世界各地の仕入先と絆を深めた「TOYOTA Supply Partners Convention」。佐藤恒治社長、近健太次期社長のメッセージの後には、QAセッションも行われた。
世界中から700人超のサプライヤートップが集まった「2026 TOYOTA Supply Partners Convention」では、佐藤恒治社長、近健太次期社長のメッセージの後に、QAセッションも実施した。
トヨタイムズニュースの富川悠太が進行役を務め、さながらフォーメーションチェンジ会見と同じ様相に。
仕入先からは、2人のプライベートからこれからのトヨタとの関係まで、さまざまな質問が飛んだ。
近 次期社長が目指す“本気・本音のコミュニケーション”が早速行われたようだ。
いくつか取り上げたい。
(注:本記事中の役職は3月当時)
ぶっちゃけ2人は仲良いんですか?
――これからも一緒に(仕事を)やりたいと思う仕入先は、どんな仕入先?
近次期社長
一言で言うと、本音をぶつけてくれる仕入先さん。
佐藤さんも(自動車産業全体の視点で)近に(本音で)言わないといけない時が来るだろうと言われたが、逆に私も佐藤さんに言わなきゃいけない時が来るだろうと思います。
そういう本音の会話、コミュニケーション(ができる)、厳しい関係の中でしか、強さは生まれてこないのではないかというのが、過去何十年の経験で学んだことです。
――ぶっちゃけ2人は仲が良い?
近次期社長
めちゃくちゃ仲が良いかと言うと、そんなことはないのかな。
ただ、この前の記者会見(フォーメーションチェンジ会見)の直前だったと思うんですが、佐藤さんから「近さんってミニバンの話をすると止まらないですね」って言われて、僕はそんな話(ミニバンの会話)をしたことを、あんまり覚えていなくて「そういうことを覚えてくれているんだな」とうれしかったですね。
と、ここまでなら良い話で終わるのだが、実はこの質問の前に佐藤社長から他メーカーのクルマも乗ってみたいという発言があり「そうすると少し距離ができるかな」とオチをつけていた。
では佐藤社長は、こんな回答だった。
佐藤社長
お互いに担当してきた領域が違うじゃないですか。一緒にトヨタの中でキャリアを歩んできたわけではないので、見てきた景色はずいぶん違うだろうなと思います。
でも、(ミニバンの話を熱く語っていた姿を見て)近さんはクルマが好きなんだと感じたことをよく覚えています。クルマ好きに悪い人は絶対いません(笑)。
だって近さんラリチャレ(TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジ)出てるんですよ。
*近次期社長は2025年、ラリチャレ裾野に出場している。ちなみにコドライバーはウーブン・バイ・トヨタの隈部肇CEO。
…社長になってもラリチャレ出るんですか?
近次期社長
今のところ計画はないですが、訓練は続けたいと思っています。
続けて近次期社長に「モータースポーツに力を入れていくのか?」「ラリチャレの感想は?」という質問が届く。モータースポーツへの注力については「トヨタのクルマづくりのど真ん中。もちろん引き続きやっていく」と回答。
一方初めてのラリチャレについてはというと…。
近次期社長
ものすごく疲れました。
ずっと豊田(章男会長)がモータースポーツを率いてやってきましたが、クルマから降りるとニコニコとファンサービスをしている姿を見てきました。
(私も)そんなふうにやっていかなきゃと思ったのですが、とてもそんな力は残っていなくて、携わっている人はこんな苦労があるのだと、出場して初めて分かりました。
(モータースポーツにかかわる)全ての人に敬意を表します。
――休日の過ごし方は?
佐藤社長
ご想像の通り、クルマをチョコチョコいじってます。
この前もヒューズを全部変えました。切れているわけではないので、やらなくてもいいんですけど。一日かけて。
めちゃくちゃ地味なんですけど楽しいです。
近次期社長
けっこうクルマに乗っています。(ミニバンではなく)スポーツタイプ。
東京に拠点がありますので、箱根のターンパイク*とか、良いドライブコースが近くにあります。
*アネスト岩田ターンパイク箱根。小田原から伊豆・箱根を結ぶ有料道路。
それぞれの技術、とことん追求して
――佐藤社長が自動車産業に、近次期社長がトヨタに軸足を置くということで、それぞれの立場で、これからも仕入先が強みと思えることは何か?
近次期社長
今朝この会が始まる前に、協豊会、栄豊会の両代表*から、このイベントにかける想いを、ものすごく高い熱量で伺いました。
*協豊会:トヨタの部品仕入先による組織。池田育嗣会長(住友ゴム工業)。栄豊会:設備・建設・物流関係の仕入先による組織。神谷光典会長(三栄工業)。
本当にありがたいことで、こんなことが他の会社であるだろうかと強く思いました。
きれいごとかもしれませんが、こういう関係をつくれている会社はないと思います。それがトヨタの強みだと思います。そんな関係を無くさないように、本音を言ってもらえるようにやっていきたい。
佐藤社長
日本の自動車産業の強みは、強靭なサプライチェーンだと思います。そのサプライチェーンを支えているのは、個社の皆様の技術力です。
御社の強みの核になっている技術が何かということを、とことん追求していただいて、その技術で勝っていくと考えることが、すごく大事だと思います。イノベーションは技術力からしか生まれません。技術をどれだけ深掘りできるかが、産業競争力の原点にあると思います。
もう1つ、生産性をまだ上げられると思っています。
生産性には材料・設備・人の3つの切り口があるとしたときに、自問自答して、自分で決めていないような前提条件があれば、そこを疑ってかかるべき。
本当にそうじゃなければいけないのか? それを決めている要因が(工程の)上流や下流にあるとしたら、その条件を変えれば生産性は上がるかもしれない。
こういったアプローチで、それぞれの会社様で技術にこだわって、生産性を上げていくと、もっと強い集団になれると思います。
ぜひ一緒にやらせていただきたい。
最後に近次期社長が「トヨタと⾧くやっていきたいと思ってもらえるように、頑張ります」とあいさつすると、仕入先からは盛大な拍手が送られた。