連載
2021.02.22
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#02「この町いちばん」

2021.02.22

2007年当時、急速な販売台数増の一方で、その品質に疑問が呈され始めたトヨタ。成長とは何か、誰のための成長かを問うた言葉。

〜2007年年頭あいさつ(副社長時)〜

自動車業界における世界のリーディングカンパニーとなったトヨタ。一方で急拡大する生産量に対して、その品質の陰りを指摘されつつあった。当時、副社長として調達部門で品質問題に向き合いながら、豊田章男が社内向けの年頭挨拶で語った言葉。


「フランスの3件の歯医者さんの話を紹介します。

1軒目の歯医者さんは『世界一の歯医者』と看板を出しました。2軒目は『フランス一の歯医者』を出した。3軒目は、何といって出したか。『この町いちばんの歯医者』と看板を出した。その町の人たちにとって、どの歯医者が一番信頼されたか。

トヨタも同じ。トータルの販売台数をどれだけ宣伝しても、お客様は何も嬉しくない。トヨタの各事業体が、その町で一番信頼される会社、工場になることが最も望ましい。」

モノ作りを生業とするトヨタの企業姿勢を内側から問い直したシンプルな喩えは、世界随一のグローバル企業のリーダーの言葉として興味深い。あらゆる価値観の転換期に立つ今こそ、「誰が嬉しいのか」に立ち返るときかもしれない。

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