株主からの直球質問に「BEV(電気自動車)が大好き」と言う新組織のトップが回答。5月に立ち上がったばかりのチームが目指すものとは?
トヨタはテスラに勝てるのか?
先の株主提案もしかり、マーケットでは、カーボンニュートラルへの重要な選択肢であるBEVへの期待が高い。
トヨタのBEVの遅れを指摘される際、しばしば引き合いに出されるのがテスラだ。
株主からは、トヨタが2025年の米国でのBEV生産開始、電池工場の追加投資を発表したことを受け、「テスラに並ぶことができるのか?」という質問が寄せられた。
この質問には、まず、宮崎洋一副社長が幅広い選択肢で脱炭素を目指す「マルチパスウェイ」の考え方を説明。
さらに、チーフサイエンティストを務めるギル・プラット エグゼクティブフェローが科学的な根拠に基づき、「多様な状況には、多様な解決策を準備するのが最適解」と補足した。
続けて、議長の豊田会長が指名したのは、5月に発足したばかりのBEV専任組織「BEVファクトリー
*
」の加藤武郎プレジデント。
*BEVの開発・生産・事業と全てのプロセスを一気通貫で行うことで、スピーディーな意思決定、実行を目指す。2026年に最初の次世代BEVを市場に投入し、350万台のBEV販売を見据える2030年には、170万台を同組織が送り出す次世代BEVが占めるという見通しを掲げている
議長に「決意のほどを」と促され、意気込みを語った。
加藤プレジデント
私はBEVが大好きです。BEVで、クルマ、モノづくり、仕事の未来を変えたいと思っています。
まずクルマです。皆様にご愛顧いただいているハイブリッド車と同等の航続距離を目指します。大きな仕事です。
「トヨタらしいBEVだな」と思っていただける商品をつくり上げ、皆様にお届けしたいと思っています。
次にモノづくりです。クルマの構造を変え、工場の生産ラインの長さを半分にしたり、体に負担のかかる作業を減らしたい、なくしたいと思っています。
これは少子高齢化を見据えて、日本のモノづくりを守り、笑顔があふれ、働きやすい環境にしたいからです。
最後に仕事のやり方です。今の時代、スピードがとても大切だと思っています。
私たちの組織は開発事業だけでなく、会社の全機能が集まるチームです。このチームの中で日々、同じ現場で、同じ問題意識を持ち、意見を出し合い、議論を重ねています。
また、新しいパートナーと仕事をすることで、一人ひとりが新しい豊かな発想を出すことができます。
新しいことがいっぱいで、私たちはワクワクしています。このワクワクが、皆様に必ず伝わると思っています。
私はBEVが大好きです。2回言いました。この気持ちをお伝えし、皆様の応援をいただきながら、精一杯頑張ります。
加藤プレジデントの決意表明を見届け、議長が補足した。
豊田会長
「大好き」だからテスラに勝てるかどうかわかりません。ですが、「大好き」なエンジニアがつくるクルマは人々に感動を与えるはずです。
我々がつくるBEVをぜひともご期待いただきたいと思います。