空飛ぶクルマの協業パートナー、Joby Aviationの電動垂直離着陸機が日本の空を飛んだ。ここに至るまでには、トップ同士が深めてきた信頼関係があった。
陸と空の“ドーナツ”
面会を重ねるたびに、Joby機への期待に胸を膨らませていった豊田会長。「開発を急げとのプレッシャーではない。安全が第一!」と念を押しながらも、本音は「早く乗りたい」。そう度々伝えてきた。
2日の会見が終わった後も、「早く乗りたい!」(豊田会長)、「すぐにでも乗せるよ。ただフライト・エンジニアとしてね(笑)」(ビバートCEO)と談笑する場面も。
すると、今度はビバートCEOから「僕もお願いが…。章男さんの運転するクルマに乗せてもらえないかな?」とリクエスト。
これに豊田会長が応じ、「じゃあ、今から、乗せるよ! 今日はデモフライトができなくて残念だけど、雨だからよく滑る。ドリフトにピッタリでしょ?」と、急遽、86での同乗体験が行われることに…。
記事冒頭の場面は、このときのワンシーンだった。ひとまず先に陸で“ドーナツ(ターン)”を描き、「次回は空で!」。2人は改めて約束を交わした。
両社トップをつなぐ想い
「このパートナーシップは『会社と会社』というより、『人と人』のつながりがきっかけだと思う。お互いに『この人とだったらやっていける』と直感した部分はどこか?」
会見後、記者にこんな質問を投げかけられた2人は次のように答えた。
豊田会長
初めてお会いしたときも、今日お会いしたときも変わらないです。「世の中を変えたい」とか、「新しいモビリティを提供したい」とか、軸になる考えが変わっていないと思いました。(会見の)ステージ上で、2 人で話していたときも、「今日がリアルスタートだね」とささやいていました。ゴールでなくて、今日がリアルなスタート。
ビバートCEO
私は、人と人との関係を築くときには、いつも生涯続くような関係づくりがしたいと思っています。短い人生の中で重要なのは、与えられた時間でできる限り世界に貢献する。自分の持っている時間を使って、世界がより良くなるために自分にできることを行っていくことを大事にしています。こうした想いは私たち2人に共通していること。「世界をより良くしていきたい」というコミットメントが2人をつなげているのだと思います。