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富士24Hへの予備知識 第4回 豊田章男が"同志たち"に伝えた言葉

2021.05.21

水素エンジンの24時間レースに向けた連載。第4回はカーボンニュートラルに向かって、ともに戦う仲間に向けたメッセージ。

水素エンジン車が走る24時間レースに向けた予備知識。第4回は、このチャレンジの意義について、もう一度おさらいをしてみたい。

撮影:三橋仁明/N-RAK PHOTO AGENCY

5月上旬に富士スピードウェイ(静岡県)で行われたテストには、ドライバー、エンジニア、メカニック、水素充填関係者など、さまざまな関係者が集まっていた。

それぞれの所属もトヨタ自動車、デンソーなどのクルマをつくってきた会社だけでなく、レース関係のROOKIE Racingやトムススピリット、TCD(トヨタカスタマイジング&ディベロップメント)、水素充填関係の岩谷産業や大陽日酸、鈴木商館など多くの会社が集まって、このクルマを走らせている。
撮影:三橋仁明/N-RAK PHOTO AGENCY

レースはチームスポーツである。こうした走行テストは試合に向けた練習や合宿のようなもの。レース本番は、まさに試合や大会そのものである。

撮影:三橋仁明/N-RAK PHOTO AGENCY

部活と同様で、このチームには朝とテスト終了のときに全員が集合するミーティングとして“朝礼”と“終礼”がある。

豊田章男社長も、この日のテストに参加していた。もちろんチームの一員“ドライバー・モリゾウ”としての参加がメインではあるが、 “トヨタ自動車社長”“日本自動車工業会会長”としての熱い想いが、チームメンバーに伝えられた。

自動車業界550万人の最前線

撮影:三橋仁明/N-RAK PHOTO AGENCY

朝礼での挨拶

時はカーボンニュートラル…。カーボンニュートラルは電気自動車だけが出口だと世界中で言われています。

地球温暖化に対して、カーボンニュートラルを目的に自動車業界をあげてやろうと宣言しています。ただ、やり方の順番を間違えないようにして欲しいと声を大にして言っています。

「カーボンニュートラルがゴール」であって「電気自動車を売ること」「FCEV(燃料電池車)を売ること」「ガソリン車禁止すること」ではないと、私は思います。

欧州のやり方で日本が進んで行くのも選択肢の一つでしょうが、日本のエネルギー事情もある中で、日本には日本のやり方もあります。

今から2050年に向けて、まだ30年あリます。30年前には、ハイブリッド車もFCEVもありませんでした。ただ、技術を磨いていたエンジニアがいました。

WRCで車体を固くした技術がある…。

MIRAIでタンクをつくってきた技術がある…。

デンソーはインジェクターをコツコツとやってきた…。

トヨタの中でも4年前から水素エンジンをコツコツやってきた…。

ROOKIE Racingもできた.…。

いろいろなタイミングが合致したことによって、一つの選択肢を我々が提案できるチャンスをもらいました。

ここにいる人たちは、いわばカーボンニュートラルに向けて、日本の自動車業界550万人の中の最前線。カーボンニュートラルに、こういう選択肢もあることを示してもらうための同志だと思っています。

今の段階でスーパー耐久に出て開発することは、人によっては無謀と言うかもしれない…。昨年、私はスーパー耐久にGRヤリスを鍛える目的で出させていただきました。

壊しては直し、壊しては直しが、クルマの開発に、ものすごく良い循環だと実感しました。水素エンジンでも同じことをやってみたい。

水素エンジンのために、ここに集まったそれぞれのプロの方々が、自分の強み出しながら、カーボンニュートラルにおける一つの選択肢をみんなでつくり上げるという目的でやりたい。

モータースポーツは五感で感じるもの。音も必要、匂いも必要。1年たったときには、水素エンジンの音色をつくり上げることも、我々のミッションだと思ってます。是非ともご協力いただきたいですし、力を貸してほしい。

なによりも水素の安全性を証明するには、私自身が乗ることが一番だと思ってます。プロドライバーの足は引っ張りますが、安全のメッセージも重要だと思うので仲間に入れて欲しい。よろしくお願いします!

会社を越え、水素社会実現の第一歩を

終礼での挨拶

寒い中、岩谷産業さん、デンソーさん、TCDの皆さん、レーシングチームの皆さん。会社の枠を越えて追っていくのが、水素社会の実現だと思います。

水素は“つくる人”、“運ぶ人”、“使う人”、そしてモータースポーツでは“見る人”も ともに、今回24時間レースで水素社会の実現の第一歩を示したいと思います。

ここまでは(今回のテストまでは)ノープロブレムだったかもしれないけれど、トラブルがあるのはこれからです。

コース内にいろんなクルマが走り出すと予想を超えたことが出ますが、今日みたいに一人ひとりが声をかけ合って、そして一人ひとりがみんなで助け合う。会社は違えど、是非とも、ワンチームで、お力をお貸しいただきたいと思います。今日は一日ありがとうございました!

豊田社長も言うように24時間レースは「水素社会の実現の第一歩」である。今週末、富士スピードウェイではカーボンニュートラルというゴールに向けて、水素を“つくる人”、“運ぶ人”、“使う人”が水素エンジン車を走らせていく。現地に行くことは難しいが、ぜひ多くの“見る人”も一緒に24時間レースに臨んでいただければと思う。

トヨタイムズでは、ROOKIE Racingと連携して、この24時間レースの様子をTwitterで、お届けしていきたい。

撮影:三橋仁明/N-RAK PHOTO AGENCY
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