クルマ好きを笑顔にするために 共に挑戦する自動車メーカー5社の想い 第2戦富士

2024.07.04

共に楽しみスーパー耐久シリーズ(S耐) ST-Qクラスに挑む自動車メーカー5社。第2戦、富士24時間の会見で各社の代表が語った未来にエンジンやモータースポーツを残すための挑戦を取材した。

S耐ワイガヤクラブとして取り組む意義

参加したメディアから、この5社がS耐で垣根を越えて取り組むメリットについて聞かれると各社はこのように答えた。

HRC 桒田室長

モータースポーツを5社で一緒に取り組みながら、自動車業界や、レース業界を今後どう発展させていくのかを考えるきっかけになったと思います。

各社取り組み方が全然違います。外から見ていただけでは、わからなかったことが、なかに入れてもらったことで、取り組みや考え方も聞けるようになっています。

モータースポーツの今後や持続性を考えていったときに、いろんな方向性を検討できるのは、まさにS耐ワイガヤクラブに参加させていただいたメリットだと考えております。

SUBARU 藤貫CTO

昔は、自動車会社のメンバーが集まって本音の話をする機会はなかったと思います。各社も何をやっているかは秘密でした。

だけど、これから乗り越えなきゃいけない壁ってものすごく高いんです。

いろいろなエンジンを残していくことも、決して一緒にやるだけが解決策ではないと思っています。

エンジニアって、やっぱり負けず嫌いですから、各社のエンジニアが集まって「エンジンをつくりましょう」と言っても、喧嘩になって上手くまとまらないと思います()

ただ、自分たちで本当に解があるかどうか迷っているときに話をしてみると、各社で同じ悩みを持っていたり、既に解決していたりします。

ソリューションを明かしてもらわなくても、出口があることを示してもらうだけで、ものすごく勇気が湧きます。

技術開発って孤独なんです。その技術に出口があるのか悩むところがありますが、そういうときに仲間がいて競争しながらやれる。ひとりじゃないのが、すごく勇気づけられます。

高橋プレジデント

最初はST-Qクラスも本当にこぢんまりと始まったんですが、今やこのクラスは5社がクルマをつくる実験室として広がってきました。

世間にも「何かメーカーの人間がS耐でクルマの開発をやっているぞ」ということが伝わるようになってきたと思います。

SUBARUさんのBRZGR86のガチンコ対決でも、お互いのエンジニアは本当に負けず嫌いなんです。

BRZとGR86のガチンコ対決。2台の戦いはこの24時間レースが最後となった。

勝った、負けたというのを繰り返すことで、本当にスピード感を持った仕事につながります。「絶対に次は勝つ」という強い心も人材育成につながっていると思います。

マツダ、SUBARU、トヨタの3社で同じCN燃料を使ってクルマを鍛えています。この燃料も鍛えるみたいなことがやれるのもこの場の大きなメリットだと思います。

MAZDA SPIRIT RACING 前田代表

モータースポーツの将来を考えたときに、何か明るい未来があるのかと不安になることがあります。

そういうなかで、この5社が同じ方向に向かって、技術を切り開いていこうという意志を持って一緒にやっていることに勇気をもらっています。

まだまだ楽しいクルマを残していけるし、こういった楽しいスポーツを残していけると思っています。ワクワクすると同時に、すごい責任も感じています。

5社が一緒に違った視点で世の中に楽しさを伝えていくことができれば、すごいパワーになると思っています。

NISMO 石川常務執行役員

S耐ワイガヤクラブは、レースごとに1時間以上かけて、みんなでいろいろなことを話します。

普段スーパーGTとかでも会えば挨拶するし、会話もしますが、何となくレースが始まっちゃうとライバル関係になります。S耐では、他のレースと違うつながりができるのが財産となっています。

世の中のクルマがハイブリッド(HEV)になっていったり、バッテリーEV(BEV)になったりするなかで、お客さんが自分で買ったクルマでサーキット走行やレースを楽しんだりする場をどうつくっていったらいいのかと、ずっと考えています。

これについても5社で相談して議論をしていけると思っています。

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