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「ゆりかごから墓場まで」の想いとともに トヨタ生協80年の歩み

2025.12.11

戦後の混乱期に互助会として始まり、今や社員食堂のみならず、スーパーや各種サービスまで展開するトヨタ生協。80周年を機に歴史を振り返る。

トヨタ生産方式を取り入れたメグリアの改善推進

ここからは現在のトヨタ生協、特に地域住民も利用するスーパーに目を向けてみたい。そこには、トヨタ生産方式(TPS)を取り入れ、日々改善を重ねながら業務効率化している姿があった。

「以前から、店舗(スーパー)事業でもトヨタ生産方式を取り入れた改善はおこなわれてきました。しかし、光熱費や人件費の上昇など環境変化が大きくなるなか、2018年ごろよりさらに踏み込んだ改善をおこなっています」

こう話すのは、トヨタ生協・改善推進部の竹村恭一 部長。

その一つが作業手順書の作成だ。メグリアの店舗事業においては、利用しやすい・鮮度感がある・欲しい商品があるといった品質基準を設定。そこから必要な作業項目を決め、作業・工数の山積み表を見ながら日別・時間帯別に従業員の調整をおこなっている。

作業手順書を積み上げ、必要工数と計画工数を見える化して評価をしていく。竹村部長がトヨタでTPSを学び、現場に実践したことの一例だ。結果、生産性が6~7%向上したという。

メグリア三好店の細井拓郎 店長は「従来は、“この日にこれくらい工数が必要だろう”という経験則でやっていました」という。

メグリア三好店 細井店長

現在のように、供給高計画に対して必要工数が出る、数字が見えるようになると、これまでムダが多かったことを実感するようになりました。

コスト削減につながりますし、今ではないと困るツールになっています。

店舗内においては、陳列棚をスライド什器にすることで品出し作業を効率化。さらに、商品の端数在庫を棚の最上段に配置することで、商品補充のためにバックヤードと店舗内を何度も往復する作業を激減させた。

商品の補充に使う台車は、メグリアの従業員が発案した独自のもの。高いところにも陳列できるようステップが格納されていたり、空になった段ボールをたたんで立てられるスリットがあったり、随所にくふうが施されている。

15年以上現場で活躍しているメグリア独自の台車は、TPSを教わったメグリアの従業員の発案。

ほかにも、これまで全商品手作業でおこなっていた賞味期限チェックをシステム化。商品ごとに、一番初めに切れる賞味期限を入力し、システム管理するようにしている。

竹村部長は「食堂やスーパー以外にも、宅配事業や葬祭事業など、そのすべてで標準をつくり、改善のサイクルを回していければと考えています」と決意を見せた。

地域や行政などから必要とされる新しい生協へ

終戦直後の食料難の時代から、従業員とその家族、市民のお腹と心を満たし続けてきたメグリア。

80年の節目を前に、新実修 理事長に今後の展望を聞いた。

トヨタ生協 新実理事長

トヨタという企業が母体となった職域生協ではありますが、スーパーとしての生協など、私たちのサービスを利用されている地域の方々もたくさんいらっしゃいます。

もう一つやらないといけないと思っているのは、行政など地域の困りごとへの対応。生協らしい領域を、今後もう一つつくりあげるなら、そこかなと思っています。行政が抱えている課題に対して、我々が貢献できる部分があるんじゃないかと思っています。

一例として、コロナ禍には豊田市の依頼を受け、自宅療養者のため、私たちの宅配機能を活用して1日約1000カ所に食料品を配達しました。市民の方々にも喜んでいただき、(豊田市にも)ピンチのときに頼りになるのはメグリアだと感じていただきました。

今後もそういう存在になっていきたいと思います。

コロナ禍で実施した配食サービス。左上は利用者からの感謝の声。箱詰めには新実理事長(当時は専務)も現場で汗を流した(右下)。

一方で、取引先などパートナーの方々との関係を広げ、新しいサービスを広げていきたいとも思っています。

創立80周年を良い区切りとして、より開かれた生活協同組合になるよう新たな仲間づくりをしていければと思います。

創立80年を迎える12月15日には、従業員や関係者の写真を大量に集めた巨大なフォトコラージュを豊田市の本店に展示し、各事業所にもポスターを掲示するという。

仲間とともにトヨタ従業員、地域住民との絆をより強め、さらなる飛躍を目指していく。

80周年を記念して制作されるフォトコラージュ
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