特集
2023.05.12

電動化時代に向けてトヨタが選ぶ戦略とは 決算一問一答

2023.05.12

営業利益3兆円の見通しも示した2023年3月期決算。クルマの電動化が進む中、記者との質疑から見えてきた新経営チームの戦略とは。

Ⅴ:お客様を笑顔にすることが経営の大前提

――今後、半導体が充分に潤沢に供給され、市場に商品が余り始めた時の出口戦略を、トヨタとしてどのように考えているのか?

佐藤社長

供給不足の中での価格転嫁について、我々は量産を大切にしている会社なので、最終的には、良い商品を、より良い価格でお届けして、一人でも多くのお客様に笑顔になっていただきたいということが、経営の大前提にあります。

短期的な厳しい状況の中で価格転嫁をしていく道を選ぶよりも、あえて長期的に、お客様との信頼関係を大切にして、まず自分たちの中で努力をしていく道を選んでいます。

足元あるいは豊田会長が社長時代だった14年間の中で、取り組まれてきたことを振り返りますと、弊社はロングセラーネーム、例えばカローラとかクラウンとか、非常に長くお客様にご愛顧いただいている商品が多数あります。そういう商品は、お客様からの価格も含めた期待値があり、単純に経済環境によって価格を自由に変えていくことが、長期的な信頼につながるわけではないと理解しています。

しかしながら、やはり経済状況に応じて収益力を高めていく必要はあるので、我々は「群」の戦略といいますか、クラウンであれば、クラウン単一車種として捉えるのではなく効率的に、しかもそれでありながら商品力を高める手法で、クラウン自体の競争力を高めながら、付加価値をつけていく道を選んでいます。

そういった基礎体力をつけながら、自らの努力によって、まずクルマの魅力を高めていく。それが商品を軸にした経営だと思いますし、長い目で見た時にトヨタとお客様との信頼関係を築いていくことにつながるかと思います。

ただ、付加価値を高めていった時に、それに見合う価格は当然考えていくべきことなので、そのバランスだと思います。

まず我々が通っている道は、大前提に置いている経営のあり方にこだわろうとしている結果だとご理解いただければと思います。

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