本業とは関係ないように見える取り組みを紹介する「なぜ、それ、トヨタ」。今回は子どもたちと災害復旧支援?
人口わずか670人ほど。長野県北相木村の小学生から、豊田章男会長宛に悩み相談の手紙が届いた。小学生の悩みがなぜ豊田会長に?
その内容は、自分に関する悩みではなかった。困っている人を助けたいという相談だったのだ。なんという小学生!
手紙を出したのは、当時小学5年生だった藤井琴乃介くん。普段からボランティア活動をしており、能登半島での活動にトヨタの災害復旧支援チームの力を貸してほしいという内容だ。
藤井琴乃介くん
正直「返事なんか来るわけない」と諦めていました。しばらく経ってお母さんから「トヨタから返事が来た!」と連絡があって「えっー!嘘でしょ!?」とびっくりしました。
「手紙を出しただけえらい」とみんなに励まされていたタイミングだったので「やったー!!」と一気に嬉しくなりました。
どうして豊田会長のことを知っていたのか。
琴乃介くんに聞くと「お父さんが、バブソン大学でのスピーチ動画を教えてくれて、この人すごいなと思っていました」とのこと。
能登では「とにかく怖かった」
手紙を出したきっかけ。それは、はじめて能登で被災地を見たときの恐怖だった。高速道路は崖の下に落ちてなくなり、ほとんどの家が倒壊。家の上には大きな木が倒れていた。
「なにこれ…意味が分からない。とにかく怖かった」と当時を振り返る。
地震の半年後には豪雨災害も。地盤がゆるみ家の立て直しも困難。「町全体が使えない状態になるなんて…」と、子どもたちの心も沈んだ。
だからこそ困っている人たちを見捨てるわけにはいかない。そこで、トヨタの災害復旧支援の力を借りられないかと考え着いたという。そもそもなぜ、トヨタの社内に災害復旧支援の専門チームがあるのか。
高木陽一 (社会貢献部)
全国の自治体で「災害ボランティアコーディネーター養成講座」が実施されています。災害時に命を守り、地域のために活動できる人を育てるためです。
トヨタの従業員にも、自主的に講座を受けたボランティアコーディネーターが国内で300人ほどいます。災害が起きると、社会貢献部内にある災害復旧支援の専門チームTDRS(Toyota Disaster Recovery Support)が中心となり、その300人に現地に支援に向かえるかの声掛けをしています。
社内に300人の災害ボランティア
車両支援や義援金の寄付などを続けてきたトヨタだったが、2018年からはTDRSという専門チームを設置。自動車会社としてのリソースや本業で培ったノウハウで、被災地で汗を流す人的支援も行うようになった。
TDRSと一緒にボランティアを行う従業員は、休暇を取り、困っている人たちの元へ駆けつける。渋滞や道路寸断など個人では動きづらいが、TDRSが安全な移動ルートや宿泊先を準備するので参加しやすい。
このような活動をしている企業は日本でも珍しいという。
高木陽一 (社会貢献部)
元日に起きた能登半島地震でも、1月5日には、車中泊避難を安全に過ごすための車中泊避難ヘルプBOOKを1200冊、車中泊避難チラシ1800枚、エコノミークラス症候群対策として大量の着圧ソックスを現地に送るために社内で取りまとめを始めました。
1月末にはボランティアセンターの運営支援にも参加。さらにトヨタグループ各社や販売店とも連携。
人的サポートだけでなく、書類のまとめやマニュアルづくり、全国から届く物資が必要な人に届ける支援も行った。能登でのボランティアは今回で3回目というメンバーに、参加の意義を聞いた。
宮崎麗子(生産部品物流部)
私みたいな力が弱い女性でも、やれることは必ずある。現地に行くとまだまだ人手が足りない状況を目にするので、何度もボランティアに行っています。
地元の方から「来てくれたおかげで私たちも前を向ける」と話していただき、心底来てよかったと思えますし、次の原動力にもつながります。
ボランティアは相手のためだけでなく自分のためにもなるという声も。どういうこと?