全国でもかなり珍しい実証実験を取材!記事内の2つのクイズにあなたは何を感じるでしょうか。
「来た!来た!」「あれか!?」という歓声のあと、す―っと何かが走り抜けていった。今日はこの“謎の物体”の特集だ。
トヨタ内でもほぼ知られていないというモビリティ。取材現場に着くと、田んぼのなかに大名行列のような不気味な集団が。一体何があったのか!?
知り合いに加藤さんはいますか?
突然ですが、日本の自治体の何パーセントが過疎地域だと思いますか?
答えは③。
「半数以上!?」と驚く人もいるだろう。総務省によると、全国1719市町村の約51%が過疎地域、または一部過疎地域に指定されているという。
ではもう1つ質問。
みなさんの知り合いに「加藤さん」と「トラックドライバー」、どちらが多いですか?
実は、加藤さんもトラックドライバーも、日本にそれぞれ88万人ほどいる。ほぼ同数なのだが、みなさんの周りには加藤さんのほうが多かったのではないだろうか。
もしかすると、子どもからお年寄りまで幅広い世代がいる加藤さんに対して、トラックドライバーは高齢化が進み、中高年に偏っていることが影響しているかもしれない。
ここで経済産業省のデータを見てみよう。
2027年には「ドライバーが約24万人も不足」し、2030年には「物流需要の約34%を運べなくなる」という。わずか4年後に3割以上のモノが届かないなんて、かなり深刻だ…。
地方を中心に買物困難者は増加。一方でモノを届けるドライバーは減少。そこで注目されているのが冒頭の物体「自動配送ロボット」だ。
今回は、その実証実験を取材。
はじめて自動配送ロボットを見たお年寄りに感想を聞くと「鉄人28号みたいなロボットが来るかと思った(笑)」となんだか楽しそう。いつもの町に、いつもと違うことが起こるのだ。
とはいえ、鋭い読者のなかには「自動配送ロボって他社もすでにやっているよね?」と思う人もいるかもしれない。
確かに2023年4月から、改正道路交通法の施行により「低速・小型ロボット」は多くの地域で走り出している。しかし、より配送能力の高い「中速・中型ロボット」を公道走行させるのは、実証実験ですら国内でも数例しかない。
積載量が20kgから200kgまで増えれば、使われ方もまったく違ってくる。しかし日本では、法律などの制度設計もまだこれからだ。
実証実験を繰り返し、データを集めることで社会実装への道筋が見えてくる。だからこそ「中速・中型」を公道で走らせる今回のテストは非常に大きな意味を持つ。
社会課題の解決だけでなく、経済効果や雇用を創出する成長産業としても期待され、2027年の社会実装を目指す経済産業省が旗を振ってこの日の取り組みが実現した。
道がロボットを鍛えていく
実証実験が行われたのは岡山県の山間部にある勝央町。おとぎ話で有名な金太郎が55歳で生涯を終えた町だという。
地域のお年寄りに移動の困りごとを取材すると「今は一人暮らしで免許もない」「路線バスは朝昼晩の3本だけ」「もう自転車も乗れない」との声が。
SNSなどでは「不便なら都会に引っ越せば…」という冷たい声もあるが、人それぞれ大切にしている価値観がある。住み慣れた町を愛している。そんな人たちに何ができるか。
中速・中型の自動配送ロボットの開発者で、自身の祖父母も買い物に苦労していたという佐藤に話を聞いた。
先進モビリティシステム開発部 佐藤大典主任
Guide MobiはWoven Cityで走行を重ね、機能を磨いてきました。今回は実際に使われる現場であるローカルな道で課題が無いかを確認する狙いもあります。
衝突を防ぐ安全センサーは、子どもが寝そべっていても検知できる高さに設定していましたが、実際の道を走ることで改善点が見つかりました。まさに「道がクルマを鍛える」イメージです。
私の祖父母も晩年、買い物が難しくなっていましたが「買いたいものを買いに行ける」って実は幸せなことなんです。都心と地方で利便性に差が出てしまいますが、誰も見捨てられるべきではありません。
自動配送は夜間や雨天のときにこそ必要。今後はセンサー感度などを改善し、多くの人の幸せにつなげていきたいです。
自動配送ロボットが役立つのは買い物だけではない。
農家さんが収穫した作物を市場まで運んだり、工場内で部品を自動でピックアップすることも可能だ。医薬品を運べばシニアが多い過疎地域でのニーズも大きい。
他社のロボットとどう違うかを聞いてみると、これが面白かった。