トヨタのブランドコンセプト「TO YOU. TOYOTA」。その新CMが9月11日、公開となった。今回のテーマは「me」。Chief Branding Officerが語る狙いや期待とは?
まずは、こちらの映像をご覧いただきたい。
石段を上る女性。河原で釣りを楽しむ男性。仲間とテニスやバスケを楽しむ人々。
彼ら彼女らが使っているのが、2025年のジャパンモビリティショー(JMS)でお披露目された、新しいモビリティコンセプト「me」。
まだまだコンセプト段階ではあるが、移動の自由への想いを伝える新しいブランドCMが9月11日から始まった。冒頭で紹介したのは、その60秒バージョン。
今回はCMの放送に当たって、サイモン・ハンフリーズChief Branding Officer(CBO)に、狙いや誰もが自分らしく移動できる未来への期待を聞いた。
3つのモデルの紹介や、開発陣の想いについては、トヨタイムズ記事「えっ!モビリティが自分の可能性を無限に拡張!?どういうこと?」にあるので、合わせてご一読いただきたい。
人の可能性を次のレベルへ
「me」シリーズとは、障害や年齢を気にすることなく、みんなが一緒に楽しめるモビリティ。「すべての『行きたい』を叶えていきたい」という想いを込めて、福祉領域の車両やプロダクト、用品のあり方を再構築している。
「me」シリーズのCM起用について、ハンフリーズCBOはまず、トヨタが掲げるモビリティカンパニーへの変革におけるシリーズの位置づけ、JMSでの展示意図を語ってくれた。
ハンフリーズCBO
1番大事なポイントですが、豊田章男会長は2018年、モビリティカンパニーに変革すると宣言しました。モビリティカンパニーの定義とはなんでしょうか?
ある観点から見ると「誰も取り残さない」というところは、1つの分かりやすい定義なんじゃないかなと思うんです。クルマというものは、これからもなくならないと思います。でも、クルマという概念は?
例えば世界中のいろいろなシチュエーションにいる人たちにとって、その移動手段が、いつも適切な手段になっているかどうかは、確実に言えないと思うんですよ。去年のJMSのとき、発明のスピリットを持ちながら、モビリティカンパニーへどう挑戦するかという中で、当然クルマはど真ん中にあります。
と言っても、移動に困っている人たちも、もっと自由に移動したいと願っているはずで、「me」とはただの言葉じゃなくて“me to the power of X(meのX乗)”なんですよ。つまり「一人ひとりの『私』が持っているあらゆる可能性を、さらに次のレベルまで引き上げる」。トヨタが少しでもそのサポートをできると、先ほどの「誰も取り残さない」という目標につながっていくんじゃないかなと思うんです。
僕らは、こういう開発も(社外の)皆さんともリアルで会話したかったんです。
だからJMSで、こういうアイディア(を示しました)。これは意思表示なんです。これからどうしていくかは、会話しながら、その道をつくっているつもりなんですよ。
今回のCMはこうしたモビリティがJMSで披露されたことを思い出してもらうと同時に、トヨタとしても「忘れてないよということを示すため」だという。
このタイミングでの公開となったのは、9月19日から始まるアジア競技大会、10月18日開幕のアジアパラ競技大会でも“会話”するため。開閉会式が行われる名古屋市瑞穂公園陸上競技場のほか、さまざまな会場で「me」シリーズが展示されるという。
目線を合わせれば、ボーダレスな社会へ
CMの中では、シリーズの一つ「boost me」を使って、障害の有無にかかわらずテニスやバスケを楽しむ様子が描かれている。
これに似た景色を、かつてハンフリーズCBOは見ている。2023年のJMSで展示されたネオステアは、パラアルペンスキーの森井大輝選手と一緒に開発した、フットペダルを使わず、アクセルもブレーキも手元で操作するステアリングだ。会場では実機を使ったドライブシミュレーション体験に、多くの来場者が集まった。
「1番良かったなと思ったところは、車いすを使っている方も、そうじゃない方も、一緒に勝負して、一緒に楽しく使っていたんですよ」と振り返る。
「一緒に勝負して、一緒に楽しむ」。ハンフリーズCBOは、福祉領域のプロダクト展開に、そんな期待を寄せる。
ハンフリーズCBO
車いすと車いすの試合だったら、目線は一緒ですが、それが車いすの方と健常者だったら? もう目線は合いません。
boost meだったら、目線の高さはみんな同じ状況になります。そうすると、さらに楽しくできるんじゃないかと。ですが、つくってみて障害のある方々だけじゃなく、いろいろな人たちがこれを見て、「私はこういう使い方」、「私ならこう使う」と、そうなれば1番良いなと思うんですよ。
ハンフリーズCBO
meについて、こういういろいろなアイディアを出している中で、我々の夢の話をすると、決して(利用するのが)障害のある方々のみということじゃなく、いろいろな新しい使われ方が生まれてくる。要はボーダレスになると1番良い。だから、みんな自由な使い方をしていいと思うんですよ。
そうすると、社会的な壁は、どんどんなくなるんじゃないかなと。そういった方向に行けることが、とても大事な話じゃないかなと思います。