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今期2つの重点テーマ トヨタ変革へ佐藤社長が示したこと

2025.05.09

トヨタの2025年3月期決算説明会。佐藤恒治社長は足場固めの進捗とクルマの未来を変える挑戦のテーマを語った。そのスピーチ全文を掲載する。

トヨタ自動車は5月8日、2025年3月期決算を発表した。

2024年度は一連の認証問題の再発防止に向け、足場固めに力を注いできたトヨタ。佐藤恒治社長は、会見の中で、それが「出血を止める」ためのものから、「未来への種をまく」取り組みへ変わってきていると説明。

あわせて「クルマの未来を変えていく」ための今期の重点テーマとして、「マルチパスウェイの解像度の向上」と「トヨタらしいSDV(ソフトウェア・ディファインド・ビークル)*の基盤整備」の2つを掲げた。

*ソフトウェアの更新で機能をアップデートすることを前提に設計・開発されたクルマ

今年度はトヨタにとってどのような年になるのか? 佐藤社長のスピーチ全文を掲載する。

変化の対応へ 高める「稼ぐ力」

佐藤社長

昨年度は、認証問題やリコール、災害など、生産影響が続いた中でも、多くのクルマをお客様にお届けすることができました。

トヨタ・レクサス・GRのクルマをご愛顧いただいたお客様、生産変動に懸命に対応してくださった仕入先の皆様、販売店の皆様に、心より御礼を申し上げます。

この1年、さまざまな課題に向き合い私たちトヨタの原点である「いいクルマをしっかりつくり、しっかりお届けしていく」ことの大切さを、全社で再確認してまいりました。

お客様やステークホルダーの皆様への感謝の気持ちを行動でお返しできるよう、引き続き、安全・品質を徹底して、一台一台、クルマをつくってまいります。

足元では、通商関係をはじめ、自動車産業を取り巻く環境は大きく変化しています。

変化が激しく先が見通しにくいときこそ大切なことは、長年取り組んできた「商品で経営する」「町いちばん」という軸をブラすことなく、いいクルマを追求し続けていくことであると考えています。

今後とも、お客様に近いところでニーズに向き合い、タイムリーにクルマをお届けできるよう、地域に合わせた開発・生産体制を整えてまいります。

そして、環境変化に柔軟に対応していくためにも、「稼ぐ力」をしっかり維持・向上させていきたいと思っています。

特に量産車での原価低減は、足元の稼ぐ力を高めるとともに、モノづくりの原理原則を学び、技術を継続的に進化させていく大切な取り組みでもあります。

生産性を追求して、自ら考えて行動する現場こそが、トヨタの競争力の源泉であると思っております。

その基盤をより強くしていくために、今年も「1000万台のクルマづくりを支える現場力」と「未来に向けて多様な挑戦を続ける実行力」を発揮できる環境づくり、「足場固め」の取り組みをさらに前に進めていきたいと思います。

未来の挑戦支える 足場固め着々

佐藤社長

足場固めの活動を始めた当初は、安全・品質の徹底や正しい仕事の実践など、クルマづくりの基礎体力や、挑戦の余力を取り戻すことを主眼に置いた取り組み、いわば「出血を止める」ためのものであったと思います。

しかしながら、今は、「未来への種をまく」取り組みへ変わりつつあります。

認証問題の再発防止は、現場に根差した改善を加速する機会となり、風土も含めて、会社の基盤を強化する取り組みにつながっています。

会長の豊田(章男)が立ち上げた法規認証TPS(トヨタ生産方式)自主研では、企画・開発から生産まで、工程スルーでムダや停滞を特定して、本質的な課題に向き合った改善活動となって、今現在も進んでいます。

TPSを軸に、リードタイムの短縮を目指して、未来志向で仕事のあり方を見直していく。この動きを全社に広げ、機能軸にとどまらず、全社の視点をもって生産性の向上につなげていきたいと考えています。

また、工場では、「労働人口」の減少や「若者の製造業離れ」という中長期の課題に向き合って、足元では採用活動を強化しながら、暑熱対策をはじめとする現場の環境改善や、多様なメンバーが働きやすい生産ラインづくり、さらに、50 年先を見据えた「未来工場」のプロジェクトなど、モノづくりの未来を守るための取り組みを進めています。

開発におきましても、多様なニーズにお応えし続けるために、クルマづくりの生産性向上に取り組んでいます。

お客様のニーズを正しく把握して、仕様や部品の種類を適正化する「AREA35」の活動では、国内のトライアルを通じて、モデルチェンジ3つ分の開発効率化につなげてまいりました。

今後、グローバルに活動を展開し、開発・生産効率をさらに向上させていきたいと思います。

また、開発リードタイムの短縮を目指して、現在は、人がつないでいる車両仕様情報を、DX(デジタル・トランスフォーメーション)により、開発から販売まで一気通貫でつなぐ仕組みの整備も進めています。

仕入先の皆様、販売店の皆様と一体となって、「未来のための足場」を固め、「稼ぐ力」の向上につなげていきたいと思います。

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