コラム
2019.02.14

Athlete Stories トゥ・ウェイソン選手 「真の挑戦は、自分に勝つために自分と向き合うこと」

2019.02.14

パラリンピック競泳シンガポール代表のトゥ・ウェイソン選手が横断性脊髄炎と診断されたのは2歳の時だった。両足を動かすことが不自由になる病気で、治療法は確立されていない。これまでのように走ることも遊ぶことも難しくなってしまった彼は、13歳の時に競泳の世界に飛び込んだ。それからというもの、国際大会にて多くのメダルを獲得し、実績を残している。2018年のコモンウェルスゲームズでは銅メダル、続くアジアパラ競技大会では2つの金メダルを手にした。「水の中では自由に動けるから楽しい。邪魔をされることなく動き回ることができる水泳が大好きだ」と彼は言う。

※本記事は、トヨタグローバルニュースルームに2019年2月14日に掲載されたものです

パラリンピック競泳シンガポール代表のトゥ・ウェイソン選手が横断性脊髄炎と診断されたのは2歳の時だった。両足を動かすことが不自由になる病気で、治療法は確立されていない。これまでのように走ることも遊ぶことも難しくなってしまった彼は、13歳の時に競泳の世界に飛び込んだ。

それからというもの、国際大会にて多くのメダルを獲得し、実績を残している。2018年のコモンウェルスゲームズでは銅メダル、続くアジアパラ競技大会では2つの金メダルを手にした。

「水の中では自由に動けるから楽しい。邪魔をされることなく動き回ることができる水泳が大好きだ」と彼は言う。

成長のための基礎固め

競泳選手としてのウェイソンの人生は、並大抵なものではなかった。何ヶ月もの間、プールの中で不自由な両足で平衡感覚を鍛えつづける厳しい競技練習と、学業からくるストレスとの間でバランスを保ち続け、両立することに苦戦した。だが、そんな日々も良くなっていったと彼は話す。

「物事はいつも良い方向へ進んでいくものです。どんな嵐が来て重圧がのしかかろうと、自分の足でしっかり立っていなければなりません。困難を乗り越えれば、必ず良い方向へ進みます。」

そして彼は両親のサポートに感謝している。「両親は、僕が興味を持つことは挑戦させてくれ、僕が夢を持てば、ずっと一緒に戦ってくれました。」 現在のウェイソンの活躍に、ご両親の努力も報われたに違いない。彼はもうすぐ、シンガポール国立大学に進学するそうだ。

そんなウェイソンが感謝を示したい相手は、さらにいる。彼のヒーローでロールモデルでもある、コーチのアン・ペンシォン(Ang Peng Siong)氏と、常に競泳という「クレイジーなスポーツ」で切磋琢磨しながらも支えあってきたチームメイトだ。

何が彼を前に突き動かしているのか。
彼の答えは、「競技に夢中になると、未熟な自分に憤りを覚えたり、目標を叶えた瞬間に感動したりします。そんな感覚にはまり、何度も味わいたくなるのです」。

競泳選手でいることは時に疲れるが、自分で選んだ道には誠実でいたいのだ。

不可能への挑戦が人々へインスピレーションを与える

ウェイソンの成功のカギを握ったのは、彼の“不可能を可能にする”、 そして“己に勝つ”という揺るぎない思いだ。自分の挑戦が、若い世代へインスピレーションを与えることができればと語る。

「メダルを取ることは素晴らしいことですし、国の代表になることは名誉なことですが、自分のやれることをやりきって、自分のベストを尽くせた時こそ、一番の達成感を得られます。」

挑戦する限り不可能なことはないと信じる彼は、『すべての人に移動の自由を』という、トヨタの新たな企業チャレンジ『Start Your Impossible』をアジアでサポートする12人の選手うちの1人に選ばれた。

ウェイソンは、すべての人が一歩前へ進むチャンスがあることを人々に伝えていたいという思いから、『すべての人に移動の自由を』の考え方に共感している。

トヨタとのパートナーシップで、彼は「共生社会の実現」を活動のテーマにシンガポール障がい者スポーツ委員会(SDSC)と協力し、障がいを持つ子どもたちに、スポーツの楽しさや不可能なことに挑戦する素晴らしさについて語りかける予定だ。

その想いは、「子どもたちに希望を持って欲しい。不可能なことは何ひとつないのだから。夢は、遠すぎて存在しないように思えますが、今日何かを始めれば、明日にはその夢が近づいてきて、その存在が見えてくることを伝えたいです。」

すでに様々なことを成し遂げてきたウェイソンだが、その人柄は謙虚で控えめだ。

「なぜここまで自分が来ることができたのか。今後もまだまだやるべきこと(挑戦)があり、今日も挑戦する時間がある。そのことを絶対に忘れないようにしたいです。」

東京2020パラリンピック競技大会に向けて

ウェイソンはモチベーションを保つために、先の目標までしっかり設けている。次のチャレンジの舞台は、2019年にマレーシアで開催されるワールドパラ水泳世界選手権大会だ。

しかし、これは彼にとって単なる通過点に過ぎないだろう。ウェイソンが抱く長年の夢は、東京2020パラリンピック競技大会で金メダリストになることだ。厳しい競争になることは分かっているが、彼は東京2020パラリンピックへの挑戦を楽しみにしている。

「勝利を目指している人は、誰かが自分を超えることもいとわないはずです。ライバルがいるからこそ、人はより強くなれるのですから。」

シンガポール代表として東京2020パラリンピックに挑戦するウェイソンの活躍を見届けたい。

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