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“脅威というよりも、今、私自身は非常に落ち着いております” 決算説明会QAセッション

“脅威というよりも、今、私自身は非常に落ち着いております” 決算説明会QAセッション

TOYOTA NEWS 2020.05.13 UPDATE

INDEX

20分に亘るメッセージの後に行われたQAセッションでは、豊田社長から本音が多く語られた。

それらは、どういう質問で引出されたものなのか?リーマンショックよりも遥かに大きい危機に直面した豊田社長は、なぜ「非常に落ち着いている」と語ったのか?

トヨタイムズでは、QAセッションを全文で掲載したい。





<質疑応答全文>

1. 来期見通しを出した意義は“動き出すための基準を示すこと”

【質問者】

豊田社長に伺います。まず今年3月期の決算についての評価とですね、あと業績見通し…、各社未定とする企業も多い中で、(トヨタは)見通しを示されました。今期どういう風に需要の動向でありますとか、あるいは業績について見通されているのかというのを、まず一点、改めてお尋ねしたいと思います。

【豊田社長】

はい。今のご質問、まず一点目、今年の3月期決算に対する評価および来期への業績見通しを示したけれども、それに対してどういう思いかということが一点目でよろしゅうございますね。

まず一点目ですが、まずですね、この予定通りの決算発表が予定通りできたこと、これがですね、本当に全ての関係者に感謝申し上げたいというふうに思っております。

これ、いつもの年でありましたら、この時期が来れば決算発表し、その後に引き続き、株主総会をやるというのが、ほぼ当たり前のスケジュールのように進んでまいります。今年はですね…、コロナ禍においては、この当たり前のことが、当たり前にできない状況の中で、当初予定をしてたスケジュールでできたこと、これがまずですね、本当に関係各者および従業員のみんなにも感謝したいなというふうに思っております。

それでですね…、今回の決算を総括しますと…、先ほど第1部でも、近CFOの方から言いましたように、結果的には販売台数減、減収減益の決算ということだったんですけれども、重点テーマであるTPSと原価の作り込みについてもですね、非常に課題が明確になってきた。よりやるべきことが明確になった点で、今後のですね、改善は進んでいくものというふうに思っております。

ただ今回のコロナショックというのは、リーマンのショックよりもインパクトははるかに大きいというふうに思っておりますが、しかしながら、来期の予想でなんとかですね、リーマンのときよりも販売台数が落ち込むマグニチュードは大きいものの今回は何とか黒字を確保できたという点がですね、その後の収束後の経済復興のけん引役ということを表明しておりますので、その辺のですね、準備は整ったんじゃないのかなというふうに思います。

そういう意味を持ってしますと、今回の決算は「新しいトヨタに生まれ変われるスタートポイントに立った決算」と言えるのではないかなというふうに思っております。

あとですね、需要動向を見せたということでございますが、これはですね、社内でも実はいろいろ議論がありました

我々自身もメーカーでありますので、お客様が車を買っていただいて初めてですね、車をつくることができるのが、我々製造業だと思っております。そういう中で我々がクルマをつくることで、仕入れ先の工場も動き出し、また地域社会も動きだす

自動車産業というのは、経済に対する波及効果が、自動車を“1”としますと他産業に及ぼす影響が“2.5”という数値も出ているように、色んな方の生活を取り戻す一助になるんじゃないのかなというふうに思っております。

だからこそ、危機的状況だからこそ、今置かれている状況、今わかっている状況を正直にお話し、ひとつの基準を示すことが必要だと思いました。

この基準があることによって、裾野の広い自動車産業の関係各社が皆さん、何かしらの計画、何かしらの準備ができるのではないかなと思います。

ここからはですね、私どもが、分かってきた情報をタイムリーにお伝えしていくことによって、見通しの見えない中、異常管理をしながら、何とか当初の計画に近い状態に持っていくよう、みんなで心を合わせてやっていきたいなというふうにも思っております。これが一点目のお答えにさせていただきます。

2.守り続けるものは何か?それはリアルの世界

【質問者】

もう1点なんですけれども、この我々かつて直面したことのないようなコロナの危機という時代にですね、今、我々はいるわけですけれども、時代がですね、100年に一度の変革期と言われている自動車産業や、あるいはトヨタのあり方といったものをどう変えていくのか逆にですね、変わらないもの、守れなければいけないものというのはどういうところがあるのか、お聞かせてください。

【豊田社長】

2点目のですね、コロナ危機が100年に一度の変革期の自動車産業、トヨタの在り方をどう変えていくか、変わらないものを守り続けるものはどういうものかというご質問かと理解しておりますが…

実はですね、私自身、この県外移動というか、緊急事態宣言が起こってから、私自身がですね、県外への移動を避けるため、愛知県の研修所にですね、ずっと身を置き、仕事をしてまいりました。それでわかったことなんですが、移動時間80%減、接触人数85%減、会議時間30%減、会議資料50%減っていうことなんですね。

今まではですね、私と会うとなると、社内の方々(社員)は、みんな資料を作り、そしてその資料も役職が上の人ですと、誰かに書かせそしてそれは話してるときよりも1、2週間後の情報ということで議論をしておりました。

ところが現在、すぐテレビ電話なり、いろんなもので顔を繋ぐことによって、資料ナシで、その時の悩み、その時の困り事を相談できるようなことができてきてるわけですね。

それによって資料も半減しているわけですので、ぜひともその時間をですね、未来への投資、未来のこれからの新しいトヨタへの仕事の方へリソーセスを変更していく…、こんなことができるんじゃないのかなというふうにも思っておりますし、

また、私自身は愛知県の研修所に身を置いてたんですが、海外の地域CEOとか、海外の会社の方々とか、あとは他社のトップの方々と非常にですね、頻繁に連絡ができるようにもなりました。今までですと、やはり自らが足を運んで、ごあいさつに行かない状況を説明しないと失礼に当たるんじゃないかということで、できる限り面着でですね、相手様のところに伺ってということを考えておりましたけれども

そうなりますとですね、どうしても物理的に会うのは1カ月後になるとか、いうのが例えば1日にも、そういうトップの方でも5分、10分のスペアタイムは、どなたもおありであります。そんな中で、本当に話したいときに話したい方と、話す内容だけお話しできる、というのもいい点だと思うんですね。

ですからこういうことを踏まえ、やはりこの機に一気にやめること、そして一気にやり方を変えること、そしてこの機に新しいトヨタに向けてさらにアクセルをより踏むものというものの実現がですね、より速くなっていくものなんじゃないのかなというふうに思います。

ですから、そういう意味で守り続けるものは何かということでありますが、それはリアルの世界だと思います。

我々には現場があります。現場はリアルでありますので、その現場で長年培ってきたものに関しては、どんなIT化が進んでも、どんなテレワークが進んでも、これはやはりリアルで、人間がやる仕事ということで、さらに改善ができるトヨタパーソンを育てながら、さらに皆さんから期待される会社を目指していきたいなというふうに思っております。

3.コロナ禍で“私が落ち着いている” のはなぜか?

【質問者】 

2点お伺いします。1つ目は先ほどプレゼンでもご説明ありましたように、これまで何度かの危機を乗り越えてこられています。このたびのコロナ危機において、これまでの危機での経験あるいは考え方含めて役に立たれたこと、どういったことがあるか、お聞かせください。

【豊田社長】

一番はですね「私が落ち着いている」ことじゃないでしょうか。なんで落ち着いてるか?ということでいきますとですね、リーマン・ショック以降、11年間ずっと私自身が社長として、執行トップとして、経営に携わらせてもらいました

その間ですね、決して平穏無事な年ではなくて、毎年毎年、100年に何回かの出来事が起こるようなことが続いたわけでありますが、ここに至るまでの道のりはですね、10年経ったとは言ったものの、決して(社長在任が)10年続くとは誰も思っていませんでしたし、私自身も思っておりませんでした

というのは社長就任時は特に私の印象でありますが、私が社長になることを喜ばしく思ってくれてる人は社内外においてほとんどいなかったのではないかなというふうに思ってます。

唯一、受け入れてくれたのは、トヨタの現場のみんなであって、特に事技職(事務系、技術系社員)のほとんどの方々は、何を言ってもマイペース、自分たちのセオリー、これまでのやり方を変えようとしないというのが私自身の印象でありました。

それがこの11年間の、毎年毎年のいろんな危機対応によってですね、かつ、その中で、私自身が、回答のない(ような環境の)中で何かしらの方向性を示してきたことが相まり、徐々にですが、事技職の中にもですね、私の言葉に耳を傾け、共感し、一緒に仕事をしたいなと思ってくれてる人が増えてきたやに感じております。

特に、ここに来て、今そういう方々っていうか、そういう社員に対してもですね、私自身(から)“ありがとう”と言う機会が増えてきたというふうに実感をしております。

そういうことからも、私が落ち着いてる分、社内も落ち着いて、そんな中から、リーマンのときは、全てをやめるということでなんとか黒字復活を目指したものの、今は、その時よりも台数減が大きいにも関わらず、何とか黒字は確保できるということにより、先行投資ができるわけです。

ですから、そういう中において、今後も“ありがとうと言い合える関係”を、より大切にしていきたいなと思いますし、共に“ありがとうと言い合える関係”で、何か誰かのために誰かが動くということこそが、トヨタとして絶対に欠いちゃいけないことだなというふうに思っています。

4.危機の中でも変わらぬ優先順位とは?

【質問者】 

改めてこの危機での課題。最も経営のプライオリティーが高いところ、どういったところに重点を置かれて今動いてらっしゃるか、この点についてお願いします。

【豊田社長】

危機の中での課題でありますが、優先度の高いところはということですけれども、やっぱり優先度の高さでいきますと、トヨタには優先順位の高い順番が決まっております。1に安全、2に品質、3に量、そして4に収益

ただ時代が変わる都度、その優先順位が非常に乱れることがございますが、こういう危機の中でこそ、そういう優先順位が大切だ。その優先順位をベースにトヨタパーソンを育てていこうというようなことは最優先課題だと思います。

それと、先ほど決算のまとめでも申し上げましたように、今回の決算は、新しいトヨタに生まれ変わるスタートポイントに立った決算だというふうにも思っております。

そういう意味も含めて、今回、新しい時代に受け入れられる、新しい時代になってもさらにトヨタは成長すればいいんだというふうに頼りにされていくトヨタに生まれ変わる大きなチャンスをいただいたというふうに思いますので、ぜひとも、コロナ禍での、そういう形でトヨタの経営をリードしていきたいなというふうに思っております。以上です。

5.非接触型社会への加速とモビリティカンパニーへの現実味 

【質問者】

今日ありがとうございます。大変良い話、ありがとうございました。一つということなので、公共交通とは違うプライベート空間としての車が改めて注目されたようなところがあるなというところで、車に求めるものが、もしかしたら変わってくるというか、再認識が進むような気がしています。

という話をちょっと枕に、実際にそれでまた車に対して興味がわいてきたとして、オンラインでの販売などというのが、すでにクローズアップされてきています。その中で、そうなってくるとツールが必要だと思いますテキストとか電話だけでは車買えませんので、となったときに、トヨタさんで今どんなことを考えているのか

例えば道具のような車でしたら、それでもいいのかもしれないですが、GRやレクサスみたいな車だとやっぱりオンラインで買うのには、今だとまだ何となく材料としては足りないなあという気がして。買うとか、訴求していくとか、心を動かすという意味ではそういうところで、これからの販売に関して、何か直近で考えてらっしゃること。もしくは将来に向けて変わっていくのか、いかないのかという意味も含めて教えていただければと思います。

【豊田社長】

はい、ありがとうございます。私がコメントして、あと今日、寺師(執行役員)も同席しておりますので、技術屋の立場からですね、補足をしてもらおうかなというふうに思っております。

まず今回のコロナ危機を経験してですね、今後、非接触型社会に向けた流れが、加速していくんじゃないのかなというふうにも思っております。ただ、非接触型であるがゆえに全部が自動運転になるのかということではなくて、それを扱う人間がより楽しく、より豊かに生きることができる車、いわばFun to Driveな、自動運転でも誰かがいるの? うまい下手があるんだね、というですね、自動運転を目指していきたいというふうに思っております。

ですから、よりパーソナルなモビリティニーズも高まってくると思いますので、数年前に私が、自動車会社からモビリティーカンパニーに変革していくというふうに申し上げたことがですね、非常に現実味を帯びてきたんじゃないのかなというふうにも思いますし、

その中で、今年初頭に発表いたしましたウーブン・シティも人を真ん中に置いた実証実験ということですので、ぜひとも改めましてMOVEという言葉ですね、移動するという意味もありますけれども、感動するという意味もございますので、人が動くことによって感動するというのはどういうことか?というものに対するクルマづくりをやっていきたいなと思っております。

それと営業面ではですね、ちょうど時期を同じくしてトヨタ国内の販売店では全店併売をやり始めております。ですから、トヨタのお店ではどこでも、どの車でも扱えるようにさせていただいております。ですから、こういうことだとか、KINTOによる定額販売だとか“クルマを所有する”“使用する”色んな選択肢を今用意をしております

そういう中で、レクサスとかGR…特にこの2つにはストーリーが必要かなと思っております。そのクルマを持つ喜びのなんかしら物語を…、商品以外、商品のスペック以上に提案できれば、きっと、その感動をともに共感できる商品提供ができるんじゃないのかな、というふうに思っております。引き続き寺師の方から補足をさせてもらいます。

【寺師執行役員】

寺師でございます。少しだけ説明を加えさせていただきます。今、社長の豊田からもありましたように、今回、人の移動が止まるということはどういうことか、っていうのは、やっぱり多くの人が体感、実感できたんではないかと思います

特にバーチャルだけでは、やはり限界があり、リアルの世界というものが我々を、いかに豊かにしているか?というのが身をもって体験できたのではないかと思います。

こういう状況から考えますと、やはり色んな使い方、多様化、物を運ぶという…、もっともっと色んな考え方の商品が望まれるんではないか、っていうふうに思っています。

ただ、世の中の動きとして、これまで行ってきましたCASE、人々をもっと豊かにするような新しい技術そのものは、これからもどんどん進んでいくんではないかというふうには考えます。

ちなみに参考でございますが、1年前に我々のハイブリッドの特許の無償化を始めて1年経ちます。その1年たったときに今の状況でございますが、ハイブリッドそのものは、やはり皆さんが使いたいっていうふうにおっしゃっていただきまして、今、契約していただいている段階では、2024年から25年にかけて50万台、年間この台数ぐらいのお話はいただいております。

こういうことを考えると、やはり皆さまの困りごとというものが、技術とともに、よくわかったというのが、今回の体験ではないかと思いますので、1人でも多くの仲間の方々と、こういう問題を解決していただけるように、一緒に協力してやっていきたいというふうに思います。以上でございます。

6.その国で“あてにしてもらえる自動車会社”になることが先決

【質問者】

私はトヨタが国内生産300万台にコミットメントを示していることに大変感心をいたしました。トヨタは国内経済の真のアンカーであると考えています。そこで、しかし、この考え方、哲学に照らし合わせまして、トヨタは他の日本以外の市場へも同じようなコミットメントができるでしょうか。する準備があるでしょうか。

例えばアメリカを例に挙げたいと思います。昨年アメリカでトヨタは120万台の車両を生産されました。そしてこれまで資本を投下し、人材育成を行ってきました。そういったこれまでの準備、他の市場での準備なども考えて、アメリカにも同じような国内生産、日本で行っているような国内生産の維持のコミットメントをする準備を考えはあるでしょうか

【豊田社長】

現在、トヨタの生産は約900万台程度ですけれども、その生い立ちは…、最初のうちは全て国内生産で“輸出”をしていくということから始めました

1980年代初頭だったと思いますけれども、その頃からですね、海外生産が進み、現在は国内生産300万台、そして海外生産が約600万台というような状況と考えいただければいいと思います。

そういう中でも、より売れるものを、売れるところで作るという考えでいきますと、より海外生産が増えてきたということも言えるかと思います。私どもは進出をしている全ての国において、この町一番の自動車会社と言われる努力を、どこの地域でも進めております

そんな中でこの日本もそうですし、お話にありましたアメリカでも、またヨーロッパでも、中国でも、アジアでも、アフリカでも、南米でも、そこで自動車を作らせていただいている地域においては、この町一番ということを言っていただけるようみんなで努力をしております。

そんな中で自動車が、最終組立工程をそこの地域に作ったとしても、やはりそれと同時に、サプライチェーン…調達基盤もですね、一緒に共に成長していく必要性があると思います。

それが最終的な車両の生産台数でいきますと、300万台が日本、あとが海外ということなんですが、部品調達まで含めますと、まだまだ本当に“その町一番”とは言われない状況だと思います。

お話ありましたアメリカではですね、例えばカムリ。アメリカ生産のカムリなどは部品調達率でもアメリカが一番。アメリカの国内で調達してる車だということで、ご存じのようにMade in Americaのクルマしか出れないNASCAR(レース)にも参加させていただいている唯一の(アメリカにとっての)外国メーカーだというふうに思っております。

ういう意味で、そういう形をですね、順次、まずは取っていくことで、日本の場合はずっと伸びてきた300万台を、その後、海外シフトしていく中で、この一線は守りたい、ということで台数表示をしてまいりました

けれども、海外は台数をコミットメントするというよりは、まずはその国にとって必要な企業になること…、必要な自動車会社になること…、そして“あてにしてもらえる自動車会社”になることを、まず先決に置き、その結果として台数が増えていく…ということが、その地域、そのステークホルダーにとって喜ばしいことであれば、ぜひともですね、そっちの方向でいきたいなというふうに思っております。

7.未来の種まきに関してはアクセルを踏み続けたい

【質問者】

先ほどからですね、豊田社長からですね、新しいトヨタに生まれ変わるスタートになる。いうご発言があったかと思います。そこでお尋ねしたいのが、トヨタとして投資とかですね、お金の使い方が変化するのかどうかという点について伺いたいと思います。

いただいた資料によりますと213月期で研究開発費は11,000億とほぼ横ばい、売上高も利益も下がる予定の中、見込みの中で、まずこの横ばいというか、前年並みの投資をされるとうことにした理由をまず伺いたいと、この中身ですね、中身に何か変化が出てくるのかどうか。それと今、公表されている大きなプロジェクトがあるかと思うんですが。

工場とかスマートシティーとかいろいろあるかと思いますが、そういうものに何か変化が出てくる可能性があるかどうかという点を伺えると。

【豊田社長】

はい。ありがとうございます。新しいトヨタに生まれ変わるということで、いろんな中身、変化ありますかということでありますが、私としては、昨今ですね、やりだした新しいトヨタの未来の種まきに関しては、アクセルを踏み続けたいということでありますが、

番頭であります小林はですね、ちょっとどう思ってるかわかりませんので、この回答はですね、ちょっと小林の方からやってもらおうかなと思います。

【小林執行役員】

番頭の小林でございます。実はですね、この決算発表の前に社長を含めてですね、経営陣で何度も議論しました。それで21年3月期は5,000億(この結果は)リーマンのときの状態ですと赤字ですね。

それを、この11年間、いろいろありましたけれども、社長の指揮のもとにここまで来たなと。明らかに良くなっているわけですね。先回の反省の経験者は社長しかいませんので、反省は全部止めちゃったことなんですね。会社というのは、いつも申し上げてますよね、持続的成長、ゴーイングコンサーンといいますね。

そういう意味じゃ、止めていけないものというのはやっぱり開発である。未来に対する開発費でありですね、それから投資であり、そういったものは普遍的にすべきであるし、するような資金を持つべきだと。

そのためにですね、リーマンのときは3兆円ぐらいしか手持ち現金がありませんでしたけれども、今は8兆円ぐらいまで上がりました。まだまだ私としてはですね、番頭としては少ないと思っておりますAppleさんは20兆以上ありますので…。

ですから、やっぱり企業というのは、アップダウンはありますけれども、将来に向けて未来に向けて持続的成長していくことによって、世の中がやっぱりもっと豊かになるんではないのかという社長の持論でございましてですね、我々は、それに対して、今、必死になってついていこうという中で、今ご質問ありましたスマートシティーに対する投資とか、試験研究費については、いささかも変えるところはございません

ただ、精査をしますと、私はケチくないですよ。質素なんですけれども、やっぱり無駄なところがありますそれは遠慮なく削り取らせていただくかなということで、もっと有効な方に優先順位がつけやすくなりました。こういう危機になりまして、そこでもう一歩前に出るような投資を新たにまた生み出したいということを経営陣に相談しながら、やらさせていただきたいと思ってます。

8.現地現物の定義をはっきりさせないといけない 

【質問者】

私からも一つ、変化の観点から質問させていただければなと思います。先ほどの社長のスピーチの中で、今こそが構造変える大きなチャンスだという言葉がありました。新型コロナの時代、ニューノーマルとか、新しい日常とかっていうふうな言い方も出ていますが、トヨタの経営哲学の一つに、現地現物主義があるかと思われますが、この現地現物主義にも変化はあるのでしょうか

【豊田社長】

はい。なかなか難しい質問を最後にやられましたけども、トヨタの現地現物主義なんですけども、改めて、現地現物の定義をしっかりすることが必要かなというふうに思っております。今までは、とにかく現地に出向くということが当たり前のようにやられてました。

例えば商品を見るときもですね、必ず現物を目の前にしなきゃ駄目なんだということが、誰も疑問を挟まないことだったんですけど、この1カ月内で、一度、商品を映像を通じて見る機会に遭遇しました。

そこで思いましたことは、どの段階で商品を確認しているのか、どの段階で自分の意見を聞いているのかによって、十分映像でもできる段階と、やはりフェイス・トゥ・フェイスで、現物を前にやらなきゃいけないということが、少しずつはっきりしてきたような気がいたします。

例えば、人とのあれでありますが、最初にですね、いわば謝罪に出掛けるとかですね、相談をするとか、そういうものに関しては、やはり面着というか、お顔を見て気持ちの温度感が伝わる場で、やっぱり気持ちをお伝えすることで。そこは現地現物が必要です。

商品の現物を見るというものに関してはですね、いわば変化点をしっかりと自分自身が感じるそのためには、説明者が見せたい画像だけじゃなくてですね、それ以外にそこで働いている人たちの目つきとかですね、車から感じられるオーラとかいうものが必要なことってあるんですね。ですから、そういうものこそ現地現物は維持すべきだなということで。まだちょっと考えは固まってはいないんですけど、現地現物の定義を見直す何が何でも相手の場所に行って会議をやっているのは現地現物ではないということだけは、今はっきり申し上げられるかなというふうに思っております。

9.危機の中で増えたのは“脅威”ではなく“ありがとう” 

【質問者】

昨年の決算発表の際、社長がトヨタにとって最も脅威になるものはという問いに「トヨタは大丈夫という社内意識だ」とお答えされておりました。このニューノーマルの時代に、新しいトヨタの脅威というのは何でしょうか?お考えをお聞かせください。

【豊田社長】

昨年はですね、本当にトヨタは大丈夫だという社内意識をやりましたけれども、新しい脅威というのはですね脅威というよりも…、今、私自身は非常に落ち着いておりますし、いろんな頑張ってくださっている方、そしていろんな事技員も含めてて、いろんな人にありがとうと言う機会が増えたんですね。ですから、脅威というよりは、私自身の発言、行動の中でありがとうと言える機会がこれからより増えていくことを期待したい

その“ありがとう”が、また無くなって、ぶつぶつ…ぶつぶつ…というような環境になることこそが脅威なんじゃないのかなというふうに思います。

これはですね、私自身の仕事のやり方も含め、みんながありがとうと言い合えるような社内の関係、そして仕入れ先との関係、販売との関係、地域社会との関係、そんなふうに仲間ができあってくるんじゃないのかなというふうに思っておりますので。今回は脅威というよりは、期待を示させていただきたいです。

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