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2023.09.08

チームジャパンで宇宙に挑む! ルナクルーザー開発の現在地

2023.09.08

JAXAが2029年の打上げを目指す月面でのモビリティ「有人与圧ローバ」として、トヨタが研究開発する「ルナクルーザー」。その研究開発状況についての報道向け説明会で語られたこととは?

なぜトヨタは月面探査車を開発するの?

ところで、そもそもトヨタはなぜ月面探査車を開発するのか? その意義と目的は何なのか? 根底には、トヨタ創業時から息づく産業報国への想いがあると山下は強調した。

山下

私たちは産業報国への想いのもと、このプロジェクトを進めることで、“技術の向上”と“人の成長”を目指しています。

月面探査車開発で鍛えた技術は、2029年の月面着陸を待たず、地上で社会にしっかりと還元していきたいと考えています。

山下によると、有人与圧ローバには4つのコアとなる技術がある。すなわち、再生型燃料電池、オフロード走行性能、オフロード自動運転、そしてUX(ユーザーエクスペリエンス=居住性、視認性、操作性等)だ。

山下は説明会で、それぞれの技術開発の進捗や、どのように地球に還元するかについて説明した。

まずは、再生型燃料電池(RFC)。水電解装置と燃料電池(FC)を組み合わせたシステムだ。トヨタは、「MIRAI」をはじめ長年にわたって燃料電池(FC)の技術や信頼性を鍛えてきた。地上で培った知見を活かしながら、さらに進化させたものである。

月面では、昼が2週間、夜が2週間続く。そんな過酷な環境である一方、水資源が存在すると目されている。

日照時に太陽電池による電力と水を用いて水素と酸素を製造し、夜間にFCで電力を供給する。こうしたエネルギーの循環がつくれれば、月面での探査を長期的かつ安定的に行うことができる。現在は、その実現にむけて研究を進めている状況だと、山下はいう。

山下

月面のような厳しい環境で、太陽と水だけで電力を生み出し続ける技術は、地上においても、離島や辺境集落、災害時の避難所、紛争地帯や難民キャンプなど、さまざまな社会や環境で活用できます。

私たちはルナクルーザーの開発を通してRFCの技術を磨き上げ、循環型社会の実現、ひいては地上での社会課題であるカーボンニュートラルに向けて、大きな貢献ができると考えています。

次にオフロード性能。月面はクレーターや岩石、傾斜などさまざまな状況があり、さらにレゴリスといわれる細かい粒子の砂で覆い尽くされている。

山下

こうした過酷な環境に対応するタイヤと駆動力制御、そして走破性能と電力消費の両立が課題になっています。

現在は、オフロード走行テスト車による最適な運動制御の研究、ブリヂストン様と連携した金属タイヤ、電動技術を盛り込んだ足まわり等の開発を進めています。

山下によると、現段階では4輪それぞれにモーターを備え、4輪独立して転舵が可能な機構を持つオフロード走行テスト車をつくり、クレーターなど月面を再現したオフロードコースで開発を行っている。さらに、年度内に原寸大の総合テスト車両の製作を開始。新たにトヨタの開発施設内にテストコースを設け、開発を加速させるという。

トヨタイムズニュースではオフロード走行テスト車を独占取材。取材の様子は後日配信予定。

山下

月面探査において、安全かつ効率的に岩石やクレーターを乗り越え、登坂・降坂できるオフロード技術を開発しています。

そこで得られた知見は、地球上のあらゆる場所で安心安全に走行できる技術として還元できると考えています

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