家庭的でプロフェッショナル WRCを戦うのはそんなチームだった!

2023.01.20

WRC(世界ラリー選手権)の初戦がいよいよ開幕! 東京オートサロン2023に駆け付けたチームの顔とモリゾウとのトークセッションには、チームの魅力が詰まっていた。

1月13~15日にかけて幕張メッセ(千葉市)で実施された東京オートサロン2023。3日間で約18万人のクルマ好きが足を運び、会場は熱気に包まれた。

期間中、TOYOTA GAZOO Racingのブースでは、さまざまなテーマでクルマファンを魅了するステージイベントが行われた。

今回取り上げるのは、中日の14日に実施したトークセッション「フィンランドのチームってどんなチーム?」

登壇者に、モリゾウこと豊田章男社長と、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)のヤリ-マティ・ラトバラ代表、春名雄一郎プロジェクトディレクターを迎え、トヨタイムズ・富川悠太キャスターが司会を務めた。

右からモリゾウ、春名プロジェクトディレクター、ラトバラ代表、富川キャスター

豊田社長は同チームのことを「家庭的でプロフェッショナルなチーム」と表現する。そんなWRTの魅力がにじみ出たセッションをレポートする。

因縁のモリゾウVSラトバラ対決

セッションは、11月のWRC(世界ラリー選手権)日本ラウンド「ラリージャパン」後に人知れず行われたモリゾウとラトバラ代表のダートバトルの映像で始まった。

愛知県蒲郡市のコースで、2人が駆る86が土煙を上げてタイムを競う。ラトバラ代表から、“泣きの1回”が申し込まれ「勝負の行方は…近日公開」と締めくくられる――。

「結果がどうなったのか気になりますよね」。ステージ上の富川キャスターはそう客席に投げかけ、ゲストの3人を招き入れた。

富川
さあ、今ご覧いただいたラリー対決の結果はどうだったのか。まあ、このラトバラさんの表情を見ていただければ大体分かるかもしれないんですが…。

すると今度は、モニターに結果が出た後の2人のやりとりが…。そこにはモリゾウに軍配が上がり、頭を抱え込んで天を仰ぐラトバラ代表の姿…。

富川
ということで、モリゾウさんの勝利でした!

立ち上がってガッツポーズするモリゾウ。客席からは笑いと拍手が起こった。

モリゾウ
こっち(ラトバラ)はワールドチャンピオンですからね。こちらは普通の運転好きのおじさんですから。

富川
普通の運転好きのおじさまがワールドチャンピオンに勝った。そりゃ悔しいですよね? ラトバラさん。

ラトバラ
モリゾウさんご自身では、「普通のクルマ好きのおじさん」って言っていますが、セミプロですよ。

でも、正直、モリゾウさんに負けたときは、どの世界大会で負けたときよりも悔しかった。この負けは認めたくないと思っていました。私、「負け嫌い」ですので(笑)

富川
本気で走ってますからね、ラトバラさんも。

モリゾウ
いや、本気でやってるんですよ。WRTのメンバー、全員本気で戦ってくれていますから。

富川
実はラトバラさんだけじゃなくて、ワールドラリーに参加したドライバーたち全員が対決したんですよ。一人しかモリゾウさんに勝てなかった。

モリゾウ
ただね、その理由はね、ルールは完全にこっちで決めている(笑)

富川
乗り慣れたたコースで。

モリゾウ
それで1回も試走をさせません。どんなクルマでやるかもこちらが決めましたから。そこまでしないと勝てません(笑)

富川
実はラリーだけじゃなくて、レースでもモリゾウさんとラトバラさんの対決をやってるんですよね。

モリゾウ
ご覧いただいたように、彼はWRCで(自分が)戦ったクルマを自分の博物館に飾りたいわけです。

富川
2017年優勝時のクルマをコレクションにしたいと。

モリゾウ
そのリクエストがあり、「僕に勝ったらね」ということで、この戦いが続いているんです。

富川
まだ勝てていないと。

ラトバラ
そうなんです。どうしてもあのクルマがほしいので、自分にもすごいプレッシャーをかけちゃってるみたいなんです。だからかな…。なかなか勝てないんです。

次の対決までには絶対ほしい。こんなにがっかりしたくない。なんとか勝ちたいと思っています。

モリゾウ
次の対決がもうすぐなんですよ。来月フィンランドで。

富川
フィンランドにモリゾウさんも行かれて。

モリゾウ
フィンランドのトレーニングと兼ねて、ラトバラさんと私の第3戦目

*初戦は昨年トヨタイムズ放送部で生中継を行ったスーパー耐久富士24時間レース。予選はモリゾウ、本戦はラトバラ代表の勝利で一勝一敗のドローだった

富川
蒲郡はモリゾウさんのホームコースですが、フィンランドっていうとラトバラさんのホーム。ホーム&アウェイ形式ってことですね。

モリゾウ
そうです。

富川
でも春名さん、この対決、本当にガチンコなんですよね。

春名
そうですね。ガチンコで楽しみつつ…と思ってたんですけど、勝負事なので、最後はワールドラリーに出ているのと同じくらい、みんな真剣にやっている。

ちょっとおもしろいような…。もうちょっとワールドラリーに出るときも真面目にやろうか…みたいな(笑)。

富川
モリゾウさんとの対決とチーム代表として参加する世界ラリー。どっちの方がプレッシャーですか?

ラトバラ
もちろんモリゾウさんとの対決の方がプレッシャーです。

フィンランドラウンドの次も既に!?

モリゾウ、ラトバラ代表のガチンコバトル。実は“次の次”の戦いの予定まで、既に決まりつつあるという…。

富川
ラトバラさんがラリー北海道にも出るという話が…。

モリゾウ
そうです。さっきデモランしたRally2という車両で、勝田範彦さんが新城ラリー(愛知県)から出場します。

範彦さんとヤリ-マティのガチンコRally2車の戦いが、北海道全日本ラリーで見ていただけるんじゃないかと思っていますので、ぜひお楽しみにいただきたいなと。

富川
もう拍手していただける方が。ありがとうございます。皆さん好きなんですね。

春名
さっき、モリゾウさんが「一緒に出る…」みたいな話を…。

モリゾウ
そうです。私がラリーチャレンジに出ているクルマを、今年は全日本ラリーにも出られるようにしています。

全日本ラリーはまだ1回も出たことないんですが、2人が出るなら出て行こうかなと。

富川
え! 本当ですか!? ちょっとニュースになっちゃう。では、そこでも本当の本当のガチンコ対決が見られるってことですね。

モリゾウ
クラスが違うのをどうカウントするかもありますが、ぜひ、個人戦も含めて、お楽しみいただきたいなと。

富川
すごい楽しみですね。ラトバラさんにこれを聞いておきましょうか。Rally2カー、世界初披露のとき、私もコドラさせていただきましたけれども、乗り心地、乗り味どうですか?

ラトバラ
まず、素のベース車のGRヤリスが素晴らしいつくりなので、すごく走りやすい。すごくいいクルマに仕上がっていると思っています。

そのクルマと同様に、Rally2のクルマもすごく機敏で、ハンドリングがしやすい。今日も乗りながら、モリゾウさんと「自然にたやすく扱える」という話をしていました。

富川
ラリージャパンのときに世界初披露となりましたが、あのときからわずか2カ月でさらにいいクルマになっているってことですよね。

モリゾウ
あのときよりはさらに良くなっていますが、競技をすると、まだまだ課題が多いと思います。でも、そういうもんですから。

そうやってクルマをつくって、スペックを追うことも、最近のGRだと思いますので、リアルドラマを共有しながら、一緒に皆さんもクルマづくり、人づくりにご参加いただきたいと思います。

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