今、我々ができる3つのこと 自動車4団体合同会見 豊田会長メッセージ

2020.04.10

コロナ感染拡大に自動車産業はどう向き合うか―。自動車工業4団体が結束して緊急記者会見を開いた。

その他の医療現場サポート活動

また、人命に直結しないものでも、医療現場のサポートに繋がるものがございます。

「患者さんの移送に必要な車両の提供」や「それに適した車にするための改造」または「病室用ベッドの部品などの製作」に、取り組んでまいります。

まずは、我々の得意領域、現有資産の活用で、皆様のお役に立てることを、やってまいりたいと思います。

現場の実態を把握する(空港レンタカー店舗の頑張り)

もうひとつ、我々の仲間が頑張っている話をさせてください。空港のレンタカー店舗の話です。

海外から帰国される方は、空港での検査が通ると、感染拡大防止のため、車でご自宅に向かわなければいけません。空港のレンタカーには、お客様が次々とご来店されます。

しかしながら店頭のメンバーには、防護具が展開できておらず、マスクのみで対応しているメンバーも多くいます。

大きな不安の中で、お客様のために日々頑張ってくれています。なんとか、彼ら、彼女らのために、防護具を届けたいと思い今も各所と相談を続けております。

おそらく、どこの現場も想定外のことばかりが起きています。現場で起きていることを、いち早く掴み、やれることを、すぐに考えていくことが、今は大切だと思っております。

経済も危機的状況

危機的な状況は、経済の面でも同じです。今まで全世界で9000兆円あったGDPが、3カ月で15%から20%程度なくなってしまいました。

各国でも経済対策が発動される中、日本においても108兆円の緊急経済対策がアナウンスされました。

過去最大の対策を、迅速に、ご決断をいただいた政府に、この場を借りて、お礼申し上げます。

しかし、それでも、足もとの状況は、本当に苦しいものがあります。

人類がコロナの脅威に打ち克つ日は必ずきます。

ですが、このままでは、それより前に、日本経済が疲弊し、崩壊してしまう可能性も否定できません。

我々、自動車産業は、崩壊の歯止め役として、なんとか、お役に立ちたいという想いです。

自動車産業の波及力

我々、自動車産業には、約550万人の就業者がいます。これは、日本の就業人口の約1割にあたります。

そして、自動車には、他の産業へ波及する力がございます。生産波及を数字で表すと“2.5倍”。これは、自動車が“1”生産すれば、世の中の生産が“2.5”誘発されるという数値で、日本の産業別ではトップのレベルです。

私たち自身が踏ん張って経済を回し続ける、そして、なんとしても雇用を守っていくことが崩壊を食い止めるための大きな力になると自覚しております。

そのために、絶対に事業を止めぬよう努力してまいります。自動車に関わる全員が、まずは、絶対に感染しないよう予防を徹底することも、本当に大切だと考えております。また、それは医療崩壊を食い止めるためにも大切なことであるとも思っております。

国内生産にこだわり、残したもの

リーマンショックと、その後に起きた東日本大震災…。苦しかった当時、私は、国内生産に強くこだわりました。

そのことに対し、多くの方から「経済合理性からすれば、国内にとどまるのは間違いである」と、ご指摘いただいたことを、今でも、覚えております。

震災の後、東北の“真の復興”のためには、一過性の支援ではダメだと、東北に新たな自動車車体の企業設立しモノづくりの学校もつくりました。

クルマづくりを根付かせていこうと、その地に根付く、息の長い復興支援を目指したものでした。あれから9年が経った東北の姿を見てみますと、当時500億円だった自動車の出荷額は、今、16倍の8000億円に増加いたしました。

また、部品メーカーを中心とした仕入れ先企業は、当時の約100社から170社に増え、人口流出の多い地方でありながら就業人口を3000人増やすこともできております。

これは、本日、一緒に並んでいる自動車4団体が一丸となって、東北の復興に取り組み、実現してきた姿です。

そして、東北には、新しい技術や技能が生まれています。その技は伝承されていき、それを習得した人が、また次の人を育てていっています。そうして、自らの働ける場所を、維持し、発展させてきました。

あの時、日本のモノづくりを残すんだと決意し、国内生産にこだわったことは、間違いではなかったと思っております。

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