ジャパンモビリティショーを視察した岸田文雄首相と経団連モビリティ委員会が懇談会を実施。官民が一つになってつくる未来へ、意見を交わした。
10月26日、岸田文雄首相が東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催中のジャパンモビリティショーを視察した。
あわせて、経団連モビリティ委員会の委員長、日本自動車工業会(自工会)副会長らとの懇談会も実施。
モビリティ産業が日本経済をけん引するために、官民一丸で取り組むべき優先課題について意見交換を行った。
官民協力して国際競争の最前線で戦う
会合では、委員会から政府へ、モビリティ産業がグローバル競争の最前線で戦うための「他国に負けない投資環境の整備」「サプライチェーン(供給網)のカギとなる中堅・中小企業の投資の後押し」「GX(グリーントランスフォーメーション)投資に伴う企業間連携の独禁法に関する課題への対応」などについて、具体的な要望が出された。
また、委員会からは「物流2024年問題の克服」「半導体、蓄電池等の重要物資の確保」などに、産業界として集中的に取り組む決意が表明され、岸田首相からは「いずれも我が国の最重要課題。官民協力のもと、全力で取り組んでいきたい」と発言があった。
「モビリティで未来をつくろう」
政府とモビリティ委員会の懇談会がキックオフしたのは、昨年11月。今回はそれに続く、2度目の会合だ。
前回は「自動車産業のこれまでの経済や雇用への貢献」と「モビリティ産業の成長ビジョン」について認識を共有。今回は、モビリティ産業が向き合う課題の克服へ、さらに一歩踏み込んだ形だ。
懇談会を終え、総括を問われた豊田委員長は、記者団に対し、「『モビリティで未来をつくっていこう』というスタートになった気がします」とコメントし、次のように語った。
豊田委員長
十倉(経団連)会長のリーダーシップにより、経団連にモビリティ委員会ができました。
その中で、「1社1社では未来はつくれないけれど、みんなが協力して、今、困っていること、悩み事に対して、今できることをやれば、何か道が開けていく」という機運が高まってきていると思います。
総理とこういう場を設け、今度は政治、国、そして、経団連を中心にした経済界が、個々ではなく、一緒に協力をするのはどういうことかという、未来づくりに発展しました。
このジャパンモビリティショーの場で、実際に物を見て、話し合いをさせていただいたからだろうなと、主催者としては思っております。
岸田首相は、懇談会に先立つ視察で、モビリティの未来を体感するTokyo Future Tourを訪問した。
災害大国の日本で、人と協調してモビリティが活躍するショーや、新たなモビリティの可能性に取り組むスタートアップの展示を見学。
「新しい名前 * にふさわしく、自動車産業を超えたモビリティ産業の将来像、また、スタートアップのバイタリティや未来を、国内外に示す素晴らしい内容を感じさせていただいた」と感想を述べた。
*自動車業界だけでなく、モビリティに関わるさまざまな産業が集まり、日本発の未来を世界に発信したい。そんな想いを込めて、東京モーターショーは、ジャパンモビリティショーへと名称を変えた。