を世界にプロモートすることを目的に結成した。

構成会員の1つでもある、日本レコード協会によると、日本の2025年の音楽ソフト・配信売上推計は約4,000億円。経済産業省の調査では、日本の音楽市場は国内を中心に、北米に次いで世界第2位の規模まで発展してきたという。

しかしコロナ禍の巣ごもり需要もあり、世界的に音楽ビジネスがデジタルのプラットフォーム、ストリーミングのプラットフォームに移行する中で、日本は思うような成長を見せなかった。背景には、世界第2位という市場規模、地理的、言語的な壁もあった。

稲葉理事は「日本の音楽業界のデジタルへのシフトは喫緊の課題」と語る。

CEIPA 稲葉理事

デジタルになることによって物理的な垣根が低くなり、日本から発信する音楽が、地理的な条件を越えて世界に広がりやすくなりました。「デジタル≒グローバル、海外」ということです。

定量的なインパクトでいうと、特にコロナのタイミングで巣ごもり需要が、動画配信サービスに拍車をかけていった状況があり、音楽のストリーミングも、その大きな枠組みの中で(市場を)伸ばしていました。

世界のマーケットでいうと、2020年から2~3年で130%ぐらい。翻って日本を見ると、104~5%ほどで、前年プラスアルファぐらいの状況でした。

「その差はどこに起因するんだ?」と見てみると、デジタルに対してのシフトが、結果的に踏み込みが浅いということ。それはつまり海外展開が、そこまで意識的に行われていないということです。

同時期に、文化庁長官に就任した都倉俊一氏(2026年3月退任)からも、日本の音楽をどうグローバル産業にしていくかという問題提起があり、日本の音楽の主要5団体が団結。CEIPA設立に至った。

「MUSIC WAY PROJECT」と「MUSIC AWARDS JAPAN」

CEIPAが掲げるテーマは「日本のアーティスト、音楽をどう世界に広げていくか」。その手段として進めるプロジェクトが「MUSIC WAY PROJECT」と「MUSIC AWARDS JAPAN」だ。

「MUSIC WAY PROJECT」は、昨年トヨタイムズでも報じた通り、音楽で世界に挑戦する「人づくり」と「場づくり」に通年で重点的に取り組む。

「MUSIC WAY PROJECT」の主な取り組み

「MUSIC AWARDS JAPAN」は、「MUSIC WAY PROJECT」で取り組んできた成果を、国内外に示す象徴的なイベントとして位置付けられている。もちろん現在は「MUSIC WAY PROJECT」が走り始めたところなので、ここから生まれたアーティストや音楽が「MUSIC AWARDS JAPAN」で披露されるようなことは多くはない。

それでも稲葉理事は「5年、10年と続いていく流れの中で、そういうサイクルになっていってほしい」と青写真を描く。

「MUSIC WAY PROJECT」と「MUSIC AWARDS JAPAN」は、日本のアーティスト、音楽を世界に発信するための両輪の関係にある。

では、そんな活動を続けるCEIPAが、パートナーであるトヨタグループに期待する役割とは何だろうか?

なぜトヨタ?

昨年2月の共創発表会見で、豊田章男会長はCEIPA支援の根底に「日本が大好き」という想いがあるとして、このように語っている。

豊田会長
さらに言えば、我々、自動車産業も日本代表として戦っているつもりですが、なぜか日本ではそのことを理解してもらえていないと感じます。

そんな悔しさを感じているときに、CEIPAの皆さんや都倉さんにお会いいたしました。

そこで日本のエンタメも、やはり日本のために世界で戦おうとしていることを知りました。

私は純粋にそれを応援したいと思いました。

昨年2月の会見で登壇した(左から)豊田会長、CEIPAの村松俊亮 理事長、都倉長官(当時)

では反対に音楽業界、CEIPAの立場から、なぜトヨタだったのか。

CEIPA 稲葉理事
「日本のアーティスト、音楽をどう世界に持っていくか」というところで、官民さまざまなサポートをいただかないと、この規模感のテーマは成し得ないだろうなと思っていました。

日本のアーティスト、音楽は、ある意味で日本を背負う形で世界に出ていくことになります。

(そんなときに)「どういう企業のサポートがあると(世界中の方々にとって)一番分かりやすいのか?」という中で、トヨタは日本を代表する企業であり、世界No.1の自動車メーカーです。世界のほとんどの人の企業認知があるトヨタとご一緒にやらせていただくことが、一番(世界中の方々にとっても)分かりやすいんじゃないかと思いました。

また日本の音楽市場の大半が国内でとどまっていることから、これから日本のアーティストや音楽が産業としてグローバル展開していくという観点でも「トヨタグループのノウハウから学ぶべき部分がある」という。

「各国のベーシックなマーケティングの捉え方や市場の特性みたいなものは、おそらく音楽業界の人間が語るより、トヨタのその地域のマーケティングのご担当の方々に、定量定性をお話しいただいたほうがいいんじゃないか」と期待を寄せた。

ところで冒頭で少し触れたが、もともとトヨタの子会社を通じて、トヨタに支援を呼びかけたのが稲葉理事。2年ほど前のことだが、当時は「MUSIC AWARDS JAPAN」のみの協力依頼だったそう。

まだセレモニーの影も形もない状態。出演するアーティストも決まっていない。とにかくCEIPAという組織がどんな想いで設立し、アワードにどんな意義があるのか熱意を込めて伝えるしかなかった。

稲葉理事にとっては「『MUSIC AWARDS JAPAN』のサポートだけでも」という想いだったが、豊田会長からは「『MUSIC AWARDS JAPAN』もいいけれど、CEIPA全体の活動に非常にシンパシーを覚えるので、CEIPA全体の活動も、トヨタグループとしてサポートできるのであれば、考えてみたら」という主旨の返事があったそうだ。

「もうびっくりでした」。

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