「知らなかった!」車いすユーザーが飛行機に乗るとき実は...

2026.07.23

JAXAの研究施設を直撃取材!車いすのワンタッチ固定装置は飛行機に搭載できるのか?

電車やバス、新幹線には車いすのまま乗れるけど、飛行機にはどうやって乗り込むのか。この問いに答えられる人は意外と少ない。

車いすユーザーには、航空会社の丁寧なサポートもある。しかし機体の通路幅など、容易に解決できない問題も多く、誰よりも早く機内に搭乗し、降りるのは誰よりも遅くなるという実態もあるのだ。

まずは飛行機の予約時、車いすのサイズやバッテリーの仕様など、細かな情報を航空会社に伝える。空港到着後は、専用カウンターで手続きをおこない、機内の狭い通路を通れる専用車いすに移乗。自分の車いすは預入手荷物となる。

そして、誰よりも早く機内の座席へと移乗。国内線であれば、出発の20分ほど前に空港へ着けば間に合うこともあるが、車いすユーザーは1時間以上も前に空港に着くことが多いという。

着陸後は、貨物室に預けた自分の車いすを受け取るため機内で待機。空港の外に出るまで1時間以上かかることもあるそうだ。

JAXA 航空技術部門 研究開発員 岸祐希 博士(工学)

私も車いすユーザーですが、いつも使っている車いすでないと姿勢保持が難しい。なので飛行機の入口までは自分の車いすで移動し、そこから抱きかかえられて座席へ移動します。

席では毛布や枕を詰めてなんとか姿勢を保っています。

車いすは体の一部だから、そのまま乗り込みたい

車いすは、単なる移動道具ではない。身体に合わせて調整された、自分の体のような存在だ。もし貨物として預けた車いすが破損すれば、旅先での移動も難しくなる。

岸さんは「自分の車いすのまま飛行機に乗れたほうが、快適で安心なんです」と語る。

また、車いすユーザーとしてあらゆる情報を発信する渋谷真子さんは「機内用の車いすは、種類によって乗り換えが大変なときもある」という実情も教えてくれた。

そんな課題を解決するため、JAXA、ジャムコ、トヨタが共同で研究開発しているのが航空機用のワンタッチ固定装置だ。

ハイエースやノア・ヴォクシーなどの福祉車両ではすでに搭載されており、車いす下部に付いているアンカーバーを車両側のフックで押さえ込み、わずか2秒で車いすを固定できる装置である。

この動画で見ると、本当にワンタッチで簡単に固定できることが分かる。

車いすユーザーと介助者双方の負担を減らすことができ、早期に実装を目指してバスや船での実証実験も進んでいる。しかし飛行機への搭載には特別な難しさがあるという。

CJP企画部 山本武司 主幹

クルマと違って、胴体着陸を想定した下方向からの衝撃を想定した安全基準や、乱気流で機体が大きく揺れることも想定しないといけない。

飛行機ならではの安全性をクリアすることは、自動車メーカーだけでは難しい領域でした。

そこで力を発揮したのが、飛行機の内装品を手がけるジャムコの知見だった。機内のシートやトイレ、調理・配膳設備などを設計・製造する同社は、法規や安全基準を熟知している。

ジャムコ 航空機内装品エンジニア 豊美春平

衝撃で機体が歪んだり、乱気流で激しく揺れても確実に車いすがロックされている必要もあります。そこで二重のロック構造にしました。

また、緊急時は機内の電源が落ちることもある。そんな時でもロックを解除して避難できるように、福祉車両のような電動ではなく、手動で操作する方式を採用しました。

安全性、操作性、軽量化、コスト。すべてを叶えて飛行機への搭載を検討しています。

16Gもの衝撃に耐えられるのか

そして、あらゆる工夫を重ねたうえで、動荷重試験を実施。

戦闘機が急旋回するときにパイロットにかかる負荷は最大でも9G前後と言われるが、下記動画のように前面衝突を模した16Gでの試験や、非常着陸時の突き上げを模擬した14Gの試験で、見事、耐荷することを確認できたという。

これで実装へ大きく前進できる!と感じたが、一人のメンバーが「実は…」とある話を教えてくれた。

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