仕事を楽しく、面白くするための「創意くふう提案制度」。今回は少し趣向を変えて、全員活躍を目指してチームで取り組んだ、とある改善のストーリー。
「この色でたぶん合っていると思うけど…」
子どもの頃から色の判断が難しい、色覚特性を持っていた未来創生センター R-フロンティア部の阿納祐介は、作業で使う電線の色に確信が持てないことが常にあった。
色の見え方には個人差がある。人によっては茶色と赤色、灰色とピンク色の区別が難しかったり。
公益社団法人 日本眼科医会によると、色覚特性は日本人男性が20人に一人、女性が500人に一人の割合で持っていると言われている。
そんな色覚の特性が働く上で壁になってはいけない。仲間の「困りごと」をチームで乗り越えた改善活動。そこから生まれたのは、電線の色を「文字で表示する」ツールだった。
同じ悩みを持ったメンバーは自分だけじゃなかった
R-フロンティア部で阿納が担当しているのは、人の動きを学習するフィジカルAIロボット「ELEY(エリー)」の開発。
開発工程の1つにロボットを動かすための「ハーネス(配線)製作」がある。ハーネスとは、ロボット内部に張り巡らされた、人体における血管や神経の役割を果たす大事な部品だ。
製作は、①電線の切り出し→②金属端子の圧着→③コネクタへ取り付け→④品質チェックと進む。
①~④の全工程において、赤や青、緑などに色分けされた電線と指示書を突き合わせ、色を照合させる必要があるが、この時の照合は目視で行われていた。
ELEYの開発で使用している電線は全部で10色。電線ごとに役割が異なり、一目でわかるように色が異なっているのだが…
「私の場合は、ピンクとグレーの見分けがつきづらいんです」
こう語る阿納。職場には、同じ特性を持つ森本純矢シニアエキスパートが上司にいた。森本は、阿納と同じハーネス製作に加えて、指示書と照合して確認する立場でもあった。
10色の電線のうち、白と黒は問題ないが、赤と茶、赤と緑などは環境によって判別が難しいという。とはいえ、大量生産をおこなう部署ではないため、2人とも不安な場合は誰かに聞くなどして、これまでも作業を進めてきた。
ところが、2023年のはじめに試作機の増産に伴い、ハーネス製作作業が増える見通しとなった。
一人でも多く、不安なく作業に従事できる人員が必要となる中、つくる側と確認する側、双方に同じ悩みを抱えている仲間がいる。全員活躍にかかわる課題でもある。これをQCサークル活動で解決しよう。
こうして阿納をテーマリーダー・森本をサークルリーダーとする、チーム11人で開発したのが、何やら不思議な黒い箱?